内容は簡単なもので、取締役の大橋一太氏がゲオの定める内部規定に違反して自社株を売却し、さらに売却の報告もしていなかったので、本日の取締役会において辞任勧告を決議したというものです。
経緯としては、2010年11月5日に自社株の売却申請があったが許可しなかった。それにもかかわらず自社株を売却していて、その報告も無かったことが今になって分かったというものです。
このリリースを読んでの第一印象は、なんか不自然だなというものです。
ヤフーのゲオ掲示板ではインサイダーだと非難の嵐ですが、長くゲオの株主を続けている私には釈然としない感じがしました。
以下、私の推測中心に書いてみたいと思います。情報がほとんどないので憶測ということを注意の上お読みください。
今日の株価の反応は、朝方は売られたものの比較的冷静に推移したように感じます。

2010年11月5日というのはゲオの第2四半期決算の発表なので、この日に売却申請を行うというのは適切だと思います。今は四半期決算なので3ヵ月おきに重要情報である決算発表が行われ、自社株を売却する期間は限定されてしまいます。決算発表後の短い期間しか売却を認められない状況だと思います。
それにもかかわらず理由は分かりませんが、売却を認めなかったという情報管理責任者の姿勢にまず疑問を感じます。11月以降のゲオのリリースを見ても特に重要そうなものは見当たりません。なぜ売却をすぐに許可しなかったのか不自然に感じます。
(翌日の報道でゲオエステートの売却交渉が重要情報と報じられる)
さらに不自然なのはいつ自社株を売却したのか分かりませんが、3月末までに売却したのなら3月末の株主名簿を見れば売ったかどうか分かるはずなので、なぜ今頃こんな発表を行うのか?という点です。
3月末の株主名簿は4月中旬には会社側に届くので、上位株主や役員陣の持ち株数はチェックすると思います。チェックすれば株数に変動があるのはすぐに分かるので、その時点で事情を聞けばすぐに対応できたと思います。4月以降に売却していたのなら、ずっと分からなかったという会社側の主張も不自然ではないですが、今回の簡単なリリースではその辺りは分かりません。
6月には株主総会も開催され大橋一太氏も取締役候補になっているので、議案説明のなかで3月末の持ち株数が920株と記載されています。これが以前より減っているのかどうかは分かりませんが、もし減っていたとしたら会社側が今まで気付かなかったというのはおかしな話です。
ここ数年のゲオの株主に対する対応を見ていて感じるのは、年々個人株主を軽視するようになってきたな〜ということです。創業者の遠藤社長が不慮の事故で亡くなって以降、少しずつ以前のゲオらしさは薄れつつありましたが、外部から来た森原哲也社長になって以降その傾向が加速しているように感じます。
以前のゲオの株主総会は私のブログでも紹介しているように、株主が出席しやすいように15時から株主総会を開催していて、株主総会後には経営近況報告会を開いてゲオの現状とこれからについて詳しく説明していました。さらには日本マクドナルド創業者の藤田田氏の講演会(当時はゲオの会長だった)や懇親会なども開催して、株主とのコミュニケーションを深めようと積極的でした。
しかしながら遠藤社長が亡くなった後は、次の経営者として遠藤社長に期待されていた沢田喜代則現会長が社長を引き継いだものの、華美なことは好まないという理由で懇親会が中止となり、社長業は好きじゃないということで3年で社長を放り出して?後任の吉川恭史氏に引き継ぎました。
沢田さんは緊急事態で社長を引き継いだが、本当は社長業は好きではない、店舗などの現場が大好きだと株主総会でも自ら公言していました。
それでも午後から開催の株主総会は続いていましたし、経営近況報告会も行われていました。無くなったのは懇親会だけです。
私が出席した2002年以降の株主総会の様子を簡単にまとめてみます。太字の年は株主総会レポートにリンクしています。
2004年は6月に遠藤社長が亡くなった直後だったので、懇親会は中止となりました。
2002年6月のゲオ株主総会 遠藤社長 15時から 経営近況報告会、懇親会
2003年6月のゲオ株主総会 遠藤社長 15時から 経営近況報告会、懇親会
2004年6月のゲオ株主総会 沢田社長 15時から 経営近況報告会、懇親会中止
2005年6月のゲオ株主総会 沢田社長 15時から 経営近況報告会、懇親会なし
2006年6月のゲオ株主総会 沢田社長 14時から 経営近況報告会
2007年6月のゲオ株主総会 沢田社長 15時から 経営近況報告会
2008年6月のゲオ株主総会 吉川社長 15時から 経営近況報告会
2009年6月のゲオ株主総会 吉川社長 開始時間・経営近況報告会などは不明
2010年6月のゲオ株主総会 森原社長 集中日の10時から 経営近況報告会なし
2011年6月のゲオ株主総会 森原社長 集中日の10時から 経営近況報告会なし
2009年は情報がなく詳細が分かりませんが、上記の通り午後から開催して経営近況報告会も開催していたゲオから、森原哲也氏がゲオの取締役になってからは個人株主との対話は拒否するような会社になってしまい、私も2009年以降は東京での株主総会中心に出席しているので、名古屋開催のゲオの株主総会には参加していません。15時から開催なら参加できるかもしれませんが、集中日の10時開始では出席は難しいです。
一株主からするとゲオらしさが無くなっていくのはとても残念ですし、森原哲也氏が2009年6月にゲオの経営に参加するようなってから、ゲオらしさが一気に薄れているように感じてしまうので、とても残念ですし心配もしています。ゲオの株主優待制度も2009年9月14日発表のリリースで大幅に改悪されてしまいましたが、この改悪にもタイミング的に、森原哲也氏の考えが大きく反映されているように感じてなりません。便利な株主優待だっただけに当時とても残念に感じました。サンヨーハウジング名古屋も同様ですが、合理的な考え方を優先し機関投資家などの大株主の声だけを聞いて経営判断を行うと、長い目で見ると消費者でもある個人株主の離反を招き、結局は株価の低迷と業績の低迷という罠にはまってしまいます。
そんな中で発生した今回の問題です。
こういった背景から、私の第一印象は社内で旧経営陣と新経営陣の間で対立が起きているのでは?と感じてしまいました。
翌日になって新聞報道も増えてきて、毎日新聞では下記の通りに報道しています。
DVDレンタル最大手「ゲオ」(愛知県春日井市)の取締役会が、経営不振に陥っていた連結子会社の株式を大量売却し連結対象外とする協議を進めていた昨年11月、男性取締役(53)が自己所有の自社株280株(2千数百万円)を売却していたことが分かった。社内で売却許可を申請したが、「インサイダー取引に当たる可能性がある」として不許可になった直後に無断で売却していた。
毎日新聞 <インサイダー>ゲオ役員に疑惑 自社株280株を無断売却
会社側は即座に本日の一部報道について というリリースを出し、事実関係は調査中でインサイダー取引とは言っていないというような発表をしています。
昨日のリリースだけではこんな記事は書けないはずで、会社側に取材して書いているものと思われます。内容も会社側の主張を補強するような記事であり、役員側の主張については全く取り上げられていません。インサイダー情報に該当する件については、ゲオエステートの売却交渉と書かれていますが、中日新聞の記事では、数年前からゲオエステートの売却を検討していたそうで、そうすると取締役は数年前からずっと自社株を売却できなかったことになります。
これらの報道が正しいとすれば、11月には売却していたようなので、3月末の株主名簿で十分チェックできたはずです。株主総会も終わった今頃になってなぜ発表?という疑問は大きくなるばかりです。
毎日新聞の記事では、役員の自社株取引には首相への報告が義務付けられていると書いてありますが、本当なんでしょうか?総理大臣に報告するような事項なんですかね〜証券取引所への報告くらいで十分では?と思いますが。
ゲオの現状の取締役は下記の通りです。
沢田喜代則会長(遠藤社長時代から取締役)
森原哲也社長
久保田貴之副社長
吉川恭史(遠藤社長時代から取締役)
大橋一太(遠藤社長時代から取締役)
遠藤結蔵
清水松生(遠藤社長時代から取締役)
株主総会などを通して感じた私の印象を書いてみます。あくまで私見ですし、最近は株主総会にも参加していないので数年前の印象です。
沢田さんは、経営は森原社長に一任するからややこしい話は僕には相談しないで〜という感じ(笑)
久保田さんは、銀行出身で最近入社したことから遠藤社長は直接には知りませんし、合理的なら社長に反対はしないという感じかな
吉川前社長は、森原社長に代わった経緯がよく分からないので何とも言えませんが、社長も代わってもらったので森原社長には反対しにくいのでしょうか?
清水さんは、言う時には言いそうなんですが、普段は物静かで争いは好まない感じ
大橋さんは、自分の意見はしっかり主張するタイプで、森原社長からすると一番扱い難そうです。
私の個人的感想では、遠藤社長は沢田さんに厚い信頼を置いていて、次期社長に考えていたようですが、沢田氏本人は社長業にはあまり興味がなかったので、遠藤社長が不慮の事故に遭わなければ大橋一太さんが社長になっていたのではないかなと思っていました。社長室長も務めていましたし。
今回の件で立場がよく分からないのが先代の遠藤社長の息子であり、筆頭株主でもある遠藤結蔵氏の考えです。ゲオらしさが失われていくことには危機感を感じているのではないか?と期待しているんですが、どんな考えなんでしょうか。社長室時代に大橋さんには世話になっていたと思うんですけどね。一番若いので森原社長に反対しにくいのでしょうか?
なんかさらにゲオらしさが薄れていくようでとても残念です。
まだ情報が少なく全貌がまったく分かりませんので憶測の域を出ていませんが、ただ報道を額面通りに受け取っていいのかな〜とは感じます。
ぜひ大橋さんにも取材して記事を書いてほしいものです。売却の経緯やなぜ一部売却の必要があったのかなどが分からないと、評価のしようがありません。
会社側発表に偏った報道ではなく、ぜひ公平な報道をお願いしたいですね。
毎日新聞の記事では、
複数の同社関係者は「昨年11月の段階では、エステート社の切り離しに失敗しゲオの連結決算が悪化してゲオ株が下落する可能性もあった。同じ情報を知っていれば、損失回避のためにゲオ株を売る投資家もいたはずだ」と指摘している
と書いてありますが、当時ゲオエステートの業績は低迷していたものの黒字見通しであり、期初に発表した目標の下方修正などは発表していません。期首の計画でゲオの連結決算にも反映されているはずなので、ゲオエステートの業績がゲオの決算に大きく影響するとは思えません。ゲオエステートは会社の規模からしても、ゲオの連結決算に大きな影響を与えるような状況ではないと思います。
ゲオエステートよりも、森原哲也社長が前社長を務めていて、ゲオが子会社化したウェアハウスの方が19億円近い赤字見込みを出していて、ゲオの連結決算悪化の要因になっています。
こんなことからも、会社側は意図的に森原哲也社長に有利な情報をリークしているのではないか?と勘ぐってしまいます。
まああくまで感想なので、今後の続報を待ちたいと思います。
どちらにしろ株主総会前に出ていたら株主総会でも質問が集中したと思うので、株主総会を避けて今になって分かったことにしているようには感じてしまいますね。
私もこの問題が株主総会前に発表されていたら、6月29日は東京での株主総会を諦めて、ゲオの株主総会に3年ぶりに出席していたかも(笑)
そのくらい大きな問題だと思うんですけどね。これからも追いかけていきます!
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2011年7月22日 ゲオ役員のインサイダー疑惑報道について
2011年7月29日 株主による臨時株主総会の招集の請求に関するお知らせ
2011年8月 1日 ゲオ役員インサイダー取引疑惑の続報
2011年8月 3日 ゲオ臨時株主総会の招集請求2
2011年8月11日 ゲオ臨時株主総会開催へ!
2011年9月 7日 ゲオの内紛劇
2011年9月 8日 ゲオ内紛劇第3弾
2011年9月12日 ゲオ第3の仮説登場?
2011年9月12日 森原哲也社長漁夫の利作戦
2011年9月14日 毎日新聞の疑問解消? 第3の仮説は間違いかも

【投資で疑問に感じることの最新記事】
再生を試みた者です。当時 民事再生後
社長で就任したのは 大橋社長でした。
もう1人役員で参加していたのは遠藤取締役でした。大橋社長の遠藤取締役に対する接し方はそれは丁寧で 故遠藤社長の思いを受け継ぐ感がありました。私の会社は3年前にGEOから売りに出され 今も事業を継続しています。これは私個人の感想ですが GEOの中で旧遠藤派の排除が進んでいるのではないでしょうか。しかも強引に!!現社長森原氏になってから 北海道の支店は経費の無駄だから春日井に集合だとか 従業員のことは
まったく考えない経営で 現場は困惑していると聞きました。GEOの中には故遠藤社長の意思を受け継ぐ社員はいっぱいいると聞きます。これから内部派閥の駆け引きがエスカレートすると思います。大変ですね。
ぼくも株主総会には以前行きましたが、最近は、時間の関係で行けなくなってしまいました。仰るとおり、株主を大切にしなくなったのは、残念です。
3日間ほど東京の株主総会に参加していてニュースをチェックしていなかったんですが、遠藤結蔵取締役が動き出したみたいですね!
今日のリリースで、5名の社外取締役の選任を求める臨時株主総会の開催を請求しているようです。
ゲオが良い方向に動いていくのなら私も大賛成ですし、このブログでも応援していきたいと思っています。
どうも最近のゲオを見ていると、効率重視で個人株主を軽視していたり、ゲオらしさが失われつつあると感じるので心配していましたが、一連の動きの後どう変わってくるのか注目ですね。
遠藤取締役は入社時の上司が大橋取締役で、帝王学というか将来社長になるための指導を受けていたのだと思います。それくらい大橋氏は故遠藤社長の信頼が厚かったのだと感じています。それだけに今回の騒動は素直には納得できませんでしたし、何か裏があるのではないかと感じてしまいました。私と同じように感じている人がいることが分かり、とても心強く感じています。
これからもよろしくお願いします。
吉川氏は故遠藤社長時代からゲオに勤めていて、創業メンバーと言ってもいい存在です。
銀行から来たのは今は常勤監査役になっている笹野和雄さんです。前は財務担当の取締役でした。笹野さんは遠藤社長時代からの取締役です。
久保田貴之副社長も銀行出身です。久保田氏は遠藤社長が亡くなって以降にゲオに入社しています。
吉川社長が交代したのは、業績が低迷したこともあると思います。遠藤社長に足りなかったのは、社長を務められるほどの後継者を育てきれていなかったということなんでしょうね。それくらい早過ぎた死だったという裏返しでもありますが。
2004年の株主総会で配られた、遠藤社長が書いた本をもう一度読み返してみようと感じました。本の中には、創業メンバーや取締役1人1人について、遠藤社長が自分の想いを書いている章がありました。沢田喜代則現会長にはかなり期待していた様なんですが、私から見ると十分に期待に応えていないように感じてしまいます。
今回の一連の騒動では、ぜひ遠藤社長の遺志を継いで、指導力を発揮して欲しいと思います。
私の中でもゲオの株主総会はベスト3にランクされるほど評価の高い株主総会だったので、最近のゲオには失望していました。
今回の騒動を通じて、顧客でもある個人株主も大事にしたゲオに戻ってくれると嬉しいですね!
今後ともよろしくお願いします。
日刊ゲンダイの記事、朝日新聞の記事、中日新聞の記事などを総合すると、どうやら沢田会長がかかわるかなりの金額の不正支出を大橋氏が糾弾しはじめたところ、現在の体制派は、大橋氏の社内手続き不備のインサイダー疑惑をフレームアップして強引に排除に出た感じですね。遠藤結蔵氏は株主招集の臨時株主総会を請求して、役員の任期短縮(2年→1年)と、5人の社外取締役の選任をすることを求めていると出ていました。うち1人は元東京地検特捜部検事という強面の方みたいです。
ゲオの取締役は現在7名なので、5人が加わって遠藤氏が多数派を握るには遠藤結蔵氏以外に最低1名の味方が必要なことになります。それが大橋氏だから、遠藤結蔵氏はなにがなんでも守りたいし、体制派はなにがなんでも辞めさせたいというところですね。
ちぃっと深読みしすぎかな?
私もゲオ大好きです!
日刊ゲンダイの記事、朝日新聞の記事、中日新聞の記事はまだ読んでいないんですが、明日にでも図書館に行って朝日新聞と中日新聞を読んできます。
日刊ゲンダイはもうどこにもないと思うので、チェックできないんですけどね。
続編的な記事を書いてみましたので、よかったらこちらもご覧ください。
http://sokai.seesaa.net/article/217854824.html
新聞を読んでからまた記事を書こうと思っていますが、森原社長派対旧遠藤派の争いではなく、森原社長+沢田会長連合対遠藤派の争いとなると複雑な様相を呈してきそうですね。吉川さんや清水さんがどちらに付くのかがよく分かりません。
なにやらよりきな臭くなってきましたねぇ