サンヨーハウジング名古屋(8904)2011年株主総会レポート
株主優待廃止を発表して1ヵ月半後の株主総会なので、質問や苦情がたくさん出ると思っていましたが、意外とあっさりと終わってしまいました。しかしながら、株主優待を廃止した理由の一つとして挙げていた、機関投資家にもっと売買してもらって株価や流動性を上げたいという会社側の考え方には少し不安を感じてしまいました。
どこの機関投資家がサンヨーハウジング名古屋に興味を持って接触してきたのかは分かりませんが、株主優待をうまく使って一儲けを企んでいるのではないか?と危惧してしまいます。
まず手始めに、株主優待を廃止させて個人が投げた所を機関が安く仕入れる
→大量保有報告を出して人気化させる
→さらに買い進んで株価はさらにヒートアップ
→株主優待復活を機関投資家が働きかけ(笑)株主優待人気でさらに株価高騰!
→個人が飛びついてきた所で機関投資家は高値で売り抜け
→売り抜けられなかった分は会社側に自社株買いで引き取らせる
→後には高値掴みの個人投資家の死屍累々(T_T)
なんていう2004年当時の2匹目のドジョウを狙っているんじゃないかな〜と心配になります。
機関投資家の言いなりになって、うまく利用されていなければいいんですが...(^_^;)
過去のタワー投資顧問の売買を振り返りながら、私の考え方をまとめてみます。
タワー投資顧問がサンヨーハウジング名古屋に投資?投機?したのは上場間もない2003年頃ですが、当時の詳しい資料はほとんど残っていません。現状分かる範囲で過去のデータを探し、タワー投資顧問の持株比率と株主数の推移をまとめてみました。
タワー投資顧問の持ち株数は大量保有報告が一部残っていますが、サンヨーハウジング名古屋の株主名簿には登場していません。株式はタワー投資顧問名義で保管しているのではなくて、信託銀行などの名義で保管しているためです。そのためタワー投資顧問の持ち株数は、サンヨーハウジング名古屋の株主名簿ではゴールドマン・サックス・インターナショナルとして表示されています。以下の持ち株比率はそのゴールドマン・サックス・インターナショナル名義の持ち株比率になります。タワー投資顧問以外の株数も一部入っている可能性があるので、その点はご了承ください。大量保有報告と比べると、大部分はタワー投資顧問の保有と思われます。
データが見つからないので、前後の持ち株比率から一部推定で表示している部分もあります。

タワー投資顧問は、サンヨーハウジング名古屋の株主として2003年3月以降に登場しています。2003年2月末と2003年8月末の大株主を比較すると、この間に宮ア宗市社長の持株比率が7.6%減っていること、現状で確認できた一番古いタワー投資顧問の大量保有報告書では、2003年6月11日時点で9.9%保有していることが分かることから、2003年3月以降6月までの間に市場で買うと同時に宮ア宗市社長からも購入したようです。晴れて2003年8月末にサンヨーハウジング名古屋の第2位株主に登場します。その後も買い進めて2004年8月頃がピークで持株比率が13%程度まで達しています。
下記の株価チャートを見て頂ければ分かる様に、2004年8月に上場来高値の27万円を付けています。

それ以降は一気に売却に動き、持ち株比率の推移を見ればわかる様に1年で半減、そして2008年2月には大株主からも消えて1%以下になっています。
ここまでを見るとうまく売り抜けているな〜さすが清原達郎氏は運用がうまいな〜2004年の高額納税番付でサラリーマンとして初の1位に輝くだけのことはあるな〜という話ですが、そんなきれいごとだけではないと思います。
タワー投資顧問が売り抜けている間に、一方では株主数が急増しています。大半が個人株主だと思いますが、あのタワー投資顧問が買っているんだから間違いないんだろう、株価が少し下がっているのは買うチャンスかも!と考えて飛びついた人がたくさんいたのではないでしょうか?
当時サンナゴ株がどのような雰囲気だったのかは覚えていませんが、掲示板などではタワー投資顧問も買っている!などと買い煽られて、かなり熱かったのではないかと推測します。
その後の株価推移を見れば分かる様に、タワー投資顧問が売り抜けた後は高値掴みの個人株主の見切り売りがずっと続き、株価は長期低迷という状況が続いています。もちろんリーマンショックなどの外部要因もありますが、タワー投資顧問が手掛ける前と去った後を比べると、株価は往って来いであり、サンヨーハウジング名古屋の企業価値向上にはまったく寄与していないと思います。多額の含み損を抱えた大量の個人株主を発生させて、その分タワー投資顧問が儲かっただけのゼロサムゲームです。
まあこの間何回か増資を行っているので、タワー投資顧問がサンヨーハウジング名古屋株を人気化させてくれたおかげで、会社側としては有利に資金調達できて感謝しているのかもしれませんし、うまくタワー投資顧問に追随して儲けた投資家も感謝していると思います。
しかし、ゼロサムである以上大多数の個人株主は損を余儀なくされたわけです。
もちろん自己責任ではありますが、機関投資家が入ってくることで株価を上げて出来高も増やしてもらいたいという考え方は、私には非常に危険な考えだと感じてしまいます。
たとえ一時的に株価が上がったとしても、また下がってしまえば自己責任の言葉の下に損失を積み重ねられる個人株主が増えるだけですし、そんなことが続けばサンヨーハウジング名古屋に対するイメージも悪くなってしまうと思います。
日本証券新聞の記事ではタワー投資顧問について市場関係者の声として、「ファンド解約などを受けて泣く泣く処分するにも、機関投資家との相対取引、自社株買いに合わせて売却するなど、マーケットインパクト抑制の意思がうかがえる。企業や市場への誠意の表れ」と評価する人もいたようですが、機関投資家との相対取引はけっこうなことですが、自社株買いで会社側に買い取らせるのは個人投資家からすると問題だと思います。会社側に買い取らせるのが企業や市場への誠意の表れならば、グリーンメーラーだって企業や市場への誠意の表れ(^_^;)ということになってしまいます(笑)
機関投資家が株を持つと本当に株価が上がるのか?出来高が増えるのか?という点についても若干疑問に感じます。
機関投資家がまとまった株数を保有すれば、市場で流通している株数が減少します。どうやって株を買い集めるかにもよりますが、市場から買い集めれば株価は上がるもののその後の流動性は低下します。
一方でタワー投資顧問の様に大株主から直接買ったり、あるいは第三者割当増資などの形で市場外で購入すれば、株価が上がる要素は減りますが、流動性は低下しません。著名な機関投資家が購入したとなれば追随買いが入るので、株価の上昇もある程度期待できます。
機関投資家にも色々なタイプがあり、タワー投資顧問の様に比較的短期で買い仕掛けて、提灯が付いたところで売り抜けるヘッジファンド的というか仕手筋みたいなところもあれば、本当に長期視点で投資するところもあります。
ただ一つ言えるのは、機関投資家は自分のお金を運用している訳ではなくて、他人のお金を代わりに運用しているに過ぎないということです。なので、たとえ長期保有を考えていても売らなければならないこともありますし、安定した長期株主にはなりにくいと思います。
その点個人投資家は自らの資金を運用しているわけで、本当に応援し甲斐のある会社であれば、ずっと株主として応援してくれる可能性もあります。
今回のサンヨーハウジング名古屋の株主総会では、個人株主をずっと大事にしてきたし今後もその考えは変わらないと強調していましたが、本当にそう考えているのであれば、株価を必要以上に上下させて個人投資家を惑わせるような機関投資家を相手にするよりも、地道に長く応援してくれる個人株主を増やして欲しいと思います。
先日参加した個人投資家向けの会社説明会でも、個人投資家に対する姿勢として、私には正反対に聞こえる発言がありました。
スター精密の佐藤肇社長は、下記の様に語っていました。
年2回機関投資家向けの決算説明会も行うが、私は個人投資家向けの説明会の方が大好きであり、個人株主をもっと増やしていきたい。機関投資家は他人に投資を勧めたり、他人の資金を運用しているだけだが、個人投資家は大事な自分のお金をスター精密に投資してくれるので、本当にありがたいし大事にしたいと思っている。
私は、個人投資家はこういった姿勢の会社に投資した方が良いと考えています。スター精密について調べているわけではないので、買いを推奨しているわけではありません。
一方で同じ説明会に参加していたトライステージの妹尾勲社長は、質疑応答の中で下記のような発言をしています。どう考えても私の書いた記事を批判していると思われるので、若干バイアスが掛かっているかもしれません(^_^;) ググってみても、トライステージの会社説明会の様子を記事にしているのは私しかいないので、間違いなく下記の記事を批判しているものと思われます。
トライステージ(2178)会社説明会 2011年9月6日付
あるブログで、個人投資家向け会社説明会の様子を質疑応答も含めて記事にされ、非常に悲しく感じたし、大変迷惑している。こんな風にネット上に書かれてしまうのでは、今後個人投資家向け会社説明会では質問にも答えられない。
なるほどね〜記事になんかせず自分だけの情報として囲い込んで儲ける(笑)機関投資家向けには何でも気軽に喋れるけど、こんな記事にされてしまうような個人投資家向け会社説明会では、こわくて何も喋れないんですね。
記事を読んでもらえば分かると思いますが、説明会に参加して好印象を感じたので、けっこうポジティブなレポートを書いたつもりですし、知名度の低いトライステージを少しでも多くの人に知ってもらえるきっかけになったのではないか?と感じていただけに、上記のような発言を聞いてとても悲しくなりました。
月次売上が前年割れになった要因についてはよく分からない部分もあるので、書いてほしくない気持ちも分からないではないですが、そういった姿勢も含めて率直に投資家に語りかける妹尾勲社長の姿勢を私は高く評価していたんですけどね。
妹尾勲社長もまさか記事を書いた本人がいるとは思っていなかったのかもしれませんが、面と向かってあんな風に言われてしまうと、名指しではないものの書いた本人にとっては名指しと同じであり、非常に悲しく感じました。あるいは来ていることを知ったうえで、私に対して発言したのでしょうか?
私も少し感情的になり、帰ったら反論記事を書こう!個人投資家を軽視している典型例として取り上げよう!とその場では思いましたが、今のところ自重しています。でもそのうち書くかも(笑)
批判的な記事を書くのはホルダーからは批判も受けるでしょうし、色々支障もあります。ネガティブな記事を書くのはやはり精神的に疲れる部分もあるので、少し時間を置いて冷静になってから考えます。
また脱線してしまいました(笑)
ここまで機関投資家の姿勢を問題視してきましたが、もちろん個人投資家の側にも問題があります。
17,636人の株主のうち、年2回の株主優待権利日だけの株主が相当数いると思います。
最近は現物買いと信用売りで両建てして、実質的には株主とは言えないような幽霊株主も多数いると思います。こうした株主は会社側からは歓迎されないでしょうし、こうした株主が増えたことが最近の株主優待廃止や縮小の動きにつながっているのではないか?と危惧しています。
会社側の発言を聞いていても、特にこの点を問題と感じているのだと思います。
両建てしている場合、配当については実質ゼロとなるように調整されているわけですから、株主優待についてもなんらかの対応が必要だと思います。現在では株式は電子化され、株主名簿もデータベースで管理されているんですから、権利日だけの株主を株主優待の対象から除外することも不可能ではないと思います。権利日から1ヵ月後の株主数を調査してみたら半分以下だった(^_^;)などとなれば、日本は変な市場だな〜ということにもなりかねません。
もっと長期投資が報われるような株式市場になって欲しいものです。
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