2011年11月01日

藤澤信義氏は信頼できるか?

ネクストジャパンの株主総会に出席するために、業績や過去のプレスリリースにざっと目を通してみましたが、一番疑問に感じたのは2010年11月に買収したライブレントという会社の生い立ちと事業内容です。このリリースを読んでもっとも気になったのは、これらの会社のトップを務め、キーマンでもある藤澤信義氏は信頼できる人物なのか?という点です。
ネクストジャパンの株主総会に出席して、実際に自分の目で藤澤信義氏を見て信頼できそうか判断してみたいと感じました。
みなさまのご意見や感想などをお待ちしています。
以下、ネクストジャパンのプレスリリースを元に、買収の経緯をまとめてみます。
 2010年11月19日 株式会社ライブレントの株式取得(子会社化)に関するお知らせ

ネクストジャパンは2010年11月にライブレントという不動産会社を子会社化しています。
会社側からは詳しいリリースが出ていますが、その買収の経緯を読んでみると何か不透明な感じがしてしまいます。
オリンパスで巨額のM&A問題が発生しているだけに、余計にそう感じてしまうのかもしれません。

株式会社ライブレント概要 2007年3月設立 岡 勝社長 従業員数20名
業務内容 不動産の賃貸・売買・管理 センチュリー21にフランチャイズ加盟

ライブレント設立からの経緯
2007年3月 設立 2010年時点の代表者、株主は藤澤信義氏ですが、設立時からなのか買収したのかは不明
 2009年9月期 売上1.92億、営業利益0.04億、純利益0.03億、資産0.5億、純資産0.34億
設立3期目の業績は上記の通り黒字ですが、吹けば飛ぶような水準であり、資産もほとんど保有していません。賃貸の仲介がメイン業務の様な気がします。そんな会社がなぜかMBOされます。

2010年4月 現社長の岡勝氏がMBOし、株主が藤澤信義氏から岡勝氏に変わる
注記)いくらでMBOされたのかが公表されていません。2009年9月期決算を元にするとほとんど価値はなさそうですが、下記の通りMBO直前にライブレントの実態が大きく変わっているので、MBO時点でのライブレントの株式価値はよく分かりません。資産も増えていますがその分借り入れも増えているので、実質的にはあまり変わらないと思いますが、藤澤信義氏が株式を所有する会社等から購入した賃貸用不動産の価値次第ということになります。

MBOする価値のある会社に仕立てるため?MBO直前に、安定的収入確保のため賃貸用不動産物件購入資金として、日本振興銀行から41.2億円借入
借入金利は4.0%、うち2.7%相当分は融資実行時に支払済 残りは1.3%
31.2億円で藤澤信義氏が株式を所有する会社等から賃貸用不動産を購入
10億円で日本振興銀行株式を購入

売上わずか2億弱で収支トントン程度の会社に、41.2億円も融資するなどということが普通あるんでしょうか?この融資自体が不透明に感じてしまいます。そして...
2010年9月10日 日本振興銀行破綻

保有株式を1円まで減損処理したことでライブレントは債務超過
 2010年9月期 売上2.77億、営業利益▲0.37億、純利益▲11.27億
 資産36.3億、純資産▲10.53億


安定的収入確保のため賃貸用不動産を購入したはずなのに、売上は0.85億円しか増えていません。年に換算しても1.7億円です。さらには営業利益も大幅に赤字転落しています。赤字転落の要因としては、不動産取得に伴う税金の影響であり、一時的な赤字と説明しています。この説明は納得できますが、31.2億円の不動産を買った割には売上増が少ないように感じます。1.7億円を賃貸収入とするとグロスの利回り(経費控除前の利回り)は5.4%しかありません。ここから経費や借入金利息を引くと、ほとんど利益が出ないのではないでしょうか?
31.5億円の不動産は本当に収益物件だったのか?あるいは買値が高すぎるのではないか?と疑問に感じます。

10億円もの資産が消滅し、資金繰りに困った岡氏が藤澤信義氏に相談
注記)藤澤氏の計らいで40億も借金して事業を始めたのに、5ヵ月後には日本振興銀行が破綻して10億以上の債務超過になってしまったんですから、藤澤氏の所に何とかしてよ〜と駆け込んでくる気持ちも分かりますね。
一方で、ライブレントの子会社化は2010年9月14日の段階である程度連結業績予想数値に織り込んでいたとの記述もあり、日本振興銀行破綻前から子会社化を検討していた感じもします。となるとなぜMBOしたのか経緯がより不自然に感じます。4月にMBOして8月頃には子会社化前提で検討していたことになります。もともと子会社化前提で日本振興銀行から融資を引き出し、藤澤氏保有の不動産を購入させたうえで、MBOという形を取って株主を藤澤氏から変えただけの様に感じてしまいます。
さらには日本振興銀行から41億円の融資を受けて、すぐに10億円分もの日本振興銀行株を買っていること自体も不自然です。藤澤氏と日本振興銀行の間で、融資するから10億は増資引受という形でバックする約束があったのではないかと感じてしまいます。

(2009年10月に民事再生手続きを行った同業の株式会社ジパングを支援するため資金調達していた)
手元資金の投資先を探していたネクストジャパンは、藤澤信義氏からライブレントの情報を入手し、従来より有効な投資案件の発掘及び投資、並びに投資事業部門の強化を模索していた当社にとって、本案件は検討に値すると判断
(2010年9月頃に)検討の結果、
これまで不動産事業専任での担当者がいなかった当社にとって、ライブレントの専門的な営業ノウハウや独自ネットワークによる情報等の経営資源が取り込めること
仲介のみならず賃貸物件を自ら保有していることから安定的な賃料収入も見込める
(賃貸物件は藤澤信義氏が株式を所有する会社等から購入したもの)

ライブレントは日本振興銀行から41.2億円の借入を行う際、ネオラインキャピタル株式会社(藤澤が代表取締役を務めるネオラインホールディングス株式会社100%出資)が保証人となり金銭消費貸借契約を締結しておりますが、同時に日本振興銀行に経営破綻等があった場合には同行が有する当該債権は、ネオラインへ移転する旨の契約も行っており、実際に同行が経営破綻した現在では結果として、ライブレントへの41.2億円の貸付債権はネオラインへ譲渡されています。
当社が依頼した第三者的立場の有識者等の検証の結果、当該契約は法的にも有効であるとの見解が出ております。
なお、ネオラインと日本振興銀行との間で当該債権の帰属先につきましては協議を行っている段階であり、協議の結果によってはネオラインへ譲渡されない可能性もあります。

ライブレントの取得価格 8千万円
価格算定根拠 第三者算定機関である株式会社プルータス・コンサルティングに株式価値の算定を依頼
ディスカウンティッド・キャッシュ・フロー法で算定した結果 8,100万円
ライブレントの事業計画に基づく収益予測や投資計画等、過去の業績トレンドをもとに当社が合理的と考えた前提を考慮した上で、ライブレントが将来生み出すフリー・キャッシュ・フローをもとに算定。

ライブレントが保有する賃貸用不動産物件についても、外部の第三者機関である株式会社不動産鑑定士海老沼事務所による不動産鑑定を実施
資産状況及びその収益性においても当社の連結業績に対し大きく寄与する

ライブレントの保有する賃貸用不動産物件の一部においては、ホテル業を運営する株式会社バニラ及びその宿泊施設がテナントとして入居しておりますが、株式会社バニラ(ネオラインホールディングス株式会社100%出資)は、事業を行ううえで関連する法律である旅館業法や風営法(株式会社バニラは、旅館業法に基づきホテル業を運営しており、風営法上の営業許可申請を必要とする施設・設備状況に関する定義要件に抵触する事項はございません)並びに都市毎に定める政令及び条例などを徹底して遵守しており、当社ではこの点についても厳正に確認しております。さらに、本件については、株式会社バニラの顧問弁護士である鷲尾誠氏(銀座第一法律事務所)から客観的立場にて、当該賃貸用不動産物件テナントのホテル業は風営法の定義要件には合致せず旅館業法上に適法であるとの見解を得ております。
注記)バニラの顧問弁護士がバニラについて客観的な立場で語れるのでしょうか?
バニラはレジャーホテルというよりラブホ経営を行っている会社ですが、上記のリリースによればライブレントはラブホを保有し、バニラに賃貸しているようです。

独立役員に対し、取引等の目的、交渉過程の手続き、対価の公正性、当社の企業価値向上の観点から、本件取引が当社の少数株主にとって不利益でないことに関する検討を依頼
独立役員からの意見
株式会社ライブレントの株式取得におけるその取得価額は、外部の第三者機関による株式評価額に基づき算定しているうえ、一連の取引に関する手続きにおいても公正性及び妥当性を重視しており問題はないと判断し、さらに同社の子会社化は当社の主軸であるアミューズメント事業を補完するための事業である投資事業の強化となり、当社グループがさらなる成長のため事業基盤を安定させ、それがひいては企業価値の向上に繋がるなど、当社のこれからの営業活動を阻害するものではなく、少数株主にとっても不利益となるものではないと判断しております。

ライブレントの経緯を見ると非常に不自然に感じるんですが、だからこそ第三者の意見を聞いたりして慎重に子会社化を行っています。それが逆に、オリンパスの様に不透明さを粉飾するために、外部の意見をことさら強調しているようにも感じます。
すべては藤澤信義氏が信頼できる人物なのかどうか?次第です。
信頼できる人物であれば、不透明に感じられるかもしれないので子会社化の経緯も詳しく公表し、外部の意見もきちんと確認しています、という姿勢は評価できることになります。
一方で、信頼できない人物だとすると、オリンパスの様に不透明さを隠すために、これだけ手続きを踏んでいるんだから問題ない!と言われているようで、余計に不信感を感じてしまいます。
ネット上の情報やニュースを見ても、藤澤信義氏の光と影みたいな記事が多くて、判断に苦しみますね。
株主総会で見た印象では信頼できそうに感じたんですが、藤澤信義氏という人物は本当に信頼に足る人物なのでしょうか?
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ひらめき
posted by Zaimax at 11:23 | Comment(0) | TrackBack(0) | 投資で疑問に感じること | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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