2011年11月09日

オリンパスの社外取締役

今日のオリンパスの株価はストップ安に張り付いており、584円まで下がっています。
ようやく日経新聞も一面でオリンパス問題を大きく取り上げるようになりました。
オリンパスの社外取締役は3名います。今年の株主総会で一部メンバーは入れ替わりましたが、オリンパスには社外取締役3名、社外監査役2名の合わせて社外役員が5名いて、その報酬総額は2010年度で6,600万円になっています。平均すると1人1,320万円となり、社外役員の報酬としてはかなり高額の部類に入ると思います。私の印象では、非常勤の社外役員の報酬は一般的に300万円前後ではないかなと感じます。
それではその高給取りのメンバーの方々を紹介してみたいと思います。

1人は今年の株主総会で就任した、順天堂大学医学部総合診療科客員教授の林田康男氏です。
この方はオリンパスの医療機器事業関連から社外取締役になったものと思われます。その前にも医療関係者の社外取締役はいたので、医療関係者枠が1つあるようです。
オリンパスの社外取締役選任理由
林田康男氏は医学博士としての豊富な経験と幅広い知識を医療およびライフサイエンスに関する事業を中心としてオリンパスの経営に反映して頂くため、社外取締役としての選任をお願いするものです。

確かにその通りなんでしょうが、ライフサイエンスに関する事業は今回問題になった赤字会社を高額で買収して、結果として巨額の減損損失を発生させた会社が属している事業部であり、赤字続きの事業部の様です。飛ばしの処理のために存続させている事業部かもしれないので、どんなアドバイスをしていたのか気になりますね。

2人目は野村証券出身で2008年6月に社外取締役に就任した林純一氏です。
一番社外取締役歴は長いですし証券のからくりにも詳しいはずなので、今回の問題についても気付く可能性が高そうなのに、残念ながら社外取締役としての監視機能は果たせなかったようです。
オリンパスの社外取締役選任理由
林純一氏は証券業界での経験や、投資コンサルティング会社の経営者としての豊富な経験と幅広い知識をオリンパスの経営に反映して頂くため、社外取締役としての選任をお願いするものです。

その通りなんでしょうが、いま読み直してみると、豊富な経験と幅広い知識を使ってどんなアドバイスをしていたのか非常に気になりますね。
この部分に関連しては、今回のオリンパスの飛ばしについて野村ホールディングスも関わっているのではないか?という報道も出ており、早速否定するリリースを出しているようです。
オリンパスの企業買収をめぐる疑惑の中心人物として注目されている米投資助言会社アクシーズの佐川肇社長が野村証券出身ということもあり、野村証券が今回の飛ばしスキームの助言にあたっているのではないか?と疑惑を呼んでいます。
オリンパスは野村証券出身から社外取締役まで迎えており、関係を疑われるもとになっています。
これだけ野村証券関係者が関わっていると、社外取締役とは言え経営陣から独立しているとは言えないですし、自分の出身会社が関係していそうな案件について、厳しく意見することができるのか?というと無理なような気がします。そこまで考えて社外取締役として迎えていたのなら、野村証券も問題があるのではないかと感じてしまいます。

そして3人目は今年の株主総会で就任した、日経新聞社で専務取締役まで務めテレビ愛知(日経新聞の関連会社)の代表取締役社長をしていた来間紘氏です。
経済に詳しい報道機関出身者ですし、今回の問題についても何かおかしいなと気付いてくれるのではないかと期待するわけですが、こちらも残念ながら社外取締役としての監視機能は果たせなかったようです。
オリンパスの社外取締役選任理由
来間紘氏は、株式会社日本経済新聞社およびそのグループ企業での経営者としての豊富な経験と幅広い知識をオリンパスの経営に反映して頂くため、社外取締役としての選任をお願いするものです。

日経新聞の今回のオリンパス問題の取り上げ方を見ると、当初は菊川剛会長の独占インタビュー記事を掲載するなど、会社側(隠蔽側)の主張を一方的に報道していたように感じます。先日の記事でも指摘したように、日本経済新聞は2011年10月25日に開催した世界経営者会議で、オリンパスの菊川剛会長(当時)に法令順守やリスク管理など企業のCSRについて講演を依頼していたわけで、菊川剛会長が不正に関与していたら困る立場であり、不正疑惑の追及に及び腰だったのかもしれません。
オリンパスは新聞広告の顧客であり、役員を社外取締役として迎えてくれるありがたい会社でもあります。厳しく追及するのは無理なのかもしれません。新聞社から社外取締役を迎えるのは天下りを連想しますし、天下りを批判している新聞社としての姿勢と矛盾するようにも感じてしまいます。

社外取締役の方々を選んだのは、菊川剛会長を中心とする経営陣であり、粉飾決算を中心になって行っていた人達です。粉飾決算の隠蔽工作をしている人が選ぶ社外取締役に監視機能を求めることがそもそも無理ですね。私が菊川剛会長の立場なら、粉飾決算にはまったく気付かないような人を選ぶか、あるいは同じ穴のムジナで絶対に裏切らないような人を選ぶと思います。間違っても自ら隠蔽している粉飾決算を暴こうなどとしそうな人を社外取締役にすることはあり得ないと思います。自分で自分の首を絞めることになりかねませんからね!
本当に社外役員制度が機能するのか東京証券取引所も含めて検討する必要があると思います。
オリンパスが同じ日本経済新聞社出身でも天敵(笑)の、月刊FACTAの発行人 阿部重夫氏を社外取締役に迎えるようになれば、社外取締役制度も機能するのかもしれませんが、うるさいやつは身内に取り込んでしまえ!という考えならそれも困りますね(^_^;)

東京証券取引所の対応にも疑問を感じてしまいます。
巨額の不透明なカネの流れという問題が浮上してからも、オリンパスの発表を待ちたいという待ちの姿勢に始終していたような印象です。
海外の捜査機関なども動きだし大きな問題になってからやっと動き出したという感じです。
問題が出てきたらもっと強く会社側に情報開示を求め、情報開示が不十分と判断されるなら早期に監理ポストに割り当てて、投資家に注意喚起を行う必要があると思います。オリンパス側の不正はないという発表や東証の対応を見て、株価が半値以下になり安くなったからチャンスだと感じてオリンパス株を買った個人株主もけっこういるのではないでしょうか?
東証の対応についても動きが遅いのではないかな〜と感じてしまいます。
この時期に東証は大証との統合交渉をしていた様なので、上場企業の不祥事を追及することより、東証自体の企業価値の高さをアピールすることに力を入れていたのかもしれません。上場企業の不祥事が続くことで投資家の東証離れを加速し、東証の市場価値、ひいては企業価値が低くなってしまうことをあまり真剣に捉えていないのでしょうか?
このままの状況が続けば、海外では東証が大証に救済合併されるのでは?というような論調が出てきてもおかしくありません。東証も不祥事企業については、会社側の発表を待つなどという悠長な姿勢を改め、期限を切って積極的に情報開示を求める、応じない場合は監理ポストに割り当てるなどの措置を迅速に取る必要があると思います。
自身の企業価値の高さを大証にアピールすることよりも、この方がずっと大事なことだと思うんですが。
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posted by Zaimax at 11:30 | Comment(0) | TrackBack(0) | 投資で疑問に感じること | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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