日本調剤は調剤薬局専業ではアインファーマシーズに続く業界2位の会社で、後発医薬品ジェネリック薬品の製造も行っています。日本調剤の株主総会に参加するのは初めてです。
2011年6月24日(金)の株価 2,760円(東証1部 3341)10株単位 3月決算
PER 6.8倍、PBR 1.54倍、配当利回り 2.54%、株主資本比率 17.6%
監査費用 4,500万円(売上比 0.04%、営業利益比 0.94%) 監査法人トーマツ
株主優待 なし
日本調剤(3341)のホームページ
日本調剤(3341)のヤフー株価情報

上場来の株価推移を見ると、3千円を中心としたボックス圏での値動きが続いています。2006年の上場当時は5千円近くまで上昇しましたが、その後は1,400円前後で横這いの動きが続いています。業績は薬価改定の影響で変動が大きいのが影響しているのかもしれませんね。
2012/3計画 136,747百万円 2,887百万円 403.64円

スケジュール
14:59〜15:25 報告事項
15:03〜15:05 監査報告 中川義雄常勤監査役
15:05〜15:25 事業報告 河野慎一専務取締役総務部長が読上げ
15:26〜15:31 議案説明
第1号議案 剰余金処分の件 期末配当30円 年間60円 前年より10円増配
第2号議案 取締役7名選任の件 6名全員任期満了に伴い再任 経営体制強化のため鈴木重夫氏新任
第3号議案 補欠監査役1名選任の件 補欠監査役として金井久兮氏を選任
第4号議案 役員賞与支給の件 功労に報いるため総額7千万円を支給
15:31〜15:59 質疑応答 質問者4人 計7件 28分
15:59〜16:01 議案採決
16:01〜16:02 新任役員紹介 よろしくお願いしますのみ
お土産 なし
飲み物サービス 緑茶ペットボトル280ml
経営戦略説明会 なし
注目の株主総会格付けですが、お土産もなく事業説明会も行われませんでした。一方で15時から株主総会を開催するのは評価できます。これらを総合的に判断し、日本調剤(3341)の株主総会格付けは 『D−』 としました。
議決権を有する株主数 6,819名、その議決権数 731,678個
議決権返送&出席株主数 1,920名、その議決権数 469,601個(64.2%)

日本調剤の株主総会は15時から、東京駅近くのサピアタワーで行われました。株主が参加しやすいように15時から株主総会を開催しているのは評価できますね。
今日も多くの株主総会が開催されていて、午後も14時から資生堂の株主総会がありました。30分ほど資生堂の株主総会に参加してから、日本調剤の株主総会に移動しました。
株主総会会場の入り口に緑茶ペットボトルとうちわが置いてありました。日本調剤の最近の業績は好調で、三津原博社長の今年度の報酬は5億7,200万円という超高額報酬で、昨年の4億7,726万円より9,500万円ほど増えています。昨年に続いての超高額報酬が話題になり、けっこう批判的な記事も目に付きます。それにもかかわらずお土産もないというのはとても残念ですね。ドラッグストアや調剤薬局などは、株主総会のお土産も楽しみの1つなので、日本調剤ももう少し考えてほしいものです。
日本調剤 社長は業界トップの高額報酬だが薬剤師は他社に劣る年収
上記の記事は、日本調剤社員の薬剤師の給料は低いのに、三津原博社長だけが高額報酬をむさぼっているという批判的な内容です。前期の取締役報酬総額は6億1,100万円なので、三津原博社長の報酬を除くとその他の取締役の報酬もかなり少なそうです。
いろいろな見方があるとは思いますが、赤字が続く健康保険から薬剤費が支払われていることを考えると、5億円近い高額報酬をもらう必要があるのか?は疑問に感じますね。そんなにもらっても使い切れないでしょう。ポケットマネーで株主にお土産くらい用意してほしいものです(笑)
会場内には椅子のみで、(5+5+5)×16のレイアウトで240人分の席が用意されていました。
出席者は70人くらいで、取引先などの関係株主の出席も多そうです。前方の株主中心に社長の発言などに対して拍手が沸き起こっていました。本社も近いので社員株主が動員されているのかもしれません。
金井久兮補欠監査役候補は欠席していると案内がありました。
事業報告は三津原博社長ではなく、総務部長の河野慎一専務が招集通知を読上げていました。管理部門の取締役が報告する会社もたまにありますが、それにしても対処すべき課題くらいは社長みずから語って欲しいものです。
続いて議案の説明があり、質疑応答となりました。
が、誰も手を挙げず質問しそうな気配がありません。三津原博社長が何でも聞いてくださいね!と何度も呼びかけていましたが、誰も手を挙げません。超セレブの三津原博社長に向かって質問なんて恐れ多いという感じなんでしょうか(笑)
ブログをまとめるのが簡単だな〜と思っていたら1人が手を挙げ、続いて3人から質問がありました。最初に手を挙げるのは相当勇気が要るようです。
質疑応答 質問の数字は前が質問番号、後ろが質問者番号を表しています
(1-1)取締役報酬が6名でほぼ6億円となっているが、取締役が7名に増員されると7億円近くになるのではないか?昨年の株主総会で取締役報酬枠の上限を7億円にしたが、すでに超えそうな勢いだが大丈夫か?
→(河野慎一 専務取締役総務部長)心配いただきありがとうございます。昨年の株主総会で枠を増額しており、取締役が1人増えても十分余裕があると思う。
(注記)社長以外の役員報酬は低そうなので(笑)役員が10人ぐらい増えても大丈夫そうです。問題は今期の三津原博社長の報酬を幾らにするのか?のようです(^_^;)
(2-1)医薬品の製造は規模の大きさも重要になると思う。海外のジェネリック大手の日本市場参入や製薬大手の参入が進む中でどのように事業展開していくのか?
→イスラエルのテバTEVA社の日本市場参入はインパクトがあった。ただ、幸か不幸か日本の医薬品市場には外資は非常に入りにくい。製品の基準が非常に厳しくて外資が参入しにくい。外国で作った製品をそのまま持ち込むことが出来なくて、日本の基準に合わせなければならない。新たに日本で認可を取るためには数年かかり大変な作業になる。
ジェネリック医薬品を製造販売している子会社の日本ジェネリックは国内メーカーであり、品質にも自信を持っている。注射剤も半年〜1年以内に200品目くらい上市する予定。大方はサプライヤーから提供してもらう。大手の製薬卸とはほとんど取引があるので、日本全国に提供できる。
第1工場北棟も完成し製造に入ったので、南棟も改装して精度の高い工場を目指す。今年着工して第1工場は完成させたい。第2工場もあり、大きなレベルの製薬メーカーにしていきたいし、達成時期も明確になっている。
(3-1)薬局の子会社化を続けているが、身売りする会社には何らかの問題があるのでは?と思う。子会社化でのれんが増加していると説明があったが、プレミアムを付けて買収してどのように業績を向上させていくのか?
→基本は自社で出店していくが、営業力には自信がある。それでも取りこぼしがあり、出店したい場所にできなかったこともある。よく決算書もチェックしたうえで、そういった穴を埋めていくために買収している。身売りする会社には何らかの問題があるのは事実だが、我々がやるとうまくいく。薬剤師を大量に抱えていて、技術力も強いので技術料をしっかり取れる。我々のオペレーションでやるとどれだけ収益を改善できるか明確に出てくる。日本ジェネリックを持っていることも大きい。積極的に自社グループのジェネリックを使っていて、他社とは違う収益構造を持っている。医薬分業が進んだが30数年経ち、60代の経営者も多いので退職金代わりに店を売るケースも多い。
(4-2)今後の会社の展望は?来期の予想と5〜10年後の展望を語って欲しい。
→(伊藤善博 常務取締役財務部長)今期は21%の増収増益を計画している。来年以降については、今期の結果も見ながら来年報告したい。増益を続けられるように頑張っていく。
(社長)今期も4〜6月とも好調で計画の達成は間違いなく、上方修正もあると思う。薬価改定でジェネリックのインセンティブが続くと思う。ジェネリックへの変更は説明にも時間がかかり、かなり手間のかかる仕事だが、手間をかけることで技術料が取れている。この部分が評価されてインセンティブが増えると思う。ジェネリック率もさらに上がっていくと思うので、今後も業績は伸びていくと思う。精度を高めて出店も加速させていきたいので、そうなるとさらに業績も伸びると思う。
(注記)三津原博社長は強気な発言ですが、確かに7月12日には上方修正も発表しています。
(5-3)今期末の配当総額と剰余金の配当総額が異なるのはなぜか?
→先ほど説明したが、中間配当として30円支払っているためです。
(6-4)安いジェネリック薬品を売って儲かるのか?利益が薄いのではないか?
→ジェネリック薬品に変えることで処方箋単価は20%下がる。その分お客様の負担も20%下がるので、日本調剤の売上もその分下がる。そうなると儲からなくなるだろうと普通は考える。今の医薬分業は大半がひもつき分業で、医療機関と調剤薬局が実際はつながりがある。(ジェネリックに変えるのは難しい)日本調剤は医療機関の支配下にないため、自由にジェネリックに切替えたりできるだけの力がある。ジェネリックへ切り替えることでお客様も安くなって喜ばれるので、他の薬局から処方箋を取り込んでいる。じつは日本調剤の処方箋単価は上がっている。日本調剤の出店地域では、先発品が減るので怖がられている存在であり、日本調剤が出店した周りの大病院には、医薬大手のプロパーが新薬を一生懸命勧めているので、不思議な現象だが(笑)処方箋を取り込むことで単価が上がっている。
(7-4)三津原博社長の発言は強気だが、株価は下落傾向だが?
→業績が悪くなる要因はないので、気長に待ってもらえれば株価もきっといいことになると思う。これ以上は言えない(笑)
以上で質問も出尽くし、質疑応答は終了となりました。三津原博社長に、5.7億円も役員報酬をもらって何に使うんですか?という素朴な質問は出ませんでした(笑)そんなにもらっても使い切れないと思うんですけどね(^_^;)
質疑応答を通じて感じた三津原博社長の印象としては、社員はこき使って自分だけ儲かればいい!というような腹黒い人には感じませんでした。株主総会なので普段とは違う顔を見せていたのか、あるいは私の人を見る目がまだまだなのかもしれません(笑)
業績は好調のようですが、株価はまだいいことにはなっていないようです(^_^;)
質問には丁寧に答えていて好印象ですが、もう少し質問が出るといいですね。もっと気軽に質問できるように、事業説明会や懇談会を開催するのもいいのではないかと感じます。
来年はお土産も含めて改善されるといいですね。
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今回のご報告も興味深い点が多かったです。特に処方箋単価の内幕はすごいですね。
どうもありがとうございました。
蛇足ですが、アインはメディカルシステムズの株主だったのですが、親会社に買収され、
そのまま保有しています。メディカルシステムズの株主総会に出席したことがあるのですが、
土曜日なのにガラガラだったので(笑)、気持ちよく質問できました。
それでは失礼します。
こうして情報交換できるのはとても嬉しいですね。今後ともよろしくお願いします!
日本調剤を恐れて大手製薬会社が積極的に営業してくれるので、結果として日本調剤の処方箋単価も上がってしまうというのは面白いですね。
日本の財政を考えると喜んでばかりもいられませんが(笑)
土曜日開催の株主総会でガラガラというのも珍しいですね。あまり人気がなかったんですね。
でも参加者が少ないと質問もしやすいですし、社長さんともゆっくり話が出来ていいですね。
参加者が多い株主総会だと、指名競争みたいになってしまいますからね(^_^;)
これからもよろしくお願いします。