一六堂(3366)は天地旬鮮八吉などの高級海鮮居酒屋を東京・名古屋などで展開している会社です。島根県の浜田漁港などの買参権(漁港でのセリに参加する権利)を持っているのが一六堂の強みです。
2012年4月24日(火)の株価 409円(東証2部 3366)100株単位 2月決算
PER 7.4倍、PBR 0.79倍、配当利回り 2.93%、株主資本比率 63.7%
株主優待 検討中だと信じたい(笑)
一六堂(3366)ホームページ
一六堂(3366)ヤフー株価情報

一六堂は2011年12月9日(金)から東証2部に上場しており、上記は東証上場以降の株価推移です。
上場初日に大陽線でスタートし、その後も順調に上昇してきましたが、5月に入り中小型株が業績に関係なく叩き売られる相場環境になり、業績が順調な一六堂も売り込まれる展開になりました。最近は400円前後で横ばいの動きが続いています。この辺りでしっかりと調整して再度力強く上昇して欲しいですね!
一六堂は名証セントレックス市場に上場して東証にステップアップしましたが、名証上場以来の株価推移は下記の通りです。

上場当時は人気化し2,000円を超える株価も付けましたが、その後は下落が続き東日本大震災が発生した2011年3月には170円まで売られました。そこから徐々に上昇し、東証2部上場発表もあって465円まで上がりました。ぜひ上場来高値を更新できるように、業績の向上とともに知名度アップにも力を入れて欲しいですね!
15:30〜15:54 浅田幸助取締役から各業態や一六堂の強みについて説明
15:54〜16:10 大木貞宏取締役から業績について説明
16:10〜16:31 質疑応答 柚原洋一社長が回答
配布された資料は、決算説明会資料、決算短信、業態ごとのパンフレットです。決算説明会資料、決算短信は両面印刷した方がコストダウンになるので、ぜひ小さなところからコスト意識を高めてほしいですね。
2012年2月期決算説明会には一六堂から柚原洋一社長、大木貞宏取締役管理本部長、浅田幸助取締役店舗開発部長の3名が出席していました。一六堂の決算説明会に参加するのは初めてですが、50人くらい出席していて驚きました。私が出席しているのは中小型株の決算説明会なので、20〜30人くらいというケースが多いですし、一六堂の知名度は低いと思っていました。
東証に上場した効果かな?と思いましたが、毎回50名くらいの参加者だそうで、思っていた以上にアナリストに人気があるんだなと感じました。それなのにこんな割安に放置されているのはなぜ?と新たな疑問が湧いてきました。アナリストの方々が一六堂をきちんと評価して、アナリストレポートなどを発行していれば、時価総額が40億円弱とは言えこんな安値で放置されることは無いはずでは!?と感じます。
私は一六堂の株主ですが、まだ一六堂のお店に行ったことはありません。高価格帯ということでちょっと躊躇しています(笑)昨年の株主総会にも参加しましたので、その時の株主総会レポートもご覧ください。
一六堂(3366)2011年株主総会レポート
まずは浅田取締役から天地旬鮮八吉、五大陸、六角、仙台牛たん荒などの各業態について説明がありました。天地旬鮮八吉が売上の半分以上を占めていて主力の業態です。仙台牛たん荒など新業態も積極的に展開しており、売上構成比が高まっている。
一六堂の強みは好立地物件への出店と買参権・売買参加権の活用
好立地物件への出店にはこだわっており、ビジネス街である首都圏主要ターミナル駅(東京・銀座・新宿・渋谷・池袋・横浜など)及び山手線沿線主要駅へのドミナント出店を行っている。全84店舗中78店を首都圏主要駅に出店している。
物件選定条件は顧客である大企業のビジネスマンの人口が多いこと、帰宅の導線上で駅に近いことなどを重視している。その結果5時台から宴会開始が可能になり、退社時間にばらつきがあることから幅広い時間帯の顧客獲得が可能になり、駅に近いので終電間際まで飲食が可能になる。
その結果として2回転目、3回転目の集客が可能になり、最繁忙期の12月でなくても驚異的な3回転以上の席効率を実現できる。3回転目になるとドリンク比率が上がるので、原価率の低下にもつながる。
2011年3月3日に新橋SL広場前に6店舗を一斉にオープンした。1階のコンビニを除き、ビル一棟ごと一六堂のオリジナルブランドで出店したが、オープン後すぐに東日本大震災が発生し、3月は厳しいスタートとなった。しかし全店舗の中でどこよりも早く回復し、予算以上の業績を達成することができた。オープンから1年が経過した現在も好調に推移している。
既存店売上高は2011年3月には65.4%まで落ちたが、6月には102.3%まで回復し、11月以降は100%を超えている。好立地物件ゆえの回復の早さであり、通期の既存店売上高は95.53%となった。
一六堂では買参権を取得しており、漁港で水揚げされたばかりの鮮魚をその場で買い付けることができる。買参権を持っていることで4つのメリットがある。
「安い」 原価は他社の半額で仕入れることが可能
「新鮮」 翌朝には各店舗に到着し、新鮮な鮮魚をお客様に提供。通常は最短でも2〜3日かかる
「安心安全」 一六堂が使用している鮮魚は、漁獲された漁港やいつ誰が採取した魚かまで分かる
「希少価値」 通常店頭に並ばない多種多様な鮮魚を提供できる
最近他社も買参権を持っているとアピールする会社が出てきたが、他社の買参権は地方卸売市場や中央卸売市場で買い付ける買参権であり、漁港で直接仕入れることができるのは、上場企業では一六堂だけ。

と聞いてから街を歩いてみると、買参権の店さかなや道場という看板が目に飛び込んできました!
チムニーが運営しているお店の様ですが、チムニーは2010年4月にMBOで上場廃止になっていたんですね。チムニーがどんな買参権を持っているのかは分かりませんが、ホームページには市場直送のお店と書いてあったので、市場で買い付ける買参権のようです。
一六堂では新潟・島根・宮城の計11漁港の買参権を取得している。各漁港の漁獲高に占める一六堂の仕入割合は0.3%程度であり、漁獲量の増減による影響はない。
青果物でも市場から直接買い付ける売買参加権を取得しており、仕入金額の20〜30%軽減に寄与している。価格が高騰した野菜については、柔軟にメニュー変更を行うことで原価率をコントロールしている。
家庭の主婦と同じですね(笑)続いて大木取締役にバトンタッチし、業績の説明となりました。
前期は9店舗出店したが、新橋SL広場前に一斉にオープンした6店舗を含めて7店は上期に出店しており、積極的な新規出店が業績を牽引した。既存店も主力業態中心に健闘した。
さらに昨年から取り組んでいる全社をあげてのコストダウン活動が、震災をきっかけに加速し利益率の向上につながった。本社からコストダウンの指示を出してもなかなか現場に浸透しないものだが、震災でお客様が来なくなったことで現場の危機感が高まり、社員から進んでコストダウンに取り組むようになった。
積極的な設備投資を行ったが、営業キャッシュフローの範囲内に収まり新規借入金はゼロ。インタレストカバレッジレシオは61.6となり、同業のJプロジェクト21.1、ダイヤモンドダイニング13.5と比べて非常に高い値をキープしている。
インタレストカバレッジレシオは営業CFが支払利息の何倍あるかという指標なので、数字が大きいほど財務的に余裕があることになります。それにしても一六堂が意識している同業他社が、なぜJ社とD社なのかはよく分かりませんね(笑)比較的規模の近い居酒屋ということなのでしょうか?
F/Lコスト売上比率(売上原価と人件費の合計を売上高で割ったもの)は51.5%となり、J社58.6%、D社53.6%と比べても低い。社員の給与を下げればFLコストは下がるが、一六堂は他社よりも100万円以上高い給与を払いながらFL比率は他社を下回っている。
一六堂は競合他社より高い利益率、低い借入金依存率を達成しており、財政状態の強みは今後のM&Aや新規出店などの規模拡大に大きく貢献する。
今期予算は震災の影響もなくなり増収増益となっているが、新規出店は保守的に5店舗としている。好立地物件が出てくればさらに増える。不振業態については必要であれば早期撤退も行う。昨年来取り組んでいるコスト改善意識も継続しており、今期は目標としていた経常利益率10%を達成できると思う。
今後の戦略は不振店ゼロを目指す!急激な拡大戦略より堅実な利益を追求し、不採算店はスピーディに改善を行うが、困難と判断したらスピーディに撤退し全店黒字を目指す。2012年2月にもつ鍋黒きを閉店し、2月は全店黒字を達成した。規模の拡大より強い会社を目指す。
好立地物件に絞って出店を継続していく。今期は5店の計画だが、良い物件が出れば10〜12店くらいの出店は可能。予算ありきの出店になると出店基準が甘くなる恐れがあるので、5店の計画にしている。五大陸から八吉への業態転換も進めている。五大陸も黒字だが八吉に変えることでさらに収益を上積みできる。実際業態変更店の業績は以前の150%を超えており、前向きな業態変更です。
新店の売上予算は全体の2.8%であり、新店の遅れなどによる業績のブレは小さい。
株主還元にも力を入れており、安定した配当を継続的に実施することが重要と考えている。
以上で説明は終わり、質疑応答となりました。
今期の業績も好調に推移すると見ているようですし、保守的に予算を組んでいる印象です。
質問は活発に出ていました。
(1)店舗が増えることを考えるとセントラルキッチンも必要になるのでは?
→自社でセントラルキッチンを作るより、PB商品を作ってもらう取引業者にお願いするなど自社での保有は極力抑えていきたい。テストキッチンを本社に作り、味の均質化・調理人の教育などに役立っている。
(2)調理人など人員の確保・育成策は?
→人材の育成は永遠の課題。話題のスポットが続々オープンするのでアルバイトの確保に苦労していたが、4月後半になり確保できるようになってきた。調理人の確保については、高級居酒屋業態の退店が増えており、そういったお店から入社してもらっている。今後も人財の確保・教育には力を入れていきたい。
(3)商業施設への出店などは考えていないのか?出店は東京中心だが、リスクヘッジで名古屋や大阪などの地方都市やアジアへの展開は考えていないのか?
→商業施設では羽田の第二ターミナルに3店舗出店している。仙台牛たん荒やどんぶり業態の東京カルビは商業施設からの引き合いも多い。コンパクトな出店が可能なので賃料もそれほど問題にならない。
地方出店については名古屋に5店舗あり、名古屋駅前など良い物件があれば増やしていきたい。他の地域は今は出店を考えていない。数年後にはチャンスがあるかもしれない。
アジアはまだ手の届く範囲ではないが、人材が確保できタイミングが合えば将来的には可能性はある。
(4)買参権はさらに広げていくのか?
→買参権を持っている漁港からのご紹介なども頂きながら、広げていきたい。買参権取得が視野に入っている漁港もある。買参権は地元の漁業に従事している人に代々受け継がれてきた生活権であり、取得するのは難しいが取得コストや維持コストが高いものではない。なぜ一六堂は買参権を取れたのか?とよく聞かれるが、長年何度も足蹴にされながら漁港に通ったが取れなくて、諦めかけた時もあった。そういった活動が地元の方々に認められた結果だと思っている。
(5)今期計画は保守的すぎるのではないか?足元の状況はどうか?
→昨年の3月は経常利益0.6億円の計画が震災発生で0.4億円の赤字となり、期首から予算を1億円下回る苦しいスタートになった。4月は売上は計画を下回ったものの、全社的にコスト意識が高まり利益は150%を確保できた。6月以降は売上も回復し、結果的に経常利益で過去最高益を達成できた。今期計画が保守的では?という指摘だが、過去2〜3度下方修正したことがあり、決算説明会でも2度ほど頭を丸めて説明したこともある。高校球児だったので丸坊主は嫌いではないが、下方修正して投資家や株主との約束を破るようなことはしたくない。決して保守的な計画になっているわけでは無いが、約束を破ることのないような予算にさせて頂いた(苦笑)
足元の状況は、4月は進行中だがほぼ予算通りになると思う。3月は12月に次いで利益の多い月で、2011年12月は3.5億の経常利益を確保できた。3月はそれに次ぐ利益を確保しなければいけない月だが、予算を大きく上回ることができた。
(6)出店を継続していくと説明があったが、今後ファイナンスの計画などはあるのか?
→営業キャッシュフローは12億を確保できており、バランスシートを見ても今期末には実質有利子負債がゼロになる状況であり、目先ファイナンスは考えていない。ただ大きな投資が必要になったり、多店舗展開のチャンスがあれば、ファイナンスの可能性も排除しない。
(7)東証2部上場で満足しているのか?それとも東証1部を目指すのか?
→東証2部に上場したところだが、もちろん2部で満足しているわけではなく常に東証1部は意識している。ただまだ検討段階であり時期などは未定。東証1部の上場基準で満たしていないのは、株主数と時価総額です。株主数の基準は2,200名だが、2012年2月末の株主数が1,400名で800名ほど足りない。時価総額基準は40億だが、現状35億円前後であり若干足りない。株主数については業績向上とは別の問題であり、株主を増やす方策を早急に検討していきたい。時価総額については株価次第であり、当社としては業績を向上させて行くので、お集まりの皆様のご協力を頂きながら業績を評価頂くことで株価を上げ時価総額基準をクリアしたい。
(注記)時価総額については株価が461円を超えれば40億になるので、それほど問題にはならないと思います。株主数については800名も足りないので、東証1部を目指すなら早めに手を打っておく必要があります。会社側としてもそう考えているようで、株主数を増やす秘策(笑)を考えているようです。
一六堂は増資の可能性は低いので、株主数を増やすには2通りあると思います。
(1)株主優待制度を導入して個人株主を増やす
(2)1部指定替え前に、大株主の持ち株を立会外分売などで売出して株主数基準を満たす
たぶん株主優待制度を導入するのではないかと感じますし、期待しています(笑)
(2)の方法だと一時的には株主数が増えますが、分売で買った株主が少しの利益で売ってしまうと、また株主数は減少してしまいます。株主数が安定しないことから、株主優待導入の方がメリットがあると思います。ぜひ株主優待券で一六堂のお店に食事に行きたいです(^_^)v
(8)財務内容はさらに良くなり、フリーキャッシュフローも増加傾向で株主還元の原資は十分あると思うが、今期は記念配を落とすので減配予想になっている。株主還元は安定配当を重視と説明があったが、今後の株主還元についてはどう考えているのか?
→今後も業績を伸ばしていくことで、配当も今期以上に安定的に増やしていきたいと考えている。
(9)ホームページを見ても更新される情報が少なく、投資家から注目される機会が少ない。毎月月次売上を公表するなど情報開示も強化してほしい。
→月次売上は季節要因が大きかったり、昨年の震災の影響でブレやすくなっている部分もある。株主の方々に会社の現状をスピーディに伝えることは大事だが、月次売上を発表することで、1ヵ月ごとの業績で毎月株主が一喜一憂するのも問題だと思う。現状の四半期ごとの開示でご理解いただきたい。
以上で時間となり、質疑応答は終了となりました。
質問も多く出ていてアナリストの方々の関心も高いと感じました。ストロングBuyとかアウトパフォームというレーティングのアナリストレポートがたくさん発表され、一六堂の良さが投資家から評価されるようになるといいですね! 私の一六堂の評価はもちろん ストロングBuy です!
居酒屋銘柄の中でも際立つ財務内容の良さと利益率の高さを持ち、ビジネスモデルも素晴らしいのに対し、株価は割安に放置されていると判断しています。この辺りは別途まとめてみたいと思っています。
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一六堂は名証セントレックス市場に上場していましたが、2011年12月からは東証2部にも重複上場しています。
現状東証での売買がほとんどなので、名証に上場している意味はなく、上場コスト削減のためにも名証の上場は廃止しても問題ないと思っています。