松竹2013年株主総会レポート1に続いて、後半の質疑応答の様子をまとめます。
松竹2013年株主総会レポート1

質疑応答 質問の数字は前が質問番号、後ろが質問者番号を表しています
(8-6)映像事業の新規開拓について聞きたい。松竹は新しいことにチャレンジしていない感じがする。
→(秋元一孝 映像企画部門担当)マーケティング調査に力を入れており、その結果をもとに新しい才能の発掘や新しい監督の起用も行っている。低予算の映画制作にも取り組み、新しい監督にチャンスを与えている。ラインナップもバラエティに富んだ品ぞろえを目指している。いま公開中のクロユリ団地は若い人向けの映画であり、2週連続で1位を記録している。
(迫本社長)松竹は古いイメージがあるのは十分に認識しているが、新しいことで失敗するとダメージも大きいので、松竹の良さを活かしながら新たな分野にも取り組んでいく。
(注記)クロユリ団地は好調と言うことでしたが、私が見た印象ではストーリー展開にもかなり無理がありますし、映像的にも手を抜きすぎだろ!と言う感じがしました。ヒットしているならいいのかもしれませんが、若い人向きの映画だからこの程度で十分ということなら、ちょっと甘く見過ぎだと感じます。
クロユリ団地を見た日の株主優待日記
(9-6)社員の研修体制はどうなっているのか?
→(細田光人専務 総務部門担当)松竹はモノ作りに力を入れてきたので、モノ作りが得意な社員は多いが、これをビジネスに結び付けていくことが重要であり、階層ごとに系統立てて研修を行っている。財務、マーケティング、マネージメント力が弱いので、これらを中心に研修を行っている。また接客も重要なので、接客部門の研修にも力を入れている。
今後は海外市場も重要になるので、グローバル化に対応できるように、社員の自発的な語学研修に補助をしたりしている。

歌舞伎座の後ろに見えるのが歌舞伎タワー
(10-7)歌舞伎タワーのオフィス部分のテナント入居状況はどうか?取引先金融機関や工事を担当したゼネコンなどの協力を求めながらテナントを募集していたが、どこからの紹介が一番多かったのか?
→(武中雅人常務 歌舞伎座担当)入居率は7割強となっている。まだフリーレント期間もあるが、入居が始まっている。秋頃には8割は埋まるので、残り2割を良い条件で決めていきたい。
(迫本社長)テナント誘致では松竹が一番頑張った(笑)が、金融機関やゼネコンさんも頑張ってくれた。
(11-8)ビデオレンタル店を経営しているが、デフレが原因で個人経営のレンタル店が減っている。レンタル価格は年々下がるのに、ビデオの仕入価格はずっと変わらない。洋画はレンタル方式の仕入に変わりつつあり、レンタル実績に応じた支払いになっているが、松竹は1.2万円でずっと変わっていない。大手のレンタルチェーンには安く卸しているので大量に仕入れることができるが、個人経営店は高い値段で買わなければいけないので商売にならない。松竹は大手と個人店向けの価格差が酷すぎる。東映の価格にも納得はしていないが、大手も個人店も同値というのは評価できる。松竹の作品は仕入れが高いので、仕入れるほど赤字が増える。映画を見てこれは良い映画だなと思っても、最後のエンドロールで配給松竹と出るとがっかりする。個人店向けの営業支援も検討して欲しい。(会場から拍手があったので、同業の方々も参加しているようです)
→(大角正 映像商品部門担当)この問題については重々承知している。映画館も単館からシネコン中心になってきており、レンタル店も2大チェーンが8割を占めるように変わってきており、大手チェーンを無視できない。個人経営店をいじめているわけではないが、今後は映像のネット配信も増えてきており、新たな競争になってくる。個人レンタル店向けについても何かできないか検討していきたい。
(注記)個人レンタル店の経営が厳しいのは理解できますが、まとめ買いすれば安くなるのは商取引としては普通であり、普段の買い物ではメリットを受けている部分もあると思います。自分が不利になる時だけ、1個買っても10,000個買っても同じ値段にしろ!というのはちょっと虫のいい話かな〜と感じます。
(12-9)シネマ歌舞伎を海外に輸出できないか?逆に海外の伝統芸能を輸入して上映できないか?
→(安孫子正専務 演劇本部長)シネマ歌舞伎は海外展開を考えている。単発上映だが、過去にはカナダやフランスで上映したことがある。数年に一度、歌舞伎の海外公演を行っており、その時にシネマ歌舞伎も一緒に持っていくなど考えていきたい。
シネマ歌舞伎は国内でも上映スクリーンが全国に拡大しており、新歌舞伎座オープンが話題になり、シネマ歌舞伎も客足が増えている。
コンテンツの輸入については、メトロポリタン劇場と提携してMETライブビューイングに取り組んでいる。今シーズンは何を上映するの?と問い合わせを頂くなど、METライブビューイングが根付いてきたので、今後バレエなど他のコンテンツについても努力していきたい。
(13-9)文楽を松竹で事業化できないか?
→文楽の事業化を検討したことはない。ビジネスとしてきちっと回っていかなければ事業化する意味がない。昔は文楽が強かった時代もあったが、大スターが出た時や大興行師が出た時以外は厳しかったのが実情。歌舞伎も今でこそ好調だが、ビジネスとしては厳しい時代も長かった。ここ30年くらい良くなってきたが、この流れを続けていくことが最優先になる。
(14-9)過去の映画コンテンツをネット配信できないのか?
→(大角取締役)顧客の利便性を考えれば、今後ネット配信は伸びていく。いかに良い状態で映像を見てもらうかが重要。各社向けに配信しており、毎月10本ほど増やして合計400本ほどになっている。中国でも配信に取り組んでおり、今後ネット配信が伸びるのは確実なので、松竹としても力を入れていく。
(15-10)私は松竹株を長期保有しているが、長期保有株主向けの特典を考えてほしい。
→(細田専務)株主の保有期間についても分析しているが、松竹の株主は長期保有してくれている人が多い。2世代、3世代と株主の人もいる。公募増資を行ったことで短期売買の株主も増えてきたが、株主平等の原則もあり悩ましい。昨年も一昨年も同様の質問があり、長期保有の優待も検討したいが、法律面やどんな内容にするのかとなると問題も多い。今後も検討を続けていく。
(16-10)社内で中長期的な株価ターゲットについて議論しているのか?
→過去を振り返ってみると、業績が厳しかった時期は中長期的な視点が欠けていたと思う。現場の声も活かしながら中期計画を作り、現在推進している。業績が伸びてくれば株価も上がってくると考えている。
11時48分となり、質問はあと1人にして欲しいとの議長発言
(17-11)10年来の株主だが、新歌舞伎座のこけら落とし公演は、3部制で3時間の舞台なのに、1等席は2万円と強気な価格設定だ。以前の昼・夜の2部制では4.5時間もあって疲れるので、今後も3部制でいいのではないか?
→(安孫子専務)こけら落とし公演は好調に推移している。
こけら落とし公演は多くの人に見てもらうため3部制にしている。2部制だと1ヵ月に10万人ほどが上限だが、3部制にすると15〜16万人に来てもらえる。
2部制、3部制それぞれに良さがある。3部制では時間が短いので通し狂言ができないなどの制約もある。
チケットの価格については、こけら落とし公演では歌舞伎役者の7〜8割が歌舞伎座に集結していることから、1等席は2万円という価格設定になった。3等席は4〜6千円にしているなど、幅広い料金体系にして気軽に歌舞伎を楽しんでもらえるように配慮している。
3ヵ月後からは、次代を担う世代の公演を予定している。秋以降は新作の狂言や新作歌舞伎も作っていきたい。併せて次世代の若手育成も進めていく。
(迫本社長)歌舞伎は大衆演芸から始まり、芸術性を高めてきた。もっと気軽に楽しんでいただけるように、大衆化を図っていく必要性も感じている。
新しい歌舞伎座では気軽に歌舞伎に触れられるような場を作った。無料で歌舞伎の雰囲気を感じてもらえるような場を用意し、500円の入場料を払ってもらえば入場できる歌舞伎ギャラリーも作った。歌舞伎ギャラリーでは舞台の様子も少し見ることができる。一幕見席も作り、気軽に歌舞伎を楽しんでもらえるようにするなど、お手頃な価格から歌舞伎を楽しめるようになっている。
(18-11)新派公演については今後どう育てていくのか?
→(安孫子専務)三越劇場で新派公演を行っている。歌舞伎役者に出演してもらったり、風間杜夫さんなど外部の人にも出てもらったりして育てていく。
(迫本社長)歌舞伎の伝統を受け継ぎながら新しいことにも取り組んでいく。
新派や新歌舞伎には良い演目があるので、定着していけるように取り組んでいく。
以上で質疑応答は終了となりました。
まだ質問をしたい株主はいたものの、1時間半近い質疑時間を取っていたので、十分合格点です。
来年はもう少し参加しやすい日時で開催されるといいですね。
歌舞伎タワーには株主総会が開催できるようなホールはないのかな?
株主総会の出席票で、当日映画を1本見ることができるので、丸の内ピカデリーでクロユリ団地を見てきました。ちょっと期待外れだったのが残念ですね。
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タグ:松竹2013年株主総会
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