2011年06月10日

アイ・アールジャパンIR Japan(6051)会社説明会

2011年6月10日(金)14時から東海東京証券で開催のアイ・アールジャパン会社説明会
最近は株主総会続きということと株主総会レポートをまとめないといけないので、あまり会社説明会に参加できていませんでしたが、今日はアイ・アールジャパンIR Japanの個人投資家向け会社説明会に行ってきました。アイ・アールジャパンは、敵対的TOBなどの買収攻勢にさらされている側のアドバイザーとなり、普段は実質株主が把握しずらい外国人投資家の調査などを行っている会社です。我々が参加している株主総会の裏側で、会社側の望む議案が無事可決するように色々なアドバイスを行っている会社です。株主総会の裏側が覗けてなかなか興味深かったですし、いろいろと勉強になりました。
2011年6月10日(金)の株価 950円(東証1部 9946) 100株単位 3月決算
PER 8.1倍、PBR 1.44倍、配当利回り 2.63%、株主資本比率 63.5%
監査費用 2,900万円(売上比 1.16%、営業利益比 7.00%) あらた監査法人
株主優待 なし

企業規模の割に監査費用がかなり高額ですね。上記の2,900万円以外にも、株式公開に向けた各種アドバイザリー費用などが発生しているので、総額は4,820万円にのぼります。売上が25億円ほどの規模で東京中心に活動しているのであれば、1,500万円くらいで十分なようにも感じるんですが、何か特殊な監査が必要なんでしょうか?
   アイ・アールジャパンIR Japan(6051)のホームページ

   アイ・アールジャパンIR Japan(6051)のヤフー株価情報
アイ・アールジャパン
アイ・アールジャパンは東日本大震災後の3月18日に上場しましたが、その日に付けた高値1,918円をピークに、株価は下落トレンドになっています。出来高も急激に細り、ここまでは典型的なIPO銘柄の値動きになっています。千円前後で下げ止まるのか?まだ下値模索が続くのかは分かりませんが、もうしばらく様子を見る必要があると思いますね。
スケジュール
14:00〜14:11 会社紹介ビデオ
14:11〜14:56 寺下史郎社長から説明
14:56〜15:01 質疑応答 質問者1人 計3件
お土産 クオカード500円分 アンケートと引換えで後渡し

会社側出席者は、寺下史郎社長、コーポレートプランニング部の浜崎氏、萩田氏の3名でした。
まずは会社紹介ビデオが10分ほど流され、その後寺下社長からのプレゼンテーションになりました。
守秘義務があって具体的な社名は挙げられないが、東海地方を代表する会社もほとんどはIRジャパンの顧客になっているそうです。
震災直後の上場で初値がどうなるか?それ以前に公募株の買付代金を振り込んでもらえるのか心配していたが、無事公募を行うことができ初値も奇跡的に公募価格を90円上回った。
が、その後の株価は上記株価チャートの通りですまあほとんどの新規公開銘柄は同じような動きをするのでやむを得ませんが、半年から1年経って株価がどう推移しているか注目ですね)

まずは自らの経歴紹介や、IRジャパンという会社の成り立ちなどについて説明がありました。
大学卒業後エイアイアイという会社に入り、イトーヨーカ堂がアメリカで発行した無担保転換社債の発行を手伝った。発行後は投資家に情報提供が必要なので、英文で説明資料などを作って投資家に説明に回っていた。1997年に旧アイ・アールジャパンに入社した。当時はIR資料などのパンフレットを作って売上をあげていたが、私が入社した年にソニーの株主総会を長年仕切っていた青山氏から議決権を集めるのを手伝ってほしいと頼まれ、現在の株主判明サービスにつながる仕事を始めた。青山幸彦氏は私のゴルフ仲間で利害関係はなかったが(今はIRジャパンの取締役)、大賀社長の元長時間に渡るソニーの株主総会を支えていた。当時は議決権数の過半数が集まらないと株主総会が無効になってしまうので、外国人株主が多い会社は議決権を集めるのに苦労していた。青山氏からの依頼を受けてアメリカに飛んでソニーの実質的な株主を探して、議決権行使をお願いして回った。この仕事が認められて日立からも仕事を頂くようになり、業績が低迷していたIRジャパンを立て直すことができた。
IRジャパンは1984年に鶴田前社長が、今後は日本でもIRサービスが重要になると考え設立したが、IR用パンフレットの作製など宝印刷やプロネクサスと同じような仕事しかなく、競合も多いので苦戦していた。新たに立ち上げた株主判明サービスが好調で業績も立ち直ってきたので、MBOという形で鶴田社長他の持ち株をすべて引き取り、私が100%株を保有する会社になった。その時銀行から、私個人の信用で10億円の借金をしてMBOを行った。上場時に調達した金額が10億円なので、借金を返すために上場したのでは?という誤解があるようだが、10億円は利益で返済する目途がついたので上場したのであり、借金返済のために上場したわけではない。MBO時ののれん償却が8,500万円ずつ5年間発生するので、純利益の水準は低くなっている。のれんの影響はあと2年間続く

IR(インベスター・リレーション投資家向けの活動)・SR(シェアホルダー・リレーション株主向けの活動)コンサルティングとは、実質株主判明調査から始まり、会社側の提案したい議案がどの程度の株主から支持されるのか?可決するためにはどのような議案にすれば良いのか?などのアドバイスを行う。(株主構成により議案の内容も変わってくるのでしょうね。白紙委任の多い個人株主が多ければ、会社側の思い通りの議案にできそうですが、外国人や機関投資家が多いとより慎重に賛否をシミュレーションするんでしょうね)
その後、議決権行使促進活動を行い、株主に議決権を行使するように促す活動のお手伝いを行い、株主総会を迎える。株主総会後は議決権行使結果の分析を行い、来年に向けてのアドバイスを行う。
以前は会社法で議決権数の過半数が必要で、当社の実質株主判明サービスの需要も多かったが、会社法改正後は定款変更で1/3にまで引き下げることが可能になり、アイ・アールジャパンのビジネスが無くなるかと思ったが、そこに村上ファンドが登場し敵対的買収や短期的な利益を求めるような株主提案を行い、会社側と委任状争奪戦になるケースが増え、プロキシーアドバイザリー業務が増えて救われた。今月は株主総会シーズンだが、電力会社の社長は反対票がどの位来るのか頭を悩ませていると思う。
注記最近の株主総会招集通知には、目立つ位置に議決権行使のお願いが載っていたり、株主総会への出席や議決権行使書の返送をお願いする紙が入っていたりします。さらに株主総会の1週間から10日前には、議決権行使を促す葉書を送ってくる会社も増えました。議決権の集まり状況を見ながら、IRジャパンのような会社がアドバイスしているということなんですね!
今は各議案への賛否を報告しなければいけないので、会社側としても白紙委任で返送してくれたり、株主総会に来てくれる株主は、それだけ賛成票が上積みされるのでありがたい存在なんだなと感じました。よく株主総会にきてお土産だけもらって帰る株主を批判している人がいますが、会社側としてはお土産くらいで議決権行使書を持ってきてくれるなら、大歓迎の様ですわーい(嬉しい顔)勝手な解釈(笑)

実質株主判明調査とは、上位株主を見てもらうと分かるが、大企業の場合日本トラスティサービスなどの信託銀行名義が大株主になっている。この中にはファンドや機関投資家など様々な株主が含まれているので、会社側からすると誰が本当の株主なのか分からない。招集通知は日本トラスティサービスなどの株主名簿上の登録株主に送られるので、実質株主には招集通知などの情報は届かない。株主総会や議案には興味がない株主も多いので、結果として議決権行使がされず定足数が足りないという恐れがあった。今は1/3にまで引き下げられたのでそのようなリスクは低下したが、外国人株主の比率がさらに上がると定足数ギリギリになる可能性もある。
外国人投資家が議決権を行使しようとしても、招集通知は日本語で書かれており内容の判断ができなかった。そのため海外のISS会社(議案の賛否をアドバイスする会社)が勝手に招集通知を英訳して、議案に対するアドバイスとセットで外国人投資家に提供するようなサービスも行われている
その場合、会社側の意図と違ったアドバイスをされる恐れもあるので、当社のような日本のIR・SRコンサルティングサービスを利用する会社が増えてきた。

前期の業績はほぼ計画通りとなった。IRジャパンが他社に買収されてしまうと顧客企業も困るので、私の持ち株比率は60%以上をキープする考えであり、そのため法人税率が高くなっている。
今期の業績は増収増益を見込んでいるが、大きな伸びを見込んでいないのは、突発的に入る大型案件を織り込んでいないためです。敵対的買収などの有事が起こったり、大型の経営統合などがあると当社へのコンサルティング依頼が増え、ボーナス的な部分の売上が増える。最近は敵対的買収なども減っているが、今日の日経新聞4面にはTCI(ザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンド)がまた動き出したとのニュースも載っており、こうした動きが出てくると当社にもプラスになる。
注記)TCIは数年前にJパワーに増配提案を出し、会社側と対立したファンドです。今回はJTの社長解任を求めているようです。こうした有事が起こるとIRジャパンへの相談が増え、業績が伸びるんですね。2007年には村上ファンドに助けられましたし、今回お世話になりそうなTCIにもお中元の一つくらい贈っておかないといけませんね(笑)まあ顧客企業との利益相反になるので無理でしょうが(^_^;)

有事の大型案件を除いた部分の売上高は順調に伸びている。主要顧客数が安定的に伸びているためで、当社は長い付き合いをしている顧客が多くて、解約されることはほとんどない。ただ景気が悪くなるとフィーを少し下げてくれないかとお願いされることはあり、その場合は売上の減少要因になる。
SRコンサルティングは順調だが、一方でIRパンフレットなどを作るディスクロージャーコンサルティングは売上が大きく減っている。競合他社も多く減少傾向が続いてきたが、上場したことで財務内容も良くなり、安心して仕事を任せられるということで、下げ止まってきたと思う。
SR活動のシェアは日本国内では65.3%でトップだが、普及率は13.5%とまだ低い。SRサービスの必要性を知らない古い経営者や昔のままの経営スタイルの会社がたくさんある。上場企業向けにセミナーなどを行って、SR活動の必要性などを訴求しており、普及率を上げていきたい。
日本株の保有比率を見ると、外国人が26%、国内の機関投資家が18%、個人投資家が20%で合計64%を占めている。今後新しい国際会計基準アイファースが導入されると、さらに持ち合い解消が進むので、SRサービスの必要性が高まりアイ・アールジャパンの業績にもプラスに働く。
東日本大震災後も外国人は積極的に日本株を買い増しており、実質株主判明調査の必要性も高まってくる。外国人投資家と言っても幅広いので、各企業で調べられるようなものではなく、我々のようなノウハウを持った会社に依頼した方が効率的です。
現状は25億円ほどの売上高だが、狭く見ても市場は100億円あり、株主総会に関連したマーケットは1千億円市場です。政府・経済産業省も株主総会の運営に関するガイドラインを2011年4月28日に公表しており、6月の株主総会終了後に「当面の株主総会の運営に関するタスクフォース」を開催し、上場企業と株主の対話の促進に努める方針であり、株主総会やSRサービスの重要性がさらに高まってくる。私もタスクフォースにメンバーとして参加している。
以上で寺下社長からの説明は終わりました。続いて質疑応答となりましたが、説明に時間がかかったので1人だけで打ち切りとなってしまいました。他にも質問したい人がいたので残念ですね。

(1)他社から買収されると困るので6割以上の株は保有し続けるとか、今後ものれん償却が2年続くと説明があったが、それではなぜ今のタイミングで上場する必要があったのか?
→国内でのシェアが67%と圧倒的なトップとなり、トップ集団の企業はほぼすべてが当社の顧客となった。今後業績を伸ばしていくには地方の会社など新たな顧客を開拓していかなければならない。そのためには知名度が必要になる。上場しているということは知名度アップの大きな武器になる。顧客の裾野を広げるには上場するしかないというところまで来たというのが1つの理由です。もう1つはSRサービスの拡大のためには優秀な人材が必要になる。当社の仕事は人材が重要だが、もっと多くの優秀な人材を確保するためにも上場が必要だった。上場したことで今年(中途?)採用を計画している8人中の5人をすでに採用できている。上場してから極めて優秀な人材が集まる様になってきた。上場するとリクルートがしやすくなるとよく言うが、本当に優秀な人材が集まるようになった。新卒も採用するが今はキャリア組が中心で、(戦力になるには)6ヵ月くらいはかかるのは理解して欲しい。
(2)外国人株主の割合がさらに高まるので業績にプラスだと説明があったが、海外には大きなISSもあり、直接海外のISSに依頼した方がコントロールしやすいと考える会社も出てくるのではないか?
→外国人株主の調査は海外に任せた方が早いのではないか?というのは良い質問だが、実は逆で、海外のISSなどに実質株主を知られてしまったら、敵対的買収などを逆に働きかけられてしまうかもしれない。なぜ日本人だけで会社を運営して外国人を入れないかというとそこを心配していて、外国人のことは信用していない。我々が持っている実質株主の情報は、コーポレートジャパンの情報(日本株式会社の株主情報というような意味の様です)なので、それを外国の会社に任せるということは日本の会社にはしにくいと思う。自分がオーナー経営者であれば、外国の会社に自社の重要事項の調査を任すのはリスクが大きいと思う。外国のISSなどの調査会社はM&Aで大きくなってきており、いつ他の会社に買収されてしまうかもしれない。アイ・アールジャパンのようにしっかりしている会社はほとんどない。右から左にお金だけで売られてしまうような状態だ。そんな会社に大事な調査を任せられるか?というところがポイントであり、アイ・アールジャパンの強みになる。敵対的買収の敵側に付くことはないが、守らせたら強いというのがアイ・アールジャパンです。
(3)そうは言っても外国人投資家が海外のISSのアドバイスを参考にするようになれば、議案が通りにくくなるので、会社側としてもISSへの働きかけを強める必要が出てくるのではないか?
→本当の運用機関はISSの意見を鵜呑みにするのは嫌いで、会社のトップと直接会話したいと考えている。ISSはあくまでガイドラインであり、ISSの言うことを聞きたいわけではない。直接調べて投資したいが、極秘に調べたいと考えている(おおっぴらに調査すると買おうとしていることが知られてしまい先回り買いされてしまう恐れがあるので、極秘に調べたいという意味だと思います。決してインサイダー情報を集めているわけではないと信じたいですね)そこを理解して欲しい。

海外のISSとの競合についてはあまり理解できませんでした。IRジャパンにどれほどのノウハウがあるのかは知りませんが、同様の実質株主判明調査は海外のISSの方が歴史も長くノウハウを蓄積していると思っていました。それならば日本の会社の株主情報だって調べられるわけで、ISSに実質株主を知られてしまうのは大きなリスクだという説明では理解できません。ISSには実質株主を調査するノウハウが無いのなら理解できますが。
また海外投資家も経営トップと直接対話したいというのはよく分かりますが、それなら投資家側から会社にコンタクトがあると思うので、実質株主を調べなくても相手側から教えてもらえることになります。質疑応答を聞いていると、混乱するというか会社説明会の内容と矛盾しているようにも感じてしまいました。私がIRジャパンの持っているノウハウや業務についてよく理解していないからなのかもしれませんが...

株主総会の運営に関するタスクフォースは知りませんでしたが、私は株主総会は最高のIR活動の場だと捉えているので、会社側ももっと株主との対話を重視してほしいと思っています。質疑応答に時間をかけたり、株主総会後に経営報告会や近況報告会を開催して、会社の現状を株主に理解してもらい、質疑応答を通じて意見交換することで、長期に応援してくれる株主が増えていくと考えています。そういった観点から、情報発信の一環として私もこのブログを続けています。
会社側もブログの内容を参考にして、よりよい株主総会運営に努めて欲しいと希望しています。
では、株主総会の運営に関するタスクフォースにメンバーとして参加しているアイ・アールジャパンの株主総会はどんな感じなのか?というと、今月開催の株主総会が上場後初めての株主総会になるのでまだ分かりませんが、招集通知などを見た感想は以下の通りです。
招集通知の役員選任議案の説明に顔写真があるのは素晴らしいと思いますが、開催日時が6月24日(金)10時からと準集中日なのは残念ですね。もっと集中日を外して開催したり、開始時間を午後からにするなどの工夫があってもいいのではないかと感じます。寺下社長は、アイ・アールジャパンは株主総会運営のプロではないので株主総会は普通ですよと言っていましたが、株主総会マーケットを取り込んで行こうという戦略なんですから、顧客企業にPRできるような素晴らしい株主総会を実現して欲しいものですね!どうも日本のPR会社は自社の株主総会運営はお粗末な感じがしてしまいます。
今年は初めての株主総会なのでしょうがないかもしれませんが、ぜひ今回の株主総会後の株主の声を分析して、来年の株主総会に向けたアクションプランをしっかりと作って欲しいですね。
このブログもぜひ参考にしてください(笑)
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ひらめき
posted by Zaimax at 23:53 | Comment(0) | TrackBack(0) | セミナー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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