10月は株主総会が少ないことや上旬・中旬は株主総会があまりないことも一因ですが、今週後半からは株主総会も始まるので、来週からは本来の株主総会関連の記事も書きたいと思っています。
そんな前振りとともにまたオリンパス問題ですが、11月17日(木)頃から海外発の記事を中心に、オリンパスの巨額の損失隠しに使われたお金のうち2,000億円を超える金額が指定暴力団など「闇経済」に流れた可能性があるという報道が出てきました。
米紙ニューヨーク・タイムズや英紙フィナンシャルタイムズなどが伝えています。
ニュースソースとしては、日本の捜査当局に近い関係者から得た文書を基にしているそうですが、その文書は日本の証券取引等監視委員会、東京地検、警視庁の最近の会合で示されたそうです。
オリンパスが2000〜09年に疑わしい買収資金や投資助言手数料などとして支払った4,810億円のうち、決算書で説明が付くのは1,050億円にすぎず、残る3,760億円が使途不明となっており、捜査当局はその半分超が暴力団組織に流れたとみているという内容の記事です。
最近の会合で示されたそうですが、最近とはいつなのか?というのが気になる所です。
オリンパスの株価は下記チャートの通り乱高下しています。

以前から指摘しているように、この乱高下に伴い大儲けしている人たちがいると思います。
オリンパスの株価推移を振り返ってみると、2,500円前後していた株価が10月14日(金)以降急落を始めます。英国人のマイケル・ウッドフォード社長が解任され、コケにされたマイケル・ウッドフォード社長が解任された本当の理由として、英紙フィナンシャル・タイムズのインタビューで、オリンパス社が過去に実施していた買収に不適切な行為がなかったかどうかを調査したところ解任されたと語った、というニュースがきっかけです。
その後もオリンパス側が事実を否定するリリースや呆れた反論などが続き、泥沼化していきます。
スクープ報道などは続いたもののオリンパス側が手続きに問題はない!と強く主張したため、オリンパスの内視鏡などの事業価値なども評価して、株価は1,200円前後で踏み止まっていました。
しかし続々と新事実が明るみに出てくることで、遂にオリンパスも言い逃れができなくなり、11月8日早朝に不明朗な取引があったことを認め、12時半から高山修一社長が記者会見を行い謝罪しました。
11月8日(火)から11月10日(木)まで3日間ストップ安を付け、株価は484円まで下がりました。巨額の飛ばしをしていたんですから上場廃止が濃厚で、決算書自体も信頼できないということで株価が暴落するのは当然だと思います。翌11日もストップ安かという勢いで株価が下がっていきましたが、436円で寄り付きました。この日の最安値は424円であり、出来高は8,300万株と大商いでした。
それが翌日の11月12日(土)くらいから、風向きが変わり始めます。
きっかけは、証券取引等監視委員会が金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)容疑について行政処分にとどめる方向で検討を始めたことにより、同社の上場廃止が回避される可能性が出てきたというニュースが出てきたことです。これは東京証券取引所などが観測気球を上げてみたのではないかと感じましたが、その背後には何らかの圧力があったのではないか?と思います。圧力を受けてまずは観測気球を上げてみて、世間の反応を探ったのではないかと思っています。
世間の反応は見事に圧力をかけた方々の思い通りで(笑)、週明けの11月14日(月)から今度は一転してストップ高の連続です。16日(水)まで3日連続のストップ高で740円まで上昇し、翌17日には878円の高値までつけています。この2日間の出来高は9,200万株ほどになります。
そうした中で、今度は2,000億円を超える金額が指定暴力団など「闇経済」に流れた可能性があるという報道が出てきたわけです。
ここまで振り返っただけでも、
悪いニュースが出て株価が3日連続ストップ安、出来高8,300万株で売買成立
タイミングよく(^_^;)良いニュースが出て株価が3日連続ストップ高、出来高9,200万株と大商い
またまたタイミングよく(^_^;)悪いニュースが出て...
という繰り返しです。たぶん明日のオリンパス株も売り注文が殺到するんだと思います。
もし今回の報道が事実で、オリンパスから巨額のお金が指定暴力団など「闇経済」に流れていたとしたら、上場廃止は確実でしょう。少し冷静に見ていると、面白いように株価が翻弄されています。
笑いが止まらない人たちがたくさんいそうですね。
しかしながら今回の報道には疑問を感じてしまいます。
ポイントは、日本の捜査当局に近い関係者から得た文書を基にしているそうですが、その文書は日本の証券取引等監視委員会、東京地検、警視庁の最近の会合で示されたという文書が示された日付です。
証券取引等監視委員会や東京証券取引所などの関係当局が観測気球を上げ始めたのも11月12日頃なので、まだ最近と言えます。証券取引等監視委員会や東京証券取引所などの関係当局が、巨額の資金が闇社会に流れた可能性があると知りながら、上場維持の観測気球を上げたのだとしたらこれは大きな問題になります。
一方では今後大きな問題になりそうな事実が出ているのに、上場維持方向の方針を示すというのは、東京証券取引所としては大きなコンプライアンス上の問題になるのではないでしょうか?
上場企業にコンプライアンスの徹底を求めている東証自体が、投資家をミスリードするような対応を行っていることになり、本末転倒です。なのでこの文書が示されたのがいつなのか?がとても重要になってきますし、本当にこんな文書が示されたのか?疑問に感じるわけです。
さすがに東証もこんな対応はしないと思うので、巨額の損失隠しに使われたお金のうち2,000億円を超える金額が指定暴力団など「闇経済」に流れた可能性があると書かれた文書は存在しないのではないかと感じます。日本人として、東証などの対応を信じたいという気持ちもあります。株価を動かすために海外発でいかにも信憑性がありそうなニュースを流しているのではないか?と感じてしまいます。
一体何が事実なのかは分かりませんが、こんなニュースに右往左往してオリンパス株で一儲けしようと売買をしていると、1,200兆円あると言われる日本国民の資産が、海外に流出していくだけではないかと危惧してしまいます。
オリンパス株の出来高が膨らむほどに背後にいる人たちは儲けやすくなり、儲けも巨額になっていきます。
そろそろ冷静な対応が求められるのではないかと感じます。
明日以降株価はどんな反応をするのか見守りたいと思いますが、残念ながらこれからも株価は面白いように翻弄されるんでしょうね。
先日話題になった、ゴールドマン・サックスがオリンパス株の空売りで20億円ほど儲けていたという記事なんてほんの氷山の一角だと思います。11月11日の売買金額が350億円程度で、11月16、17日の売買金額が680億円程度だとすると、1週間で330億円!もの売買益がさらに出ていることになります。一体誰が儲けているんでしょうねぇ(^_^;)
オリンパス株の売買手口もしっかりと調査してほしいものです。
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