ジャイラスの買収時の異様に高額なアドバイザー報酬や、赤字のベンチャー企業を気前良く高値で買い取っていたオリンパスですが、2011年11月8日の12時半から高山修一社長が記者会見し、遂に粉飾決算を認めました。
月刊FACTAが追及していた通りの展開になってきました。
月刊FACTA編集長の阿部重夫氏のブログを見ても、さらにやる気満々のようです。
こういった時ほどより慎重な大人な対応が求められると思いますが、今日の記者会見ではどんな感じだったのでしょうか?また激しく高山修一社長を追及していたんでしょうか(笑)
会見によると、バブル末期ごろから業績が低迷を始めたことから他の会社と同じようにオリンパスも財テクに走り、それが1990年のバブル崩壊で大きな含み損を抱えることになった。その損失を隠すために1990年代から含み損となっている投資有価証券を期末に他社に売却して損失を隠していたそうです。
いわゆる簿外への飛ばしを行っていたわけですね。
山一證券が倒産したのも簿外に飛ばしていた巨額の損失が明るみに出たからであり、オリンパスについても上場廃止というレベルの問題ではないと思います。もちろん飛ばしの規模にもよりますが、オリンパスは借り入れが増加し財務内容が悪化している中での粉飾決算です。今まで決算書類を信じて融資に応じてきた金融機関の融資姿勢も厳しくなると思います。場合によっては一括して繰上げ返済を求められる可能性もあるのではないでしょうか?
金融機関とすれば粉飾した決算書を元に融資を求められていたわけであり、詐欺にあったようなものです。一括返済までは求められなくても、短期借入金の借り換えには応じてもらえないかもしれません。そうなれば資金繰りに行き詰まり倒産という可能性もあります。
高山社長は「上場廃止にならないよう全力で努める」と話していますが、上場廃止で済めば御の字という感じではないでしょうか?
というよりも上場廃止になればさらに信用力が低下するので、倒産リスクも高くなるわけで、倒産を避けるためにもなんとしても上場を維持したいという想いなのかもしれません。
今回の会見でも飛ばしの金額については回答していません。ここで金額を明らかにすると、第三者委員会の調査の妨げになるからというような言い訳をしていますが、なぜ金額を明らかにすると調査の妨げになるのか理解できませんね。
会社の存亡に関わるような大きな金額なので、とても怖くて言えなかったのではないか?という憶測を呼んでしまいます。本来なら「森副社長が打ち明けた飛ばしの金額はこれだけだが、正確な数字は第三者委員会の調査を待ちたい」というような回答があってしかるべきではないでしょうか?
高山社長の回答の様子も、外部の第三者委員会で明らかにできるならやってみろとでも言いたげな感じに見えてしまいました。会見の様子を見ていて、どうせ第三者委員会では全貌は明らかにできないんだから、ここで数字を言わない方がいいな、という判断なのかと感じてしまいました。
飛ばしの原因になった財テクについても、他の会社もやっていたようにオリンパスも財テクに走り と強調していて、うちだけじゃない、みんなやっていたんだと他社にも責任を転嫁するような説明でした。
こんな会見を見た海外の投資家は、日本の会社はみんな財テクで失敗し、巨額の含み損を簿外に飛ばしているのではないか!?日本の会社の財務諸表は信用できるのか?と感じてしまうのではないでしょうか?
この期に及んでも他社も巻き添えにしようとするオリンパスの甘えの姿勢には辟易としますね。
こんな会社は早く上場廃止にして欲しいものです。他の上場企業にも迷惑です。
今日の日経平均は見事に後場から下がっており、高山修一社長が記者会見が進むに連れて株価の下げが加速しています。
これは高山修一社長の記者会見を見て、オリンパス以外にも粉飾決算をしている会社がたくさんあるのではないか?と懸念した海外の投資家が売ったからなのではないでしょうか?だとするとオリンパスの無責任な姿勢が、他社も巻き込み日本株を叩き落したことになり、まさにオリンパスショックの様相です。
他社もやっている、オリンパスだけが悪いんじゃないとでも言いたげな会見は、子供言い訳みたいで見苦しいです。こんな会見を見せられたら日本株への投資をためらうのもやむを得ないかなと感じてしまいます。
ガバナンスのないオリンパスにここまで求めるのは酷かもしれませんが、粉飾を認めるなら他社がどうのという言い訳などせず、誠実な態度で謝罪してほしかったですね。
海外の投資家からするとエンロン・ワールドコム問題が想起されて、きっと他社でも同じような問題があるんだろうな、もしかしたら財務諸表の粉飾に監査法人も手を貸しているのかもしれない、まだまだ問題は広がるかもしれない、日本株はとりあえず売っておいた方が安心だな、と考えてもおかしくありません。
エンロン・ワールドコム問題では、名門会計事務所のアーサー・アンダーセンの対応も問題になり、最後は解散に追い込まれています。
オリンパスの監査法人はあずさ監査法人→新日本監査法人が担当していますが、この問題についてどのように対処していたかによっては、監査法人も含めた問題に発展する可能性もあります。
今回の粉飾決算には、直近の経営陣では菊川剛前社長、森久志副社長、山田秀雄常勤監査役が関わっていたそうですが、ずっと引き継がれていたということなので、過去の経営陣も追及の対象になるでしょうし、株主代表訴訟に発展する可能性も高いと思います。
他の取締役がまったく気付かなかったというのも不自然です。菊川剛会長の言いなりの取締役が多かったようですが、それはややこしい問題はすべて処理してもらっているので頭が上がらないからなのではないかなと感じてしまいます。具体的には分からなかったとしても、何か不透明な工作をしているんだろうなとは感じていたと思います。今後他の常勤取締役にも問題が波及する可能性はあります。
来年の株主総会でも取締役に再任されるようなことがあれば、株主から厳しい質問が飛ぶことは容易に想像できます。
さらにはオリンパスには著名な社外取締役もいるのに、こちらもまったく機能していなかったようです。
日本経済新聞社の専務取締役まで務めた来間紘氏や野村證券、BNPパリバ証券、クレディ・スイス・ファースト・ボストン証券などを渡り歩いた林純一氏などがいるのにまったく気付かなかったのでしょうか?
日本経済新聞は2011年10月25日に開催した世界経営者会議で、オリンパスの菊川剛会長(当時)に法令順守やリスク管理など企業のCSRについて講演を依頼していた様なので、来間紘氏もまったく気付かなかったのかもしれませんね(笑)
それにしても菊川剛会長が一体どんな話をする予定だったのか気になりますね!
粉飾決算も見つからなければ粉飾じゃないんです!上手に粉飾して見つからないようにリスク管理する極意を、ジャイラス社の買収などを実例に講演してくれたのかもしれません。菊川剛会長は直前までやる気満々だったという情報もあったので、隠し通せると考えていたんでしょうね。
もし講演を行っていたら、オリンパスとともに日本経済新聞社も世界の経営者から笑いものにされているところでした。まあ講演内容のコンテンツ価値は一気に高まったと思うので、一時的な利益にはつながったかもしれませんが(笑)
今後社外取締役についても問題になってくると思います。素晴らしい肩書の持ち主であまり厳しい意見を言わないような人を選ぶような会社は信頼されなくなってくるかもしれませんし、なぜその人を社外取締役に選ぶのか?について、詳しい説明を求める株主が増えると思います。これは日本の会社のガバナンス強化にとってはいいきっかけなのかもしれませんね。そう前向きに考えるしかないと思います。
それにしても日本株に投資している身としては、他社に広がらないことを祈るばかりです。
大王製紙から続く日本企業のコンプライアンス問題ですが、まだまだ目が離せません。
このような問題が続くと、やはり投資する際には経営者の姿勢をもっと重視する必要があると実感しますね。
経営トップが進んで粉飾決算を先導する、あるいは自ら進んで粉飾決算の手伝いをする人が出世して、経営陣になっていくような会社では困ります。
もっと経営者の人となりや言動に注意を払い、投資先を選別していきたいと思います。
その点で経営者を直接見る機会である株主総会の重要性はますます高まっていくのではないかと感じます。
なかなか参加できない株主の方々のためにも、これからも株主総会レポートを充実させていきたいと思います。
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タグ:オリンパスショック
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