本日、一部の報道機関において、当社が球団買収を検討しているとの報道がなされました。交渉中であることは事実ですが、現時点では何ら決定いたしておりません。
というそっけない発表があっただけですが、報道などを見ると他の候補は消え去り、買収の可能性が高くなっているようです。
サンケイスポーツが9月1日に、横浜ベイスターズの身売り先の有力候補として、大手旅行代理店のHISやモバゲーMobageで知られるディー・エヌ・エーが挙がっている、と報じて横浜ベイスターズの売却問題が再浮上しました。
日本のプロ野球界は、読売新聞グループ本社代表取締役会長・主筆で読売巨人軍会長で12球団オーナー会議の議長でもある、ナベツネこと渡辺恒雄氏(正しくは渡邉恒雄)が仕切っているわけですが、10月18日になって渡邉恒雄氏がDeNAの買収を容認する発言をしたことから、報道各社がDeNAで決定というようなニュースを流しています。
横浜ベイスターズの身売り先としてDeNAが報じられた当初、渡邉恒雄氏はモバゲー?なんじゃそれ?的な発言をしていて、そんな訳の分からん会社への身売りは許さん!という感じでした。そのため一時はDeNAへの売却がご破算になったと見られていました。しかしながらその他の身売り候補とは売却条件が合わなかった様で、再度DeNAが浮上し、他に買収に手を上げる候補がいないことからほぼDeNAで決まり、渡邉恒雄氏も候補が他にないことからしぶしぶ買収を認めたようです。
俺の知らん会社なんかに身売りは認めんぞー!と強気の渡邉恒雄氏でしたが、「昔は鉄道・新聞、そして食品会社になり、今はIT系と産業構造の変化でオーナー会社は変わってきている」と話し、DeNAでも仕方がない的な発言をしています。
横浜ベイスターズの買収額は100億円とも言われており、TBSは毎年20億円ほどの資金補てんをしていても赤字が続いています。それでも今期もセリーグ最下位ですし、補強するためには高額の選手を取ってきたりなどでさらにコストが嵩むと思います。最下位でもいいよ!というなら20数億円程度の赤字で済みます(笑)が、世界一を目指すモバゲーが最下位のままでいいとは思いません。
テコ入れして強くなればファンも増えてコスト増もカバーできるかもしれませんが、ほとんどノウハウのないDeNAに球団経営ができるんですかね〜(^_^;)
横浜ベイスターズは赤字が続いているんですから純資産はほとんどないと思われ、買収額100億円はほとんどがのれんになると思います。海外のゲーム関連会社の買収でのれんが増加している中でさらにのれんが増えるわけですし、セ・リーグ球団の買収となると赤字が続いたからといってすぐに清算というわけにはいきません。他社へ売却するにしてもまたまた渡邉恒雄氏が口を挟んでくることになるので、簡単には売却も出来ないと思います。DeNAが倒産の危機にでも瀕しない限り、最低でも10年くらいは保有しないと売却もさせてもらえないと思います。
参入・撤退のスピードが求められるソーシャルゲーム業界のDNAとプロ野球界のDNAはまったく異なっていると思います。横浜ベイスターズの買収が失敗だったと気付いても、撤退することさえ許されないようなビジネスに参入するのはリスクが大きいと思います。
ngmocoの買収でもかなり高い買い物をしたな〜と心配になりましたが、世界展開とはまったく関係のない横浜ベイスターズに100億以上もつぎ込むとは...
携帯電話が中心のソフトバンクや、ネット通販が主力の楽天などは、一般的に資産額も大きいと言われている年配の人もサービスを利用するので、プロ野球参入による知名度向上というメリットはある程度見込めると思います。
DeNAも一部ネット通販を行っているので、この部分では知名度アップによる業績への貢献も見込めるかもしれませんが、メインのソーシャルゲームに年配の人たちが押し寄せるというのはちょっと想像しにくいですね。メインのターゲットである10代から30代くらいではDeNAの知名度は高いと思うので、横浜ベイスターズを買収したからといってこの層での知名度が更に大きく上がるというわけでもないと思います。
世界一のインターネットカンパニーを目指すというDeNAに、日本のローカル球団である横浜ベイスターズが必要なのか?はやはり疑問に感じてしまいます。
業績好調でお金も有り余っているので、グリーに買われる前になんでも買ってしまえ〜的な雰囲気がしないでもありません。
今年の2社の株主総会の様子は下記レポートにまとめています。
ディー・エヌ・エーDeNA(2432)2011年株主総会レポート
グリー(3632)2011年株主総会レポート

DeNAの株価推移は株主の懸念を見事に表していて、横浜ベイスターズ買収が現実味を帯びる度にDeNAの株価は下落しています。ソーシャルゲームの世界的な普及に期待してDeNAの株主になった人にとっては、横浜ベイスターズというお荷物を背負わされるのは想定外ですし、勘弁してよ〜という感じだと思います。
こういった本業とは直接関係のない大きな買収案件については、臨時株主総会でも開いて株主の声にも耳を傾けてほしいものですね。
同業のグリーの株価推移と比べると明らかに株価の明暗が現れています。

世界的なソーシャルゲームの普及に期待している投資家は、DeNA(2432)とグリー(3632)の2社を比較して買うなら、本業に専念しているグリーということになるんでしょうね。
楽天がプロ野球球団を買収した時も賛否両論はあったわけで、成功する可能性もありますが、それほど多くない経営資源をプロ野球球団の経営に割いてしまうと、本業部分がおろそかになってしまうのではないか?という不安もあり、今回のニュースを一番喜んでいるのはグリーの田中良和社長かも(笑)
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