2012年03月20日

燦ホールディングス会社説明会

2012年3月17日(土)に読売ブリッジサロン主催で行われた燦ホールディングス個人投資家向け会社説明会に参加しました。当日はリンクアンドモチベーションの株主総会に出席してから駆け付けたので、少し遅刻してしまいました。燦ホールディングスは、関東・関西で葬儀事業を展開している会社です。主に公益社ブランドで事業展開を行っています。
2012年3月16日(金)の株価 1,685円(東証1部 9628)100株単位 3月決算
PER 11.7倍、PBR 0.49倍、配当利回り 2.37%、株主資本比率 75.7%
株主優待 3月末の100株以上所有株主に花とみどりのギフト券3千円分
株主優待について詳しくはこちら → 燦ホールディングス株主優待ページ

 燦ホールディングス(9628)ホームページ
 燦ホールディングス(9628)ヤフー株価情報
燦ホールディングス株価
上場以来の燦ホールディングス株価推移は上記の株価チャートの通りで、ずっと下落傾向が続いてきました。2011年に入りやっと上昇に転じてきた感じです。後ほど他の葬儀関連の上場企業と株価推移を比較してみますが、株価が低迷していたのは燦ホールディングスだけというわけではなく、投資家に葬儀業界の人気がないことがよく分かります。
私は人気のない業種がけっこう好きなので、葬儀業界の上場企業には幅広く投資しています。人気のない業種は成長性などが無視され割安に放置されていることが多いので、その分チャンスも大きいですし、中長期投資に適していると考えています。関連する記事は下記の通りです。
   燦ホールディングス2009年株主様向け会社説明会レポート
   燦ホールディングス2010年株主総会レポート
   平安レイサービス2009年株主総会レポート まだ未完成(^_^;)
   名古屋の葬儀会社ティア情報ページ
燦ホールディングスの会社説明は古内耕太郎社長から行われました。
古内耕太郎社長は葬儀業界では珍しく外資系保険会社のAIGからヘッドハンティングされて燦ホールディングスに転職しています。AIGの顧客戦略本部マーケティング部長を経て2005年6月に燦HDの取締役首都圏担当兼マーケティング戦略部長に就任し、2008年6月に副社長そして2009年4月から代表取締役社長に就任しています。トントン拍子に出世していることが分かります。
2008年10月のリーマンショックでAIGは実質破たん状態に追い込まれたことを考えると、古内耕太郎社長には先見の明があることがよく分かります。

燦ホールディングスは1932年(昭和7年)8月創業で本年で創業80周年を迎える歴史ある会社で葬祭業界最大手です。公益社ブランドで東京・神奈川の首都圏と大阪・奈良・兵庫の関西圏で葬儀事業を展開している。その他タルイブランドで兵庫、葬仙ブランドで鳥取・島根でも葬儀事業を行っている。葬儀業界には監督官庁がなく、規制もないので異業種からも含めて新規参入が続いている
全国に公益社ブランドで葬儀事業を展開している会社があるが、燦ホールディングスとは関係ない。どこの公益社さんも真面目に事業を行っているので(公益社ブランドが毀損せず)感謝している。

葬儀業界は大きく分けて2つあり、燦ホールディングスのような専門葬儀社と冠婚葬祭互助会で事業の一環として葬儀を行っている会社に分けられる。専門葬儀社の売上では公益社がトップで174億円、2位が名古屋のティアで76億円となっている。以下3位セレモアつくば(東京都)65億円、4位公益社(京都市)61億円、5位福祉葬祭(さいたま市)57億円となっている。
4位公益社は同じブランド名だが燦HDとは関係ない。子会社の葬仙は14億円で35位、タルイは12億円で49位となっている。燦HDとティアが上場企業です。
冠婚葬祭互助会では、1位ベルコ(大阪府)574億円、2位日本セレモニー(山口県)355億円、3位出雲殿グループ(浜松市)399億円、4位セレマ(京都市)330億円、5位平安閣グループ(名古屋市)301億円となっている。
葬祭企業の場合、市場動向が死亡者数の推移になる。非常に不謹慎な話と感じるかもしれないが、今日は投資家向けの説明会なので、今後の死亡者数推移について説明させて頂く。
2011年の死亡者数は速報値で126.1万人だが、ピーク時の2040年には約1.3倍の166.9万人になると予測されている。今後拡大するマーケットということや参入規制などもない業界なので、異業種からの参入も活発で競合が激化している。
葬儀専門業者は10名未満の零細企業中心に約4,100社あり、冠婚葬祭互助会が約300社、異業種参入組としては電鉄会社、流通企業(イオンなど)、生協・農協などが積極的に参入している。関東の電鉄会社では京浜急行が子会社で参入しており、関西では阪急電鉄が子会社で葬儀事業を展開、南海電鉄はティアのフランチャイズで葬儀事業に参入し、積極的に葬儀会館を増やしている。農協も葬儀事業に積極的に取り組んでいる。
これらの葬儀会社の中で上場しているのは、燦ホールディングス、サン・ライフ(神奈川の冠婚葬祭互助会)、平安レイサービス(神奈川の冠婚葬祭互助会)、ティア(名古屋の葬儀専門会社)の4社です。

葬儀会社は昔はBtoB事業であり、町内会やお寺さんが葬儀を行う際の裏方としてお手伝いをしていた。それが時代の変化とともに個人から直接葬儀を請け負うようになり、BtoC事業になってきた。
葬祭業を巡る行政の新しい動きとして、2010年6月18日に閣議決定された新成長戦略において、医療・介護・健康関連サービスが高い成長と雇用創出が見込める成長牽引産業と位置付けられ、葬祭業も看取りにつながる生活関連産業のひとつとして取り上げられている。
さらに2011年8月10日に、安心と信頼あるライフエンディング・ステージの創出に向けて−新たな絆と生活に寄り添うライフエンディング産業の構築 が公表され、人生の終末や死別後に備えて生前から準備を行うことや、遺族の心のケアなどが注目を集めている。
行政の関心の高まり、社会的認知の増大に伴い、コンプライアンスを重視する燦ホールディングスにとって一層有利な事業環境が整備されると期待される。
昨年までは葬式は、要らないという島田裕巳氏の本がベストセラーになったり、小規模な葬儀でいいとマスコミで騒がれたが、東日本大震災以降そのような報道は減った。命や絆の大切さについて考える機会が増え、死生観や人生観に影響を及ぼしている。価格や効率を重視し簡略化された葬儀に疑問を抱き、葬儀の必要性を見直す傾向にある。
最近は過去にないほど葬儀をテーマとした映画やドラマが増えて、社会からの葬儀業界に対する注目度も高まっている。サン・セバスチャン国際映画祭にノミネートされた2011年10月ロードショーの映画エンディングノートや、今週最終回を迎えたTBSドラマ 最高の人生の終り方〜エンディングプランナー〜も人気のAKB48や山Pなど人気のあるキャストを揃えて制作されるなど注目されている。
私もグリーフケアという本を出した   
講演の依頼も増えて年間約30回の講演を依頼されるまでになった。
燦ホールディングスが考える葬儀の役割は、尊厳ある形で故人をお送りすること、ご遺族・故人の友人・知人の悲しみをケアすることであり、葬儀本来の意義と役割を提供している。
葬儀は文化であり、葬儀など簡単でいいという人ばかりになったら日本も寒々しい社会になってしまう。葬儀会社の中にも葬儀をゲストハウスウェディングと勘違いして、イベント業になっているような会社もある(平安レイサービスの批判でしょうか^_^;)
燦HDではエンバーミング(遺体衛生保全)に力を入れており、積極的にお薦めすることで公益社の60〜70%はエンバーミングを実施している。欧米では戦争が多かったこともありエンバーミングが発達した。

燦ホールディングスは10年ビジョンを作成しており、2012年3月期までは今後の成長のための基盤整備期間と位置付けている。来期以降は積極的な出店も行い、本格的な成長を目指す。
営業エリアの拡大として、2011年3月には公益社田園調布会館をオープンした。賃借により投資リスクを伴わず、田園調布エリアでの葬儀会館を確保した。関西でも住吉御影会館、学園前会館など富裕層の多い地域で、競合条件が比較的緩やかな場所を選んで出店している。
遊休施設の守口事業センター跡地をニトリに賃貸することで、今期以降5千万円/年の税引き後キャッシュフローを生み出し、今後の新規出店費用に充当する。
今期までは今後の成長のための基盤整備期間なので減収減益傾向だったが、今期は増収増益を計画している。この3年間は新規会館のオープンはじっと我慢して、社内の体制整備を優先して行ってきた。
最近他の葬儀会社で、積極的に葬儀会館を増やしている会社がある。葬儀会館を増やせば当然売上・葬儀件数は伸びるが、ぜひバランスシートを見てほしい。たぶん借金が大幅に増えていると思う。借金が多ければ今後の投資資金が確保できない。葬儀会社は安定してビジネスを続けていくことも大事であり、継続して成長していけるかが重要です。売上・利益だけではなくバランスシートもしっかり見て投資を判断してほしい。資金余力があることが今後の成長には重要になる。
注記)ティアへの批判のようです^_^;投資できるのは上場企業だけですが、上場している互助会2社は互助会なので借金はなく、ティアへの投資は止めた方がいいよ〜と遠回しに批判していると考えて間違いないようです。今ごろアドバイス頂いても困りますね〜もう手遅れだし(笑)
燦ホールディングスはこの3年間出店を控えてきたので資金余力も十分で、今後の積極出店ができる体制が整備できた。ぜひバランスシートを良く見て投資の判断をして欲しい(と何度も強調していました(笑))
燦ホールディングスでは葬儀も文化産業だと考えており、堅実な成長をしていきたい。
配当も安定が重要と考えている。
注記)安定配当を重視と説明していましたが、2010年度までの50円配当から2011年以降は40円に減配されています。さらに株主優待も年2回でしたが、2011年度からは年1回に半減しています。株主から見ると、株主還元は安定しているとは言えないように感じますが(^_^;)

(1-1)燦ホールディングスで遺体を焼いて粉にするまでの値段はどの位か?
→火葬は燦ホールディングスでは行わず、火葬場で行っている。
(2-2)グループ会社のマネジメント体制の見直しはどんなことを行っているのか?
→以前は他社との競合も少なく、拡大路線をベースにしたマネジメント体制だった。機能ごとに分社化したり分散していて、一部機能は競合他社にも提供していた。葬儀の規模が小さくなるに従い、冠婚葬祭互助会などで自社内に取り込む動きが広がり、外部向けの売上が減少し効率が低下していた。自社内のサービスに特化してスリム化したり、再整理を行ってきた。また職務のマルチ化も行い、分業体制だったものを1人で複数の業務を担当できるようにした。これらによりグループの効率が飛躍的に向上した。
(3-2)東京と大阪で株主懇親会を開催していると聞いたが本当か?いつ時点の株主が対象になるのか?
→毎年東京と大阪で株主説明会を開催している。普段触れる機会の少ない葬儀業界の動向や、会社の考え方を株主の皆様にお伝えすることで、長く応援してもらえるように開催している。対象株主は株主名簿に基づき定期的にご案内している。
(4-2)例えば3月末の株主が対象とかではなく、テキトーに案内しているのか?
→適当ではなく(笑)ある一定時期の株主名簿に基づき案内している。いつ時点の株主なのかはこの場では分からないので、説明ブースにいる社員に聞いてほしい。
(5-2)燦ホールディングスの株を時々売買していて、板がスカスカの燦HD株の流動性向上に少しは貢献していると思うが、私が注文を入れると買う時も売る時もすぐ上や下に注文が出る様になっている。こんな状態では売買が成立しないのでやめて欲しい。
→答えようのない環境要因なので、回答はご容赦いただきたい。
(6-3)名古屋のT社が関東に進出するのでは?と噂になっているが、どう考えているのか?
→名古屋のT社が関東に進出する件についてですが。
(質問者から)値段が下がると思うんですが
会社ごとにターゲットとしている顧客層が異なり、提供しているサービスも異なるので、必ずしも燦ホールディングスの事業エリアで競合するとは考えていない。従って燦ホールディングスの葬儀単価が下がるとか、脅威になるとは考えていない。T社は名古屋は自社で葬儀会館を展開し、それ以外はフランチャイズでフランチャイジーが展開する考えだが、自社と違ってフランチャイジーでは葬儀の品質を維持することは難しいのではないか?と個人的には感じている。なので現段階では脅威ではないと判断している。
(7-3)エンバーミングとは具体的にどんなものなのか?費用はどの位か?
→日本では人が亡くなった後にほとんど遺体の処理はしない。しかし考えてもらえば分かるように、人は亡くなった途端免疫機能が停止するので腐敗が始まる遺体はある意味では危険な状態です。遺体を科学的に処理することでまずは感染症のリスクを無くすことが重要です。皆さんにお伝えしたいのは、お葬式の時に安易にご遺体に触れてはいけないということです。感染症のリスクがあります。そのリスクを低減するためにもエンバーミングが必要ですし、亡くなった方の尊厳を保つためにもエンバーミングが重要になる。
エンバーミングしていないご遺体の葬儀では、顔の部分しか見えないと思う。それは体中にドライアイスを20kg載せているので、それを布などで隠すと顔しか見えない。そんな状態でお孫さんなどに見せると怖がってしまう。エンバーミングをするとドライアイスが必要ないので、まるで寝ているかのような感じで好きな洋服を着た状態で葬儀を行うことができる。それだけでもご家族や周りの方々の心のケアにつながる
エンバーミングにはいろいろな効果があるので、ご興味があるならぜひホームページを見てほしい。
(8-3)費用的にはどうなのか?
エンバーミングの費用は東京ではだいたい15万円です。

以上で説明会は終了となりました。
古内耕太郎社長はティアは脅威ではない!と強気の発言をしていましたが、説明の端々で競合他社を批判するような発言があり、言葉とは裏腹にかなり意識しているように感じました(笑)
生き馬の目を抜く外資系の会社で出世競争を生き抜いてきた古内耕太郎社長は、相手に弱みを見せたら負け!と考えているのかな〜などと想像してしまいました。全体を通して感じた感想や、説明ブースで聞いてきた内容、競合他社との株価比較などは別途まとめてみたいと思っています。
   燦ホールディングス会社説明会の感想
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ひらめき
posted by Zaimax at 20:23 | Comment(0) | TrackBack(0) | セミナー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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