ゲンキーの株主総会に参加した方から情報を頂きました。ありがとうございます。
ゲンキーは福井を地盤とする郊外型のドラッグストアで、食料品なども含めて幅広く品揃えしているようで、スーパー代わりにも使えるようなお店らしいです。私の近くには店舗がないのであくまでも伝聞です。福井から岐阜や愛知県にも進出してきています。
2011年9月14日(水)の株価 1,974円(東証1部 2772)100株単位 6月20日決算
PER 6.8倍、PBR 1.00倍、配当利回り 2.03% 株主資本比率 31.0%
監査費用 2,602万円(売上比 0.05%、営業利益比 1.93%) 監査法人トーマツ
株主優待 廃止

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ゲンキー(2772)のヤフー株価情報

株主優待導入、東証2部上場そして1部へ指定替えということで、株価は順調に上昇してきましたが、株主優待廃止発表後は株価も低迷しています。
2012/6計画 60,000百万円(+16.5%) 1,000百万円 291.31円

ゲンキーの株主総会では、事業報告の前に藤永賢一社長から、
「連結決算書の監査結果は以上の報告の通りであります。それでは本日の報告事項をいたします前に、8月22日に当社発表いたしました株主優待制度の廃止の内容について、私よりご説明をさせて頂きたいと思います。」
との発言があり、5分間ほど原稿棒読みの形で、株主優待廃止についての説明がありました。
注記(や文句

このたび株主優待制度を廃止することとなり、当社の優待制度を楽しみにされておられました株主様には心よりお詫び申し上げます。また今回の発表により、当初の想定をはるかに超えた株価の下落、ならびにお叱りのお言葉を頂きましたことについて、株主の皆様に多大なる迷惑、混乱を招いてしまいましたことを深く反省しております。
(注記)株主優待廃止発表で株価は20%ほど下落しましたが、想定をはるかに超えるほどなんでしょうか?流動性がそれほど高くない株なら十分あり得る範囲だと思います。5%ほど下がるかもしれないが、機関投資家が買ってくれるからすぐに戻るだろうと考えていたのでしょうか?
このたびの株主優待制度の廃止の理由は、ゲンキーの考える企業価値の本質の追求を実践するためです。現在日本では上場企業数のうち3割程度の会社が何らかの優待制度を導入している。株主優待は各社の特色が表れ、ひとつの文化とも取られる面もあるが、優待制度については投資の本来の目的と相反する部分があることも事実。
(注記)それならなぜゲンキーは株主優待を導入したんだ

多額の費用が継続的に発生し、企業利益の押し下げ要因となること、優待の充実ばかりが注目され、投資の判断において本来精査すべき企業内容に雲がかかってしまうことなどが考えられます。
(注記)株式投資の楽しみ方は人それぞれであり、大きなお世話とも感じます。業績に大きな影響を与えるような株主優待制度設計自体に問題があったと思います。
また株主様の間におかれましても優待品を希望されない株主様もいらっしゃること、配当のように持株数に応じて還元されないこと、などから不公平が発生することも考えられます。
企業価値とは、株主様・お客様・地域の皆様そのすべてに対し営業活動を通じて社会貢献することであると考えております。そしてその社会貢献とは従来の物価水準を看破し、ゲンキーの店が出来る前より地域のお客様の暮らしを豊かにすることと考えております。
その社会貢献を成し遂げるべく、当社は毎年10%を超える売上高・利益の拡大を必達使命としております。そのために、新規出店を今年度12店、来年度13店、再来年度22店と、多店舗集中出店を継続して参ります。ゲンキーの考える投資価値のある企業とは、優待の充実だけではなくその企業の成長性、そしてそれに伴う市場価値の評価にあると考えております。
株主優待が充実しているから企業価値が高いといった悪すぎる物差しにならないため、熟慮の結果今回の廃止に至りました。
(注記)株主優待制度導入時に、持続可能な制度になる様にもっと熟慮してほしかったですね。
今回の発表に関しまして説明不足であり、申し訳ございませんでした。なかなかこのような内容を説明する場がございませんので、皆様に混乱を招いたことを反省しております。
今後につきましては、当社をご支持頂いております株主の皆様に最大限報いるよう、安定的かつ継続的な配当の拡大をお約束するとともに、全社一丸となって高い成長性と収益性を実現し、市場からの評価と認識をレベルアップさせていく所存でございます。そのうえで誠に勝手なお願いにはなりますが、なにとぞ長い目で当社を応援頂きたいと心から願っております。
まだまだ課題は山積みであり、また東証1部上場として至らない部分がございましたら、そのときはまた厳しくご指導頂きますようお願いいたします。
それでは株主優待制度についての説明は終わりにさせて頂きますが、ご質問等につきましては報告事項の報告の後にお受けしますので、当内容につきましてはあくまでも本総会の目的ではございませんことをなにとぞご了解たまわりますよう宜しくお願いします。
(注記)丁寧な言葉遣いですが、株主優待については質問するな



とはいえ質疑応答でも株主優待について質問が出ました。
質疑応答自体は1時間20分ほど続き12名の株主が質問に立ちました。
株主優待については2名から質問があり、合わせて30分弱でした。
(質問1)株主優待廃止の件でもう一度説明をお願いしたい。先ほど説明のあった公平性が欠けるとか、また会社に負担が掛かるとか、そういうような理由はどこの会社でも廃止される時に言っている。しかし優待を設けるときに当然そういうことは承知の上で優待を導入すると思うし、もしそういうことを分からなかったと言うのであれば、それはそれでちょっと問題があるのではないか?
これだけ増益増益を続けているゲンキーの経営陣なので、当然優待を設置される時に公平性の問題とか会社への負担とか色んな理由をおっしゃったが、本当は熟知の上で導入したと思う。
で、私が知りたいのはですね、本当の理由は何なんだと。株主優待をこれだけ急にやめなきゃいけない理由とは?
2,500円という優待はとてもいい優待で、おそらくかなりの株主の方は実質的な利回りがとても高くて、ゲンキーの株を買った人が一杯いると思う。それをですね、作っておきながらすぐに止めなきゃいけなくなったというのは、余程のことであり、余程の理由が存在していないと私たち株主は納得出来ないもんです。それでその本当の理由をここで語って頂けないと、ちょっと腹の虫が収まらないので。ぜひお願いします。(会場から拍手)
→(藤永賢一社長)ありがとうございます。さきほど申した理由がひとつ当然ございます。非常に反省している面もございます。あまりにもマイナスインパクトが、という面もびっくりしております。
設定をさせて頂いた約3年前、この時は先ほど発表させて頂いた5千名を超える株主数の6分の1くらいしか株主がいなかった。その時点のコスト計算をすると、当然いまはその5、6倍に膨れあがっている。じゃあ同じように利益も5、6倍になったかというと残念ながら2倍ぐらいしかなっていない。ということで優待の負担が重くなった。
それから(株主優待を導入した)3年前といいますとJASDAQになるんですが、東証2部上場を念頭に入れ出した頃です。東証2部から東証1部という流れですが、先ほど申したように株主数がまったく足りない。「どうしたら個人株主の人が増えてくれるんだろう」と考えた時に、費用から言っても株主数を増やすという流れで言っても、これが一番いいんじゃないかということで...
東証2部の上場基準は株主数1,200名が下限、東証1部は2,200名です。当時の株主数は800名とか900名を前後していたもんですから、2部にも行けないと。株主数がぎりぎりで、もし審査中にそれを割ってしまうと、そこで上場審査も終了してしまう。と言うことで、どうしても止むに止まれずですね、株主優待をさせて頂いた、と言うのが核心部分でございます。それで、お陰様をもちまして株主様が増えました。で、そのおかげで2部・1部とステップを歩ませて頂きました。その中で2,200名下限なのに5,000名以上になってしまった。株主数が多いというのは非常にありがたいんですが、どうしてもそのことだけがコストの関係した話ということで、自信のある時に止めようというふうに思いました。
あんまり言うとですね、何とかっていうのに引っ掛かってしまうとあれなんですが。
配当なり、株価なり、そういったもので十分お返し出来るというふうな、自信のあるときに止めさせてもらおうかな、と判断しました。
よってですね、当然市場では利益成長というものがですね、最も株価に反映されますし、配当の原資でもございます。これをですね、当然いまの数字からどんどん上に引き上げていくと、いう風なつもりでございますので。是非この株主優待についてはですね、前決算を最後にさせて頂きたい。
その代わりはですね、何倍・何十倍にもなるようにですね、われわれは実施し収益をあげて行く、というふうに考えております。今なら自信もって、その代わりが出来るというふうに考えた結論でございます。

株主優待を廃止した理由について、藤永賢一社長が率直に語っているのは評価しますが、今後の業績に自信があるというのは本当なのでしょうか?
上記のグラフはゲンキーの月次売上の推移を表していますが、昨年と比べると明らかに売上の伸び率が低下しています。ここにはまだ株主優待廃止の影響は入っていません。
今後、最後の株主優待として商品券が送られますので、当面の売上には下支え効果が表れると思います。さらにゲンキーのポイントを1万ポイント以上貯めていると最大の株主優待効果があったので、ポイントを使わず貯めていた株主も多くいると思います。こうした人たちは今後はポイントを貯めておく必要性がなくなるので、今後ポイントの消化も進むと思います。
これらの2つの効果で売上は下支えされますが、ポイントや商品券での買い物ではゲンキーの利益にはつながりません。なので業績については慎重に分析した方がいいと思います。
今後売上の伸びが上がったとしても、利益には結びつかない可能性が高いということです。
ゲンキーの様に一般消費者を相手にしたサービス業では、株主もお店の利用者ということがよくあります。突然の株主優待廃止で裏切られたという悪いイメージを持ってしまった株主兼消費者が、今後も継続してゲンキーを利用してくれるでしょうか?
個人株主を簡単に裏切る会社、という印象を持たれるのは今後の業績にも大きな影響を与えると思います。数年後の業績発表で藤永賢一社長から、
株主優待廃止で、当初の想定を大幅に超える顧客離れを招いてしまった、
などという言い訳が聞かれなければいいんですが...
まだまだ株主優待についての質疑応答は続きます。
続きはゲンキー(2772)2011年株主総会レポート2にまとめたいと思います。
ゲンキー(2772)2011年株主総会レポート2
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ゲンキー株主優待廃止に関する記事

2011年9月8日付 ゲンキー株主優待廃止!
2011年9月22日付 ゲンキーの株主総会結果1
2011年9月23日付 ゲンキー(2772)2011年株主総会レポート1
2011年9月26日付 ゲンキーの2011年9月売上
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