2011年08月03日

ゲオ臨時株主総会の招集請求2

ゲオから2011年7月28日付で、株主による臨時株主総会の招集の請求に関するお知らせというリリースが発表されていますが、その最後に下記の様な気になる記述があります。
なお、本日の一部報道にありました請求者(筆頭株主の遠藤結蔵取締役)の主張につきましては、事実と相違する部分があることから、内容を確認の上あらためてお知らせいたします

どんな主張をしているのか?は記載がありませんし、ネット上の記事を見ても毎日新聞の様に会社側の主張のみを掲載している記事ばかりで、どんな主張なのか分かりませんでした。ゲオ大好き!さんのコメントで、中日新聞や朝日新聞、日刊ゲンダイに記事が載っていると教えていただいたので、早速図書館に行って7月22日から29日までの記事に目を通してきました。
さすがに図書館には日刊ゲンダイは置いてありませんでした(笑)
 中日新聞 7月28日朝刊
ゲオの筆頭株主の遠藤結蔵取締役らが「ゲオは上場企業としてのガバナンス(組織の統治)が全く機能していない」として臨時株主総会の招集を請求したと発表した。会社法に定められた8週間以内の開催を求めている。遠藤結蔵取締役など3者はゲオの約28%の株式を保有している。遠藤氏の側は、「これまで(発表された社員による循環取引など)とは別に、不明朗な取引があったが、会社側は第三者調査委員会の設置を拒んだ。ガバナンスの適正化を図りたい」と主張している。ゲオは「事実確認中でコメントできない」と話している。
 朝日新聞 7月28日朝刊
ゲオで筆頭株主である創業者の息子らが「企業統治が不適正だ」としてゲオに臨時株主総会の招集を請求した。遠藤結蔵取締役らはゲオの発行済み株式総数の27.85%(3月末現在)を保有する。
遠藤氏らはインサイダー取引疑惑の男性役員について「別の役員らの関与する不明朗な取引を社内で問題にしようとしていたところ、突然辞任勧告を受けた」と擁護論を主張。ゲオの企業統治を適正化するために臨時株主総会を開き、複数の社外取締役を新たに選任することを求めている。ゲオ広報は「事実関係を確認中」としている。ゲオの創業者は現在の会長の沢田喜代則氏と故・遠藤結城氏の2人。遠藤結蔵氏は遠藤結城氏の長男にあたる。
 読売新聞 7月28日朝刊
ゲオが社内規定に違反して自社株を売却した取締役(53)に辞任勧告をした問題で、ゲオの主要株主らが取締役会に対して、社外取締役の設置などを求め臨時株主総会を招集するよう請求した。遠藤結蔵取締役らによると、森原哲也社長(50)らが取締役会で、大橋一太取締役の内規違反とは別の不明朗な取引が発覚したのに、第三者による調査委員会を設ける動議などを拒否し、辞任勧告だけを優先させたと説明している。遠藤結蔵取締役らは「上場企業としてのガバナンス(統治)が全く機能していない」と主張。臨時株主総会で、会社と利害のない有識者など複数の社外取締役を選任し、取締役の任期を現行の2年から1年に変更するよう求めている。
 毎日新聞 7月28日朝刊
役員がインサイダー取引をしていた疑いが生じ、取締役会に事実関係を調べる第三者委員会設置を求めたが、拒否されたため。株主総会で、現状の統治のあり方をただす狙い だ。ゲオの広報担当者は請求について「事実関係が確認できず、コメントできない」と話している。

日経MJも、臨時株主総会の招集を請求した目的として、取締役の1人が社内規定に違反して自社株式を売却したことに関連し、企業統治の適正化を求めることとしていて、遠藤取締役が臨時株主総会の開催を求めた目的が、大橋一太取締役の自社株売却問題を追及するためと取れるような的外れな記事になっています。
毎日新聞と日本経済新聞は、ゲオだけに取材して記事を作っているように感じますね。
中日新聞、朝日新聞、読売新聞と比べると遠藤取締役側の主張がまったく反映されておらず、間違った主張として記事にされています。これでは読者をミスリードしてしまいます。

日刊ゲンダイでは別の役員らの関与する不明朗な取引について、沢田喜代則会長が関わっていると報じているようです。事実は分かりませんが、先日の記事でも指摘したように、7月14日に開催された取締役会では明かされていない議論があったようです。それが大橋一太取締役らによる「別の役員らの関与する不明朗な取引について、第三者による調査委員会を設ける動議」だったようです。
しかし森原哲也社長らは第三者調査委員会の設置を拒んだので、遠藤取締役は臨時株主総会を開いて徹底的に議論するしかないと考え、臨時株主総会を請求したようです。
別の役員らの関与する不明朗な取引の疑いが生じたなら、コンプライアンス部と監査部も担当している森原哲也社長は速やかに調査をする必要があるのではないでしょうか?調査委員会の設置を拒否する理由が分かりません。不明朗な取引などあり得ないと考えているのか、隠蔽したいと考えているのかのどちらかだと思いますが、あり得ないと思っても疑いが生じたなら調査するのは当然です。
これだけの問題が発生しているなら、会社内部で処理せずに臨時株主総会ではっきりと株主にも説明する必要があります。別の役員らの関与する不明朗な取引があるのかないのか、調査委員会を設置する必要があるのではないか?について、各取締役、監査役の立場をはっきりとさせて頂きたいと思います。後から不明朗な取引があったと分かった場合、第三者調査委員会の設置に反対していた取締役、監査役は株主代表訴訟の対象になると思います。
会社法では正確には「責任追及等の訴え」と言うそうですが、一般的には株主代表訴訟です。
役員以外にも執行役、会計監査人(ゲオの場合は監査法人トーマツです)も対象になるそうです。トーマツはこの問題について把握しているのでしょうか?
役員の方々もしっかりと自分の立場を表明してもらいたいですね。

それにしても不正を追及する立場である公認会計士であり、ゲオの代表取締役社長でコンプライアンス部と監査部も担当している森原哲也氏が、なぜ第三者調査委員会の設置を拒むのでしょうか?なにか発覚すると困るようなことがあるのではないか?と勘ぐりたくなってしまいます。
ゲオの広報担当者は「事実確認中でコメントできない」と話しているそうですし、プレスリリースでも「事実と相違する部分があることから、内容を確認の上あらためてお知らせいたします」となっていますが、事実を確認するためにも第三者調査委員会の設置が必要なのではないでしょうか?
第三者調査委員会を設置されて外部の調査が入るとまずいので、森原哲也社長をトップとする社内調査委員会を作ってお茶を濁そうと考えているのでしょうか?

大橋一太取締役のインサイダー取引疑惑のプレスリリースを読んで、何かおかしいな?と違和感を感じて、一連のブログ記事を書き始めましたが、ますます不透明になってきた感じです。こうなったら臨時株主総会できっちりと決着をつける必要があると思います。
一方で森原哲也社長達は、臨時株主総会を開きたくないでしょうね株主から厳しく追及されるのは明白なので、できれば遠藤取締役に請求を取り下げてもらいたいと画策しているのではないでしょうかexclamation&question
社内調査委員会を作って徹底的に調査するから、社外取締役の選任はやめて欲しい、臨時株主総会の招集も取り下げてほしいと説得しているのではないでしょうか?
並行して、臨時株主総会の招集請求になにか不備がないか、必死に弁護士にあら捜しをさせているのかもしれません。さらには株主総会が開催された場合に備えて、大株主に反対するように動き始めているのかもしれません。2011年3月末の大株主の状況は下記の通りです。
 遠藤結蔵 15.94%
 城蔵屋 8.87%
 自己株式 7.06%
 日本マスタートラスト信託銀行 6.01%
 日本トラスティ信託口 4.69%
 インターナショナルレジャーコーポレイション 3.38%
 藤田商店 3.38%
 常興薬品 3.04%
 遠藤素子 2.44%
 日本トラスティ信託口 1.57%
 ニューヨーク銀行GCM 1.4%
今回臨時株主総会を求めた3者の保有割合は27.85%になりますが、遠藤素子氏は創業者の妻であり、遠藤結蔵取締役の母なので賛成に回ると思います。これで30.29%になります。
インターナショナルレジャーコーポレイションは日本マクドナルドの創業者の藤田田氏一族のファミリー企業であり、藤田商店と同じ行動をとると思います。合計6.76%ですが、過去の経緯を考えると遠藤取締役の提案に賛成するのではないかと感じます。社外取締役の選任に反対するとは思えないという部分もあります。そうなると37.05%の議決権を押さえたことになります
信託銀行などの保有数が上記だけでも13.67%ありますが、これらは海外の機関投資家が中心だと思います。基本的に社外取締役の選任には賛成の立場だと思いますが、時間もないので棄権する可能性もあります。
自己株式を除く議決権数543,828個に対し今年の株主総会で行使された議決権数は434,619個です。議決権数行使割合は79.9%とかなり高いですね。
臨時株主総会でも約8割の議決権が行使されるとすると、その過半数で取締役選任議案は可決となるので、40%以上の賛成を集めれば社外取締役が選任されることになります。信託銀行が賛成するか棄権すれば、可決の可能性が非常に高くなると思います。
株主から厳しく質問されることに加えて、臨時株主総会を開けば可決されるのは目に見えているので、なんとか開催を避けたいというのが会社側の考えでしょう。さまざまな妨害や提案がなされるのでしょうが、遠藤結蔵取締役には初志貫徹していただき、臨時株主総会開催に向けて頑張って欲しいと思います
私も微力ながら応援したいと思います
2011年6月29日開催のゲオ株主総会の議決権行使結果について、興味深いものを見つけました。

今年のゲオの株主総会では5つの議案が上程されています。
 第1号議案 剰余金処分の件
 第2号議案 定款一部変更の件
 第3号議案 取締役7名選任の件
 第4号議案 監査役1名選任の件
 第5号議案 新設分割計画承認の件
すべて可決されましたが、それぞれの賛否状況は下記の通りです。第3号議案については7名それぞれの賛否状況も開示されています。
ゲオ議決権行使結果
ほとんどの議案が99%以上の支持を集めているのに対し、今回問題が指摘されている沢田喜代則会長と森原哲也社長への反対票が多くあります。さらに社外監査役の春馬葉子氏への反対も比較的多い水準です。会長と社長への不信感を感じる株主が比較的多いこと、十分なガバナンスを効かせられない監査役に対する不信感があることを伺わせます。
この結果も、沢田喜代則会長と森原哲也社長が社外取締役選任議案への反対を呼び掛けても、同調する株主があまり増えないと考える理由の1つです。
どちらにしろ臨時株主総会を開催して、株主にきっちりと説明することを求めます。
 ブログランキングに参加しています 次項有 にほんブログ村 株ブログ 株 中長期投資へ
 トップ3を目指しています!クリック応援よろしくお願いします
ひらめき
ゲオの内紛に関連するブログ記事一覧
 2011年7月22日 ゲオ役員のインサイダー疑惑報道について
 2011年7月29日 株主による臨時株主総会の招集の請求に関するお知らせ
 2011年8月 1日 ゲオ役員インサイダー取引疑惑の続報
 2011年8月 3日 ゲオ臨時株主総会の招集請求2
 2011年8月11日 ゲオ臨時株主総会開催へ!
 2011年9月 7日 ゲオの内紛劇
 2011年9月 8日 ゲオ内紛劇第3弾
 2011年9月12日 ゲオ第3の仮説登場?
 2011年9月12日 森原哲也社長漁夫の利作戦
 2011年9月14日 毎日新聞の疑問解消? 第3の仮説は間違いかも
もうやだ〜(悲しい顔)
posted by Zaimax at 12:42 | Comment(2) | TrackBack(0) | 投資で疑問に感じること | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ゲオのニュースリリースに出てくる社外取締役候補者の北島孝久さんて、ものすごく有名な人なんですね。
wikiでも出てくるくらいなのに、なんで「東京地検特捜部副部長」とか「公正取引委員会審査部特別審査調整官」とかの経歴を書かないのかなぁ。弁護士であるとも会計士であるとも書いてないし、ニュースリリースだけ見るとわけのわかんない人たちみたいで可哀想です。
サン綜合法律事務所とまで書いてあるんだから、HP見ればわかるのに。
こういうのにも何か会社側の考えを感じるのは、僕だけなんでしょうか・・・
Posted by 名無しさん@ at 2011年08月04日 01:15
名無しさん@さん、コメント頂きありがとうございます。
確かにリリースだけ見ると、社外取締役候補の方々はどんな人なのかよく分かりませんね。
期待できそうなメンバーのようで心強いですね!
その分臨時株主総会開催に(心の中では)反対している役員にとっては、やりにくいと感じる部分もあるのでしょうね。
臨時株主総会開催も決まったことですし、どんな方々なのか自分の目で確かめてきたいと思います。
これからもよろしくお願い致します。
Posted by Zaimax at 2011年08月11日 16:33
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック