ACCESSは、携帯電話からインターネットに接続する閲覧ソフトNetFront Browserなど、携帯端末や家電製品をネットにつなぐための組込みソフトウェアを中心に開発している会社です。
ACCESSアクセスの株主総会に参加するのは初めてです。
2011年4月20日(水)の株価 78,500円(東証マザーズ 4813) 1株単位 1月決算
PER 123.1倍、PBR 0.96倍、配当利回り 無配、株主資本比率 81.2%
監査費用 8,768万円(売上比 0.35%、営業利益比 1.94%) あずさ監査法人
株主優待 なし
ACCESS(4813)のホームページ
ACCESS(4813)のヤフー株価情報

過去10年の株価推移をみると、けっこう激しい値動きをしています。2005年頃までは成長期待も高くかなり人気化していましたが、その後は時々人気化するものの低迷が続いています。
一方、業績は開発費が先行したり、パーム買収に伴うのれん償却などで赤字・黒字を繰り返しています。

スケジュール
10:01〜10:39 事業報告
10:05〜10:08 監査報告 中江 隆耀常勤監査役
10:08〜10:28 営業報告 ビデオで説明
10:28〜10:39 今後の取り組みなど鎌田 富久代表取締役兼CEOから説明
10:39〜10:41 決議事項の説明
第1号議案 取締役6名選任の件
任期満了に伴い6名再任、安井俊哉氏、石黒邦宏氏は退任して執行役員専念
第2号議案 監査役3名選任の件 任期満了に伴い3名全員再任
10:41〜11:55 質疑応答 質問者10人 計19件 74分
11:55〜11:56 議案の採決 拍手方式 すべて可決
11:56〜11:58 取締役紹介 鎌田社長から名前のみ紹介
11:58〜13:03 昼食休憩
13:03〜13:28 事業説明会 鎌田富久社長から説明
13:28〜13:38 石黒邦宏執行役員から開発商品のデモンストレーション
13:38〜14:46 質疑応答 質問者10人 計24件 68分

お土産 自社発行の雑誌 東京カレンダー6月号 後渡し
飲み物サービス 事業説明会開始前に紙パックジュースの配布
事業説明会 あり
懇親会 株主総会後の休憩時間に別室で食事サービス
注目の株主総会格付けですが、事業の現状と今後について鎌田社長から詳しいプレゼンテーションがありましたし、事業説明会、食事も用意されています。5時間近くにわたる長丁場ですが、事業の現状と今後について、株主に理解してもらおうという会社側の考えは十分に伝わってきました。一方雑誌のお土産は重たいですし、正直あまりうれしくありませんでした。これらを総合的に判断し、ACCESS(4813)の株主総会格付けは 『B+』 としました。
食事会に役員陣も参加して株主とコミュニケーションを取るようにしたり、お土産がもう少し嬉しいもの

議決権を有する株主数 25,917名、その議決権数 392,020個
議決権返送&出席株主数 3,296名、その議決権数 176,656個

ACCESSアクセスの株主総会は、今年もホテルグランドパレスで行われました。9時前にはすでに受付を開始していて、別室の製品展示会場もオープンしていたので、8時半頃から受付は可能な感じでした。株主総会会場の向かい側に用意されていた製品展示室では、携帯やスマートフォン、アイパッドなどが展示され、アクセスの開発したソフトのデモが行われていました。係員の方が説明してくれるので、勉強になります。アクセスの様な技術系の会社は、事業内容を理解するのが難しいですが、こうやって実物を元に説明してくれると分かりやすいですね。展示のなかで一番期待できそうに感じたのは、子会社のIP Infusionが展開しているスマートグリッド関連の実験ですが、アクセス全般に言えるのはスピード感が足りないことです。同じような実験はアメリカでもグーグルなどが大規模に展開しています。
競争の激しい分野で事業展開しているんですから、スピード感を持って開発・提携などを進めていかないと、せっかくいいものを開発しても採用されない→グローバルスタンダードにならない→利益につながらない、となってしまいます。
もっとスピード感を持って戦略的な提携など進めて行って欲しいですね。
製品展示室には社外取締役の宮内義彦氏も見に来ていました。株主総会前なのに余裕ですね!
株主総会会場内には椅子のみがたくさん並べられ、(6+6+6+6)×30くらいのレイアウトで800人分くらいの席が用意されていました。最前列はバリケード的な意味もあるのか

壇上の役員席は横幅が狭くて、役員の方々が窮屈そうに座っていました。壇上は2列になっていて、後列には執行役員の方々が着席していたようです。
まずは東日本大震災の影響で、決算発表が3月15日予定から18日に遅れたことのお詫びからスタートしました。事業報告は分かりやすいようにビデオで行われました。これはとてもいいことですが、計算書類の報告で単体については省略してもいいと思います。連結の説明だけで十分なので、無駄な説明は省いて、その分質疑応答の時間を多く取った方がいいと思います。
アクセスは昨年まで力を注いできたALP(ACCESS Linux Platform)の開発をやめて、新たな収益の柱を模索している変革の途上にあります。そのためビデオでの説明に加えて、鎌田社長から今後の方向性についてのプレゼンテーションがありました。
今後は1.サービス・イネーブラビジネス、2.ネット接続端末ソフトを提供するライセンスビジネス、3.大きな成長が見込まれるネットワークソフトビジネス(米国子会社のIP Infusion Inc.IPインフュージョン中心に展開)、の3つを再成長の基盤にしていくと説明がありました。
サービス・イネーブラというのは初めて聞く言葉ですが、エンドユーザー向けのサービスだけではなくて、そのサービスを提供する事業者側のシステムも含めて全体的なサービスをアクセスが提供する事業のようです。例として電子出版を提供するシステムについて紹介がありました。日本は中小の出版会社がたくさんあり、それぞれが電子出版の仕組みを作り上げるのはコスト面からも困難なので、アクセスがパッケージとして提供すれば、採用される可能性が高いそうです。
その後議案の上程を行い、質疑応答となりました。アクセスの株主総会では毎年多くの質問があるようで、多くの方から質問を受けるため質問は1人2件まで、簡潔にまとめて質問して欲しい、他の株主の質問と重複する質問は避けて欲しいとお願いがありました。確かに質問者は多かったので、ある程度の制限もやむを得ないかなと感じました。
質問をしたい人は手を挙げて、議長の指名を受けると会場係の人がマイクを持ってきてくれる形式です。
質問内容はある程度想定しているのか、スライドを用いての回答も目立ちました。あるいは事業説明会用に用意したスライドなのかもしれませんが、言葉だけではなくてスライドを使いながらの回答は分かりやすいと感じました。他社ではあまり例のない取り組みですが、分かりやすくてとてもいいですね。
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質疑応答 質問の数字は前が質問番号、後ろが質問者番号を表しています
(1-1)30億円も評価損が出ている。内容について説明してほしい。今後も出るのか一時的なものなのか?評価損を計上したということは、将来評価益を計上する可能性もあるのか?
→(スライド使用)ALP(アクセス・リナックス・プラットフォーム アクセスの将来を担うと期待されていた)をやめたことによる特損が11億円、これは特別退職金など一時的なものです。ELSEプロジェクト中止に伴う分が9億円、コスト削減のためオフィスを幕張に統合した際の一時的な費用を合わせて25億円くらいになる。すべて一時的な要因で、今後はコストダウン効果が出てくる。今期28期は国内で人員削減を行うので、9億円ほどの特損を見込んでいるが、この分は先日発表した今期の計画に織り込んでいる。
→(室伏伸哉最高財務責任者CFO)質問のあった子会社評価損30億円の内訳は、アクセスチャイナが12億円、アクセスシステムズヨーロッパが18億円の評価損を計上した。どちらもALPの開発を行っていた。開発中止になり評価損を計上することになったが、純資産額まで評価を落としたので、評価損はもう発生しない。会計基準には評価益を計上する規定はないので評価益は発生しないが、売却した際に簿価以上で売却できれば売却益が発生する可能性はある。
(2-1)前期は売上が減っているのに営業増益となったのはなぜか?
→27期はALPの継続を見込んでいたが、これがなくなり売上げが大きく減った。一方スマートフォン向けの特許ライセンスは見込んでいなかったが、この部分は上乗せになった。特許ライセンス収入はコストがゼロなので利益率が高く営業増益となった。
(3-2)メディア事業(出版部門)はずっと赤字だ。聖域なく改革を進めているというのにメディア事業はそのままというのはおかしい。専業の出版社でも苦戦しているのにメディア部門が本当に必要なのか?
→出版事業はアクセスパブリッシングという子会社で行っていたが、採算が合わないので清算した。必要な事業だけを本体に取り込んだ。サービス・イネーブラを実現するためにはメディア事業が必要になる。もちろん赤字では意味がないので、メディア部門も黒字化を目指す。
(4-2)スマートフォンへの対応が1〜2年遅いのが株価にも現れているのではないか?
→2005年にパームを買収してALPを開発した。スマートフォンも視野に入れていて、この戦略は正しかったが、グーグルが無料のアンドロイドを出してきたのは誤算だった。ALPを引きずり続けたのは判断ミスかもしれない。ALP開発で蓄積した資産も生かして、3つの柱を強化していく。経営責任を重く受け止めて、役員報酬の削減も行ったが、再成長路線に乗せるのが最大の責任だと考えている。
(5-3)取締役を2名減らすが、他の6人は変わらない。今のままの体制で再成長できるのか?社外役員も機能しているのか?
→取締役と執行役員の役割を明確にする。今回取締役を退任する2名も執行役員として各事業部の事業執行に責任を持ってもらう。取締役は社内と社外3名ずつの合計6名で、大きな方向性を示したり、各事業の執行状況をチェックする役割になる。今期も同じメンバーで再成長に向けて取り組ませていただきたい。
(6-4)サービス・イネーブラは、日本よりマーケットの大きいアメリカで展開する必要があるのではないか?
→(スライド使用)サービス・イネーブラは端末だけではなくてシステムとしてサービスを提供するビジネスモデルで、レベニューシェアや広告配信などで課金していく。日本だけでなくアメリカでも同じタイミングで展開している。アメリカではアルフレッドミュージックパブリッシャー社と組んで、楽譜を電子化して配信するアプリを開発している。サービス・イネーブラ事業はグローバルに展開していく。
日本には中小の出版社が3千社以上あり、電子出版のシステムを個々に作るのは難しいので、当社のシステムを売り込んでいく。
(7-4)事業をグローバルに展開していくには外国人の取締役も必要ではないか?
→日本人にこだわっているわけではない。今後は優秀な人をボードメンバーに迎えていきたい。アクセスグループ全体では、日本人と外国人社員の割合は1:1ちかくになっている。部課長クラスには外国人も多いので、そのうちボードメンバーも出てくると思う。
(8-5)法人税等調整額が多額で、単体決算では赤字になっている。なぜこんなに多いのか?
→(室伏)税効果会計と言われているものの影響で、会社の利益を出すための企業会計基準と、法人税額を計算するための税務会計基準の間で、費用の認識が一部異なるため法人税等調整額が発生する。先ほど説明した関係会社評価損30億円は、会計上は今期の費用として計上されるが、税務上は会社を清算した時に費用計上が認められる。このため前期は法人税等調整額が多額になった。ヨーロッパの子会社は今期中に清算予定なので、今期利益が出ればこの分は税金が減る。
アクセスは2005年11月にアメリカのPalmパーム社(PalmOSの開発会社)を324百万ドル(当時の為替レートで381億円)かけて買収し、ALPの開発に力を入れてきました。それがグーグルの無償ソフト(オープンソースソフトウェア)アンドロイド投入で大幅に計画が狂い、開発を中止することになりました。そのため前期には大きな特損を計上していますし、今期の売上が大きく減る要因にもなっています。
このようにアクセスはいま大きな変革の時期を迎えているので、株主からの質問もたくさん出ていました。続きはACCESS(4813)2011年株主総会レポート〜その2でお楽しみください。
ACCESS(4813)2011年株主総会レポート〜その2
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