
ゲオ役員インサイダー取引疑惑:社内規定に三重違反し売却
毎日新聞2011年7月22日東京夕刊
ゲオ役員インサイダー取引疑惑:株主総会直前に発覚 社長命令無視
毎日新聞2011年7月22日大阪朝刊
どちらの記事も自社株を勝手に売却したゲオの男性取締役(53)を糾弾する内容です。会社側というか森原哲也社長側の主張をそのまま載せている感じです。男性取締役側への取材はまったく行っていないのか、男性取締役の主張はまったく掲載されていません。
1つ目の記事では、
自社株280株の売却を申請したのは2011年11月5日だったが、森原哲也社長が同月8日か9日、「未公表の重要情報があり、インサイダー取引に当たる恐れがある」として不許可を通告した。しかし、取締役は無断で売却を実行。今年7月に取締役会で問いただされるまで報告もしなかった。さらに売却日は11月10日で、申請と売買を1週間以上開ける規定にも違反しており、違反が3点に及んでいた
と、男性取締役の違反が極悪だ(笑)ということをこれでもかっ

ちなみにゲオの内部者取引管理規程では、インサイダー取引防止のため下記の3点が定められているそうです。
役員が自社株を売買する場合、売買の1週間以上前に申請
情報管理責任者の許可(書面)を得る
売買後は速やかに報告
この3つにすべて違反した売却だったという内容の記事です。
2つ目の記事は生々しくて、発覚のきっかけは内部通報だった!社長命令を無視して自社株を売却し、発覚後も「勘違いしていた」などと弁解を繰り返す男性取締役。投資家の信頼をどう維持するのか?と書いてあります。
前の記事でも書きましたが、私の数年前までのイメージでは大橋一太取締役は白黒はっきり付ける人で、事実であればみっともない弁解などするような人ではないように感じます。別の取締役の方がいろいろと弁解しそうなイメージです(笑)
ここ数年のうちに人柄が変わってしまったのでしょうか?
自社株の売却が必要になった理由として、2010年9月にツイッター上で男性取締役と同じ住所・氏名で、「ユーロ買い建て130万ユーロ 損失拡大中」との書き込みがあり、これが原因ではないか?
と示唆しています。
私もITバブル崩壊の時やライブドアショックで小型株の激下げが続いた時、リーマンショック、東日本大震災と株価が大きく下がり資産が激減していくという事態に直面しましたが、渦中にいる間は大きなショックを受けました。損失が日に日に拡大していくような状況に置かれると性格が変わってしまうくらいのショックを受けるのかもしれません。私の場合は現物なのでまだ良いですが、信用取引を行っていたり、FXのようにレバレッジを効かせた投資or投機をしていると、なんとか目先の損失を処理したい!となりふり構わぬ行動に出てしまうのかもしれません。
実際、自社株を担保にして投資して大きな損失を出すというケースはよくあり、担保株が強制的に売却されてしまうということで、会社側が自社株や資産を担保に役員にお金を貸すこともあります。もちろん褒められたことではなく株主からは非難されますが、自社株が売りに出されて株価が下がるよりはマシということで多用されています。投資会社の社長で、投資に関する本をたくさん出しているようなプロの投資家?でも同じようなことがありましたからね。
記事がどこまで真実か分かりませんが、FX取引での損失が理由なら、自社株を担保に会社側が決済資金を融資するという対応もあったはずです。
いまさら言ってもしょうがないので、毎日新聞の記事に戻ります。
記事では、2011年6月下旬に男性取締役が保有する自社株が昨年の1200株から920株に減っていることに関係者が気付き、監査部門に通報。株主総会直前の時期で、経営陣の間に衝撃が走った
と書いてあります。前回も指摘したように、3月末時点の株主名簿は4月中旬頃には会社に届くので、総務などの関係部門は大株主の移動状況や大口の役職員の持ち株数はチェックするのではないでしょうか?6月下旬になって気付くというのは職務怠慢では?あるいは株主総会で問題にならないように、直前に気付いたことにしたんでしょうか?なんとも不自然です。
2011年6月30日に提出された有価証券報告書では、大橋一太取締役の持ち株数は確かに920株と記載されています。有価証券報告書はもっと前から作成に着手していると思うので、着手時点でも気付くチャンスはあったはずなんですけどね。
続く経緯として、7月14日に開催された取締役会で森原社長から、「自社株を売ったという通報がありましたが、事実ですか?」と問いただしたところ、男性取締役は不承不承認めたものの、「社長が許可したと勘違いしていました」と弁解に終始したそうです。
大体6月下旬に通報があって株主総会直前の時期で、経営陣の間に衝撃が走ったという状況なのに、森原社長は男性取締役に対してなんの確認もせず、知らん顔で6月29日に株主総会を開催したのでしょうか?
そしてその後も7月14日の取締役会まで放置していたんでしょうか?
(かなり不自然だとは思いますが)もしそうだとしたらまったく危機感がないというか、ガバナンスが効いていません。おかしな点はすぐにチェックする公認会計士とは思えない対応ではないでしょうか?
会計上の問題ではありませんが、不正をチェックするという点では対応方法は同じだと思います。
経営陣に衝撃が走るような通報があったらすぐに本人に確認するのが自然です。同じ社内にいるのにね。
そして株主総会開催から半月もほかっておくのもおかしな話です。すぐに本人に確認し、臨時の役員会を開くほどの内容です。記事では衝撃が走った


大橋取締役は本社の人間なのですぐそばにいるはずなんだから、役員会まで待たずに直接聞けばいいじゃないですか?聞けないような事情でもあったのでしょうか?
7月14日の取締役会では、途中で監査役会が開かれ、「(取締役は)辞任に値する」と結論を出したが、男性取締役は無言だったので、時間切れで7月21日の取締役会まで持ち越されたと書いてあります。
記事や会社側の発表の通り、重要事実を知りながら売却したことが明らかで、本人も売却を認めていて、監査役会が辞任に値すると結論付け、本人も無言で監査役会の結論に反対しているわけでもないのに、なぜ1週間も結論を持ち越したんでしょうか?
考えられるのは、その他の取締役から色々な意見が出てまとまらなかったということくらいです。
どんなやり取りがあったのかはまったく記事になっていません。会社側に都合が悪い議論があったので、公表していないのでしょうか?
先日の私のブログ記事に対して、ゲオ大好き!さんから
日刊ゲンダイの記事、朝日新聞の記事、中日新聞の記事などを総合すると、どうやら沢田会長がかかわるかなりの金額の不正支出を大橋氏が糾弾しはじめたところ、現在の体制派は、大橋氏の社内手続き不備のインサイダー疑惑をフレームアップして強引に排除に出た感じですね
というコメントを頂いています。
ゲオの2011年7月28日付のプレスリリース株主による臨時株主総会の招集の請求に関するお知らせのなかでも、
本日の一部報道にありました請求者(遠藤結蔵取締役)の主張につきましては、事実と相違する部分があることから、内容確認の上あらためてお知らせいたします、と書いてあります。
この一部報道が中日新聞や朝日新聞の記事なのかもしれません。明日にでもどんな内容なのかチェックしてきます。
日刊ゲンダイは、けっこうあることないこと面白おかしく書くメディア、というイメージなのであまり信憑性はないかもしれませんが、煙のないところに炎はたたないともいうので、なんらかの表に出したくないことがあるのかもしれませんね。
臨時株主総会となると、こういった点も含めて株主から厳しく


まだまだこの問題は尾を引きそうですね。
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