オリンパスのホームページを見ると、会社側の言い訳ばかりが書かれていて、株価がわずか3日ほどで半値までたたき売られ、資産半減という大きな被害を受けている株主へのお詫びの言葉は見当たらないようです。
10月19日の日経新聞夕刊に菊川剛会長兼社長の独占インタビュー?記事が掲載されているようですが、その中で海外での買収案件ジャイラス社M&A時に支払った買収手数料は適正、日本の会社3社株式会社アルティス、NEWS CHEF株式会社、株式会社ヒューマラボのM&Aについては判断ミスと主張しているようです。
557億円以上の損失を出しているのに判断ミスの一言で片付けて、菊川剛会長もまったく責任を取っていないんですから一体どんな会社なんでしょうか?今回社長が解任されなければ、一連の判断ミスも表に出てこなかったわけですからね!
オリンパスのホームページを確認してみましたが、ジャイラス社の買収については適時開示されているものの、株式会社アルティス、NEWS CHEF株式会社、株式会社ヒューマラボのM&Aについては適時開示が見当たりません。
なので誰に対して総額734億円もの買収金額を支払ったのかまったく分かりません。
以前はこれら3社の買収についてはまったくホームページに記載されていないのでしょうか?
それとも問題が発覚してからホームページから削除したのでしょうか?
どちらにしても情報開示の面からは問題だと思いますが。
3社とも2008年4月25日に買収を完了していますが、1年も経たない2009年3月31日に大幅な減損処理を行っています。
株式会社アルティス 買収価格 288億円 減損額 196億円 差引 92億円
油化プラントを核にした資源リサイクルとCO2削減を提案する環境ソリューション事業
会社設立 2005年10月 買収時期 2006年5月22日〜2008年4月25日
NEWS CHEF株式会社 買収価格 214億円 減損額 177億円 差引 37億円
電子レンジ専用調理容器の企画・開発・製造・販売およびライセンス管理など
会社設立 2003年8月 買収時期 2006年5月22日〜2008年4月25日
株式会社ヒューマラボ 買収価格 232億円 減損額 184億円 差引 48億円
健康食品、化粧品の販売、担子菌類による皮膚改良関与成分の研究など
会社設立 2005年6月21日 買収時期 2007年9月10日〜2008年4月25日
3社合計で2008年度までに734億円を投資し、2008年度末に557億円の損失を計上(笑)しています。
判断ミスで片付けちゃっていいんですか?
幸いなことにオリンパスの株主ではないので実害はありませんが、株主だったらまさに青天の霹靂です。適時開示もされていないような投資先から突如557億円もの損失が発生したんですからね!
有価証券報告書を見てもその他という表示で、株式会社アルティス、NEWS CHEF株式会社、株式会社ヒューマラボという名称はまったく出てきません。
今回問題が表面化してこなければ、誰もアルティス、NEWS CHEF、ヒューマラボに投資したことさえ知りませんし、判断ミスで最低でも557億円の損失を出していることにも気付きません。こんな杜撰な情報開示体制で問題ないんでしょうか?
これら3社についてはオリンパスのホームページを見ても何も分からないので、月刊FACTAの下記記事を読んだ方が参考になります。どこまで事実かは分かりませんが、徐々に明らかになってきたことはFACTAの指摘する通りです。
オリンパス「無謀M&A」巨額損失の怪
ジャイラス社の買収についても、ファイナンシャルアドバイザーへの報酬自体も高額で問題だと思いますが、基本報酬として6億円(当時の為替レート115円で換算)、成功報酬としてまずは現金で13億円(当時の為替レート110円で換算)、アドバイザーにジャイラス社のワラントとオプションを割当て、ワラントは52億円、オプションは186億円(当時の為替レート105円で換算)合わせて238億円を支払い、ここまでの合計ですでに257億円になっています。
それでもまだ少ないということで(^_^;)、ファイナンシャルアドバイザーにジャイラス社の優先株を割当て、1年半後に3.5倍の価格で買い戻しています。この値上がり分が416億円(当時の為替レート94円で換算)になり、ファイナンシャルアドバイザーへの報酬をすべて合計すると673億円ほどになります。
ファイナンシャルアドバイザーという職業は、おいしい取引先を見つけるといくらでも儲けることができるんですね!
M&A案件を持っていくなら、オリンパス、DeNA、グリーあたりが高値で買ってくれそうです(笑)
ファイナンシャルアドバイザーからは日本のお得意様御三家と呼ばれていたりして(^_^;)
当時の監査役はあずさ監査法人ですが、本当に監査時に問題はなかったのでしょうか?
2008年度決算まではあずさ監査法人が担当していますが、任期満了により2009年度決算からは新日本監査法人に代わっています。微妙な時期の監査法人の交代だけに、何か会社側との間で意見の相違があったのではないか?という感じもしてしまいます。
マイケル・ウッドフォード社長と同じように、監査法人といえどもオリンパスに買収の経緯などについて意見を述べると交代させられるのでしょうか?
東証も様子見を決め込んでいる感じで、オリンパスがそう説明するならそうなんでしょう?という対応です。これだけ株価が下落して多くの投資家が損失を被っているのに、市場を管理する東京証券取引所が、そんな傍観者みたいな対応でいいのでしょうか?
日本ではオリンパス側の主張中心に報道されていますが、社長を解任されたマイケル・ウッドフォード氏は汚職などを捜査するイギリスの重大不正捜査局(SFO)に、ジャイラス社の買収に関連する資料を提出したそうです。
欧州向けの売上比率は18.2%を占めており、重大不正捜査局の対応次第ではヨーロッパ向けの売上に影響が出てくるかもしれません。今後の展開から目が離せませんね。
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タグ:オリンパスM&A巨額損失
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