2012年06月02日

吉野家ホールディングス2012年株主総会レポート

2012年5月29日(火)10時から、東京都中野区の中野サンプラザ サンプラザホールで開催された吉野家ホールディングス(9861)の第55期定時株主総会に参加しました。
吉野家は牛丼や寿司の京樽、ステーキハウス、うどんのはなまるなどを全国で展開している会社です。
吉野家の株主総会に参加するのは2010年から3年連続ですが、最後まで参加したのは初めてです。
 → 吉野家ホールディングス 2010年株主総会お土産レポート
2012年5月29日(火)の株価 99,900円(東証1部 9861)1株単位 2月決算
PER 27.0倍、PBR 1.16倍、配当利回り 2.00%、株主資本比率 46.7%
監査費用 12,800万円(売上比 0.08%、営業利益比 2.67%) 監査法人トーマツ
株主優待 2・8月末の株主に株数に応じてお食事券(額面300円)を贈呈
 詳しくはこちら→ 吉野家ホールディングスの株主優待情報ページ

   吉野家ホールディングス(9861)のホームページ
   吉野家ホールディングス(9861)のヤフー株価情報
吉野家株価チャート
過去10年間の株価推移をみると、2007年頃までは20万円前後で推移していましたが、仁義なき牛丼戦争の激化もあり、その後は半値の10万円を挟んだ狭いレンジでの値動きが続いています。海外展開も着実に進めていますが、まだ業績は回復途上で株価に割安感は感じませんね。
スケジュール
10:00〜10:33 安部社長の挨拶後、最前列の株主がいきなり動議の提出を求めて大騒ぎに!
 10:06〜10:08 箕輪正道常勤監査役から監査報告
 10:09〜10:22 映像を使って事業報告 女性ナレーションが招集通知を読上げ
 10:23〜10:33 対処すべき課題、今後の戦略について安部修仁社長から説明
10:33〜11:28 質疑応答 質問者11人 計15件 55分
11:28〜11:43 議案説明・審議・採決 質問者3人、4件
 第1号議案 剰余金処分の件 期末配当1,000円 年間2,000円で前年据置き
 第2号議案 取締役3名選任の件 安部社長、出射孝次郎氏、河村泰貴氏が任期満了に伴い全員再任
 第3号議案 監査役1名選任の件 浦邊正記常勤監査役が任期満了に伴い再任
吉野家2012年株主総会
お土産 牛丼並盛券2枚 期限7月末 先渡し
飲み物サービス なし
事業説明会 なし ただしグループ各社の説明ブースを設置

注目の株主総会格付けですが、お土産も用意され、グループ各社の説明ブースもありました。質問も多くて丁寧に答えていたと思います。毎年集中日前後の開催で参加しにくいのは残念ですが、吉野家ホールディングス(9861)の2012年株主総会格付けは 『C−』 としました。
   議決権を有する株主数    180,589名、その議決権数 513,982個
   議決権返送&出席株主数   58,722名、その議決権数 276,136個(53.7%)
議決権行使が53%とはかなり低いですね!自己株が22%もあるのも要因の一つです。
今年も吉野家の株主総会は中野サンプラザで開催されました。吉野家は毎年5月の株主総会集中日に開催するので、今まで最後まで参加したことはありません。いつもゼットンの株主総会と重なるので、投資額の大きいゼットンを優先して参加していました。今年は1日早くなり最後まで出席しました。
ホール入り口左右には、吉野家グループ各社のブースが設けられ、各社の担当者が常駐して株主からの質問に対応していました。担当は2人1組になっていて質問した株主は名前や出席番号、質問内容などを記録していました。質問内容はともかく名前までチェックする必要があるんでしょうか(笑)
私は普段あまり話を聞くことができないアジアを中心とした海外事業を担当している吉野家インターナショナルで色々と話を聞いてきました。聞いてきた内容は↓下記の記事↓にまとめました。
   中長期投資で超富裕層を目指そう! 吉野家の海外展開
お土産は今年も牛丼並盛無料券2枚でした。出席票と一体になっています。
吉野家2012年株主総会
会場内のレイアウトも例年通り正面にスクリーンが用意され、事業報告などで活用されていました。
吉野家の株主総会は安部修仁社長の挨拶から始まりましたが、すぐに大騒動になりました。
議長が株主総会の議事進行を説明し、
「質問は報告事項の報告が終わった後に受けるので、その際は挙手して質問してください」
と説明したところで、いきなり最前列の高齢の株主が質問させろ!手を挙げて立ち上がりました。報告事項が終わってから質問を受付けます、と何度も安部社長が説明しましたが聞く耳を持たず議長席に詰め寄ろうとして5人ほどの係員に取り囲まれていました。それでも「議長の言う通りちゃんと手を挙げているのになぜ質問させないんだ!警察を呼ぶぞ!俺は6時に来て1番なのになぜ質問させないんだ!」と叫び続ける株主。普通の総会なら無視して議事を進行しますが、安部社長は何度も後ほどと説明していました。そして携帯を取り出し警察?に電話しだす株主。安部社長も「警察に来ていただいても構わないんですが、質問は報告事項の報告の後で」と語りかけています。会場に警察官は来ていないのでしょうか?これほど規模の大きい株主総会なら、総会屋対策などで警察官が来ているケースが多いように感じますが、最近は総会屋も減ったので警察官の派遣はしていないのでしょうか?
そんな押し問答が3分ほど続き、根負けした安部社長が質問を許可するので質問してください、となりました。高齢の株主は質問というより動議の提出で、安部議長の解任を求めていました。
株主総会開始後すぐの解任動議で安部社長も「まだ株主総会が始まったばかりであり、議長を続けたいんですが^_^;」と戸惑っていましたが、お構いなしに解任理由を述べようとする株主。議長は会場の株主に対して動議の採決を行い、もちろん否決されて議長続行となりました。
動議を提出した株主は納得せず、さらに文句を言っていましたが、さすがに安部社長も「これ以上株主総会の議事運営を妨害するなら退場してもらう」となり、やっと騒動は収まりました。
それにしても一株主の身勝手で5分近くも無駄な時間を費やしたのですから何とかしてほしいものです。安部社長は人が良すぎますね。2〜3回説明しても聞き入れない時点で退場処分で良いと思います。こんな対応をしているとプロ株主に付け入られるだけのように感じます。
それにしても吉野家の株主総会でこんな波乱があるとは思いませんでした。上記株価チャートの通り株価は半値に下がっているので、怒り心頭という感じだったのかもしれませんが、半値などかわいいものだと思います。1/5とか1/10もゴロゴロしているので^_^;
いきなり波乱のスタートとなりましたが、その後は監査報告、映像を使った営業報告、安部社長から今後の戦略説明と無事に進んでいき、質疑応答の時間となりました。
質問は多くの株主に質問してもらうため1人1問と説明がありました。もちろん最前列中央に座っているあの株主も手を挙げましたが、先ほど質問していることもあり指名されませんでした。

質疑応答 質問の数字は前が質問番号、後ろが質問者番号を表しています
(1-1)カッパ・クリエイトなどは外国産米を使用しているが、今後TPPなどで外国産米が増える可能性もある。吉野家は日本米にこだわり外国産米は使わないのか?
→TPPはコメを除外するという見解もあるが、輸入米についても検討する必要がある。アメリカの吉野家では現地のコメを使っており、アジアでも現地米を使っている。外国産米使用の経験は積んできているので、吉野家の品質基準に合致しコストメリットがあれば検討していく。ただ日本人にはコメに対するこだわりがあり、外国産米を敬遠されるのなら意味が無い。顧客の反応を見ながら進めていく。
(2-2)中国展開について、モスバーガーは台湾資本と組んで中国展開を進めている。中国市場は難しいので台湾資本と組むなど何か手を打っているのか?
→各国への進出は市場規模と市場の質を見極めて判断している。規模の大きい国ではマジョリティを取って合弁で展開していく。小さな国はフランチャイズ展開が中心になる。店舗開発力、現地でのネットワークが広いなど現地の有力なパートナータイアップして進めていく。中国展開でも台湾資本との合弁がベストというわけではなく、できる限り現地資本とのタイアップを重視している。
(3-3)監査は相当と報告があったが、オリンパスも大王製紙も同じように報告していた。監査役は何を根拠に相当と判断しているのか?11億円の繰延税金資産は、現状の利益水準と比べると過大ではないのか?負ののれんの一括計上は利益を良く見せるためではないか?自己株式の保有も過大ではないか?これらの問題があるのに本当に監査結果は相当なのか?監査役に聞きたい。
→まずは財務担当からご指摘の点について説明する。
→(田中常泰専務取締役 財務室管掌)繰延税金資産については41ページに記載している。70億円あるがトーマツと調整した結果6億円となった。この金額は十分に回収できるという前提で計上した。負ののれんは京樽の100%子会社化で発生した。負ののれんについては一括償却が吉野家の会計方針になっている。自社株については昨年も質問があったが、伊藤忠の保有株を取得したので保有割合が高くなっている。自社株の活用方法は現時点では決まっていない。今後検討していく。
→(箕輪正道常勤監査役)トーマツの監査計画の内容チェックと、計画に沿った監査を行っているかチェックしている。併せて経理部門にもヒアリングを行い、監査内容を判断している。定期的にトーマツとも打ち合わせを行っており、その結果相当と判断した。
(4-3)繰延税金資産はバランスシートでは11億円になっており、回答のあった5億円とは差が出ている。
→(田中専務)41ページに記載しているのは当期に新たに発生した分です。
(5-4)すき家にはファミリーで行くが、吉野家は家族では行きにくくて1人で利用することになってしまう。これはメニューの選択肢が少ないからだが、ファミリー向けのメニュー展開などは考えていないのか?
→未来創造研究所を作り、6つくらいのコンセプトを作り店舗での実験を行うなど研究している。その中の1つに郊外でのファミリー向けのコンセプトもある。他にも女性の利用しやすいお店、シルバー世代への対応などを研究中。今までの幹線道路沿いから生活道路への出店も進めていく必要があり、メニュー・サービスの研究、お店の雰囲気などもそれぞれ実験を進めている。国内でも数10店出して静かに実験している。間もなく期待に応えられる店舗ができると思う。
(6-5)株主優待券が使える店を増やして欲しいと以前も株主総会で要望があったが、まったく改善されていない。なぜ利用店舗の拡大ができないのか理由を知りたい。
→(折田昌行専務取締役 人材開発室管掌)今回送付する株主優待券から京樽でも使えるようにした。どん・はなまるについては課題が残っており検討中です。
(7-6)どんやはなまるも京樽同様完全子会社化する考えはあるのか?
→(田中専務)京樽を完全子会社化したのは、上場維持コストが高い一方で市場から資金調達する可能性も無かったため。どんやはなまるは非上場であり、他の株主もいるので簡単には決められない。ただ完全子会社化も一つの方策ではある。
(8-7)名古屋から来たが早朝に着いたので松屋と吉野家を比較してきた。吉野家のカレーの方が安いのに隣の松屋で食べている人に聞いたら松屋の方が美味しいということだった。カレーは今のままでいいのか?
→(出射孝次郎常務取締役 商品本部長)カレーは嗜好品であり、各家庭の味や専門店の味など様々なカレーがあって開発が難しい商品。どんなカレーに仕上げても人によって賛否が分かれる。今回カレーについても見直しを行ったが、より多くの人に評価してもらえるよう今後もブラッシュアップに努めていく。
安部社長)商品開発チームが目標水準を作り、他社の店舗も含めて覆面比較調査を行っており、より良いものにするよう取り組んでいる。
(9-7)夜間など店長がいない時間帯があるが、店によって接客サービスにムラが多い。商品の提供は早いがサービス面では不十分に感じる。
→店長がいない時間帯は不安だが、前期はあらゆる面で充実させてきた。サービス面では、まずは創業時の精神に立ち返り、クイックサービスに特化して取り組んできた。社内外の調査員で継続的に調査しており、まだ満足できる水準ではないが、調査結果を前年と比べると大きく改善している。

(10-8)シルバー世代向けの対応について教えてほしい。
→シルバー向けは健康的でなければいけない。若者とは嗜好が異なる。ヘルシーという部分では女性向けともオーバーラップしてくる。女性と言ってもヘルシー、成人病予防などではカテゴリーも異なるので、まずは実態を把握し、子持ちの30代女性、働く30代女性に絞って検討している。
シルバー向けについては、野菜や魚を使ったメニュー開発に取り組んでいる。まだ全国展開できるような商品は出来ていないが、数店舗で実験している。
 11時12分になり、議案の審議もあるのであと2〜3名でお願いしたいとの議長発言
(11-9)各社の設備投資額合計と事業報告の設備投資額が合わない。
→(田中専務)ピーターパンコモコなど、その他の会社の設備投資もあるため。
(12-9)招集通知に社員数は載っているが給与は載っていない。パソコンで見たら平均給与が926万円も払っていた。配当や株価は上がっていないのに社員の給与が高すぎる!(怒)
→(折田専務)926万円というのは吉野家ホールディングスの人件費だと思うが、持株会社なので部長や執行役員クラス中心に20名程度となり、平均給与は高くなる。吉野家の平均給与は560万円で他社と比べても高くはない。連結の人件費比率は32%であり、今後も低減に努めていく。
→(安部社長)吉野家HDは役員の比率が高く、上級スタッフの割合が高いので平均給与は高くなる。他社と比べて突出しないよう横並びで判断している。株価については業績を向上させることで市場からも評価してもらえるよう、海外展開などに力を入れていく。株価の推移は日経平均並みの動きだと思う。
吉野家株価チャート
吉野家株価チャート
確かに上の過去5年の株価チャートを比較すると同じような動きですが、下の10年チャートでは日経平均を大幅にアンダーパフォームしています。早く海外での収益体制を強化して欲しいですね!
(13-10)焼肉定食が好きだったが無くなった。復活はあるのか?
→(出射常務)焼肉定食は牛丼に力を入れるため一時的にメニューから外した。豚焼定食と同じオペレーションなので、併売できるか検討していく。復活の可能性はある。
(14-11)京樽の投資は売上に比べて大きいが、回収はどの位の期間を考えているのか?
→(田中専務)京樽は6億円以上の営業赤字になったが、震災の影響が大きかった。今期は確実に黒字化できる。14億円の設備投資内訳は、工場の統廃合で2工場から船橋工場に統合した投資が8億円、その他は出店・改装投資です。今期は設備投資も減る。
(15-11)為替調整勘定が大きすぎる。
→(田中柳介取締役 吉野家インターナショナル社長)米国吉野家の出資時の為替レートが今より大幅に円安だったため、評価損が発生している。
→(安部社長)連結で赤字になっているのは京樽と吉野家USAだけ。アジアではしっかり利益が出ているが、ロイヤリティと配当をHDに経費として支払っているので名目上赤字になっている。海外事業が今後の成長ドライブと説明しているのに赤字ということで心配している株主もいると思うが、しっかり稼いでおり今後さらに成長が期待できるので安心してほしい。

以上で報告事項に対する質疑応答は打ち切りとなりました。
続いて議案の審議となりましたが、なぜか議案とは関係のない質問も出ていました^_^;
第2号議案 取締役3名選任の件
(1-1)以前の株主総会でも役員に女性を入れたらどうかと意見があったが、現状はどうなっているのか?
→毎回同じ回答になっていて恐縮している。女性役員の登用も意識して取り組んでいきたい、女性も含めて社外取締役の選任なども考えたいが...と煮え切らない感じ(笑) 取締役の選任にあたっては、公平性など多面的に検討する必要があり、女性役員の誕生はもう少し長い目で見てほしい。
(2-2)河村泰貴氏の持ち株数は8株で少ない。
→河村泰貴氏ははなまるの社長をしながら吉野家ホールディングスの取締役になっている。主体ははなまるの経営であり、持ち株数は少ないが経営能力とは関係ない。貴重な意見をもらっている。
(3-2)吉野家は浮動株が多く株価の変動が大きすぎる。金融機関等の安定株主の確保が必要では?
→(田中専務)筆頭株主だった伊藤忠から自社株を引き取ったので、個人株主の比率が高まった。安定株主の確保は課題の一つだが、会計基準の変更などで金融機関は株式を保有しない方向になっている。
(4-3)牛丼はカロリーが高いので、赤身で作った牛丼を開発してほしい。
→第2号議案とは関係ないが、せっかくのご意見なので回答する(笑)
女性をどうカテゴリーに分けて商品開発していくか検討している。小町セットを作るなど色々と検討を進めている。吉野家インターナショナルでは、日本の味にはこだわらず、地域ごとの嗜好に沿った新しい牛丼の開発も進めている。
以上で質問もなくなり、すべての議案が承認されて株主総会は終了となりました。
いきなり動議の提出で大揉めになるという波乱の展開でしたが、そのせいで質問時間が短くなったのは残念です。株価が下がっているとは言え、社長を解任すれば済む問題ではなく、もっと建設的な意見を述べてほしいものですね。
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posted by Zaimax at 11:53 | Comment(0) | TrackBack(0) | 株主総会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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