2011年11月14日

ゲオホールディングスの新体制

最近はずっとオリンパスの粉飾決算疑惑が話題を独占していて、なかなかゲオについて記事を書くことができませんでした。
この間にもゲオでは大きな動きがあり、2011年10月27日に代表取締役の異動ならびに新経営体制に関するお知らせというリリースが出ています。
2011年6月の株主総会で、11月から持ち株会社体制に移行することが決まりましたが、ゲオホールディングスという持ち株会社が発足するにあたり、統制の取れたグループ組織体制を目指してガバナンスを強化することを目的に、経営体制の充実および強化を図るために、経営体制を新たにするそうです。
ゲオの株価は下記の通り、10月13日の臨時株主総会を境に上昇に転じています。
ただ内紛が表面化する前は10万円を超えていたので、まだ株価の回復は途上です。
ゲオホールディングス株価

10月の臨時株主総会で遠藤結蔵氏の提案が可決となった段階で、取締役会の中で遠藤派が圧倒的多数を確保したので、社長就任に向けた動きが出てくると思っていましたが、こんなに早く社長に就任したのはちょっと意外でした。
私は、まずは調査委員会の報告を待ち、責任の所在をはっきりさせたうえで辞任を求めて、遠藤新社長就任という流れを想定していました。ゲオにおけるコンサルタント契約に関する不明朗な支出を伴う取引の調査については、2011年9月6日に社外の弁護士・公認会計士に調査依頼を行っているそうなので、この結果が出てから動き出すんだろうな〜と思っていました。
ただ調査に手間取っているようで、11月末ごろに調査概要に関する報告、12月までには最終調査報告を受ける予定になっています。なぜこんなに時間がかかるんだ!と思いますが、まだ調査に協力しないような人がいるのかもしれませんね。
というより、本来は6月に問題を指摘されているのに、本格的な調査開始が9月からという点がそもそもの問題なのだと思います。
8月8日に臨時株主総会の開催が決定(たぶん沢田会長や森原社長は臨時株主総会の開催には反対だったはず)し、8月19日には遠藤取締役が提案した議題を臨時株主総会にそのまま付議することが発表されています。一方で8月29日の毎日新聞には遠藤結蔵取締役を非難するゲオ役員、虚偽報告疑いという記事が掲載されています。
ゲオ社内での派閥抗争が一番激しかったのが2011年8月だと思います。
そのような中で、2011年9月6日に一連の問題についての本格的な調査が始まったということは、この日を境に形勢が逆転し始めたのかなという感じがします。大株主の議案への賛否状況をヒアリングするにつれて、遠藤取締役提案の議案への賛成が圧倒的に多く、特定の新聞(笑)を使ったネガティブキャンペーンをいくら行っても効果がないと悟ったのが9月初め頃なのかもしれません。
森原哲也社長は否定していますが、遠藤結蔵取締役によると、社外調査委員会の設置に沢田喜代則会長や森原哲也社長が反対して実現しなかった、だから臨時株主総会の開催を請求するしか方法が無かったという趣旨の発言をしています。それが一転して社外調査委員会の設置を認めたわけですから、やはり9月初めにゲオ社内の力関係が変わったのだろうなと感じます。

発表されたゲオホールディングスの新経営体制では、代表取締役だった沢田喜代則会長と森原哲也社長が代表取締役を外れ、会長と副会長に就任します。そして遠藤結蔵取締役が代表取締役社長に就任します。
この部分だけを見れば沢田派は役職のない閑職にされて、来年の株主総会で取締役からも一掃されるんだろうな〜と感じますし、新聞などの報道を見ると代表権の返上は一連の混乱を受けた事実上の引責という論調が多いようです。
しかし、実際に店舗運営事業を行う新設会社ゲオの新経営体制を見ると、そうとも言えないように感じます。また、久保田貴之副社長の役職がそのままというのも不思議ですね。久保田貴之副社長も沢田派の中心メンバーだと思っていたので、副社長という肩書を剥奪されてもおかしくないはずですがなぜが無傷です。途中で遠藤派に寝返ったのでしょうか?
役員人事を見ていると、この3ヵ月間ほどに何があったんだ!という色々な憶測が生まれてきますね。

その事業子会社ゲオの役員構成ですが、旧ゲオの代表取締役がそのまま異動してきたという形であり、沢田派が牛耳っています。
 沢田 喜代則代表取締役社長 営業本部、運営本部担当
 森原 哲也取締役 商品本部担当兼商品本部長
 今井 則幸取締役 運営本部長
 後藤 耕二取締役 営業本部長
 溝口 達也取締役 運営本部・商品流通部部長
 岡 泰宏取締役 ゲオホールディングス執行役員 総務本部長

残り4名の方々はどんな人なのか、どちらの派閥を支持しているのか分かりませんが、印象としては沢田派なのかな〜と感じます。吉川恭史取締役をゲオに送り込んでも良さそうに感じるんですが、沢田派の最後の抵抗で、事業会社ゲオの主導権は絶対に渡せない!と徹底的に抵抗した結果ではないか?と感じます。
沢田氏は店舗運営が得意のはずなので、ある意味適材適所の人事とも言えますが、森原氏までゲオの取締役にする必要があるのかは疑問です。この辺りからも沢田派の抵抗が強かったのかなと感じます。
全体の人事を通してみると、両者痛み分けというか妥協が成立したのかもしれませんね。

事業会社のゲオは、持株会社であるゲオホールディングスの100%子会社なので、ゲオホールディングスを押さえておけばゲオをコントロールすることは可能なはずです。なのでゲオホールディングスの代表取締役になること、ゲオホールディングスの取締役会を支配することが大事なんですが、いままでの経緯、そして今回の新経営体制を見ると、まだまだ一筋縄では行かないような感じもします。
事業会社ゲオの経営陣が果たして持ち株会社の指示通りに動くのかが不透明ですし、今後持ち株会社対事業会社と形を変えての内紛が続くのかもしれません。
事業会社のゲオはゲオホールディングスの利益の源泉であり、この部分を沢田派に握られている現状では、まだまだ両者の決着はついていないように感じます。

店舗は利益の源泉であると同時に、不明朗な取引が生じやすい場でもあるので、今の体制のままで大丈夫なのか?という点については若干不安も感じます。
12月には外部調査委員会の最終報告も出てくるので、この内容がどうなるのか?それを受けて再度経営体制の見直しがあるのか?この辺りが今後の注目点になってきます。
まずは11月末ごろに発表されるという概要報告に注目したいと思います。
中途半端な内容だったらがっかりですね。
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ひらめき
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posted by Zaimax at 11:27 | Comment(1) | TrackBack(0) | 投資で疑問に感じること | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
あれほど細かく、適切なブログが
1年間、全くなくなりました。
残念です。
Posted by ZAK at 2012年11月07日 13:44
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