
ネット上には対応が悪いという書き込みが溢れている、だからみんながそう感じている!社長は実態を知っているのか?という指摘です。
消費者向けのサービスを展開している会社の株主総会に参加すると、同じようなクレームを社長にぶつけている株主をよく見かけます。なのでお客様相談室の対応という問題は、マクドナルドだけの問題ではなく、各社が頭を痛めている問題なのだと思います。
お客様サービス室の対応が日本で一番劣悪だという指摘がネットに溢れているのを社長は知っているのか?という発言ですが、上場企業の社長が自社についての良くない書き込み(ネガティブ情報)をチェックしていないということは、あり得ないと思います。もしまったくチェックしていないとしたら、経営者として怠慢ですね。書き込みの中には同業者からの嫌がらせなどもあるでしょうし、営業妨害を意図して書き込んでいるようなケースもあります。
さらには、わざと特定の会社についてのネガティブ情報をネット上のあちこちに書き込み、SEO対策を行って、その会社名で検索すると上位にネガティブ情報が並ぶように細工したうえでその会社に連絡し、ネガティブ情報がたくさん表示されていてお困りでしょう、我が社なら上位表示されないようできますよ!と接触してくる業者もあるようです。自分でネガティブ情報を書き込んでいるんですから対策も何も簡単ですよね

こうやって企業からお金をかすめ取っていくんですから、ネット社会を生き抜くのも大変です。
先日もツイッター上で、イオンファンタジーの取締役を名乗る人物が、ソフトバンクの孫正義社長による100億円の寄付について、「孫氏の100億円寄付と報酬全額寄付、同じ経営者としてちょっと失望。災害は大変悲しいできことですが、それとビジネスは別物」などとツイートして、イオンファンタジーに苦情が殺到するという問題がありました。どうやらイオンファンタジーの取締役になりすました書き込みだったようですが。
これに対し孫正義社長は「投資家失格でも構わない。」とリツイートで応じたそうで、さすが大人な対応ですね。
このようにネット上には自社に不利益をもたらす情報も存在しているので、それを放置したり無視していると、より大きな問題に発展してしまう恐れもあります。ですから、こうしたネガティブ情報には会社側も常に注意を払っていると思います。
今回はマクドナルドの株主総会でのやり取りを例にしながら、クレーム情報がネット上に蔓延していく仕組みや、バイアスの問題について考えてみたいと思います。こういった話はよくあることだと思います。
2011年3月29日(火)に開催された日本マクドナルドホールディングス(2702)の第40回定時株主総会での、お客様サービス室についてのやり取りの一部。
質問は簡潔にお願いしますと、質疑応答の冒頭に案内がありました。
(株主)本題に入る前にまず社長にお聞きしたい。お客様サービス室の評判が、ネット上や噂レベルですが、日本で一番劣悪だ

沈黙が続く...
(株主)まずそれを聞いてから本題に入りたい。
(原田社長)株主様、簡潔に1つだけに絞って発言をお願いします。
(株主)じゃあ続きを言わせてもらうが、商品を買った時に飲み物の蓋がしっかり閉まっていなくて、家まで持って帰ったら中がビシャビシャになっていることが3回ほどあった。3回ともお店にクレームを言ったが、お店の対応は非常に良くて、頼んでもいないのに今買った商品すべてを家まで届けてくれるような対応をしてくれた。ただ、飲み物の蓋がちゃんと閉められていないというのが問題なので、蓋をちゃんと閉めるようにマニュアルを変える必要があるので、本部レベルできちんと対応してほしい、とお客様相談室に電話した。その時の対応が物凄く悪くてびっくりした。噂では聞いていたが自分で体験するとなるほどなという感じだ。まずメールで最初質問した。すると回答は
「あなたの持ち方が悪いのです。ちゃんと持ってください」という回答だったので、とんでもない!と感じ、お客様サービス室に電話した。
(株主)「このメールを送ったのは誰か?」と聞いたら、
(担当者)「分かりました。その話預かります。」とのことだったで、
(株主)「それでは担当者から電話するようお伝えください」と電話を切った。
しかし待てど暮らせど3日経っても電話がないので、再度電話した。
(株主)「担当者からの電話を待っているんですけど」と言ったら (3日も電話がなくて待ちきれずに電話しているのにそんなに冷静に電話できたんでしょうか?最初からケンカ腰だったのでは?)
(担当者)「担当者が必ず電話すると言いましたか?」と逆に聞かれたので、
(株主)「お伝えするとは聞いていますが」と答えたら
(担当者)「じゃあ、そうゆうことです」とだけ言いました。なんだその態度は!ということで、
(株主)「あなたじゃ埒が明かないから、上席のものを出してください」と話したら
(担当者)「代わる必要はありません」と言われたので
(株主)「あなたは一体なんという名前の方なんですか?」と聞いたら
(担当者)「最初に申しあげました。2度も言う必要はありません」と言われました。
(株主)「いや聞きのがしたので、もう一度お教え願えませんか?」とお願いしたら
(担当者)「言う必要はありません」(がしゃん!)と電話を切られた。
すぐに電話をかけ直したが、ずっと呼び出し中で今度は出てもらえない。
別の携帯電話で掛けたらすぐに電話を取ってもらえた。
その時に「○○です」(株主総会で実名暴露どうやらそれが目的の一つだったようです)と名乗られたんですが、僕がかけた電話には居留守を使って出ない、こんな状況なんですね。
こういった僕に対する対応は、お客様サービス室の中でぜんぶ情報が共有されているようで、誰が出ても同じような対応をされる。おそらく上席の人には話が伝わっていないんだろうなと思う。要するに業務委託か派遣のレベルで、好き〜なようにお客様に対して回答を、うっぷん晴らしというかストレス解消みたいな感じで、楽しんでいるような印象でした。
ちなみにこの担当者○○という者だったんですが、このような対応がまかり通っている、ネットで調べると相当数出てくる。どこがお客様サービス室なんだ!非常に憤っております!
さらに(株主)「お宅の株主なんですが!」と言ったら
(担当者)「ああそうですか。それがどうかしましたか?」と言われた。
これを改善していただきたいなと思います。(何人か拍手)
5分以上に渡る演説でした。
→(原田社長)ご指摘の点は良くわかりました。まずお客様に大変不快な思いをさせてしまったことをお詫びします。顧客からのクレームについて、考え方を述べさせていただく。日本で年間15億人のお客様にご利用いただいている。その15億人のお客様から百点満点をもらうのが究極のゴールです。しかし中には間違いも起こる。17万人のクルーがやっている仕事なので当然ミスもあるだろうし、対応についてもさらなる教育の必要性があると十分認識している。
どのような対応をしているかというと、顧客満足度という指標を全店舗で毎日取っている。これはいろんなチェック項目があって、ミステリーショッパーというお客様に成りすまして店舗で顧客体験をするというシステムがあり、このスコアがすべて上がってくる。その数値は店舗ごとにも時間帯ごとにも毎年改善されてきている。ただ100点ではないという課題は当然ある。お客様のクレームがその表れだと強く認識している。
コールセンターについて事実を申し上げると、お客様からクレームが入りますが、そのクレームをお客様の満足・納得に変えていくのがコールセンターの使命です。そのお客様の納得を得られるのをリカバリー率と呼んでいます。日本マクドナルドのリカバリー率は95%以上だと認識していて、色んなコールセンターの中でもトップクラスだと認識している。ちなみにわが社ではコールセンターをアウトソーシングはしていない。やはり社員でなければ、インソースでなければ、会社を代表する気持ちで物は言えないと思う。ただ100点は取れていないという点ではお詫び申し上げたい。ちなみに売上情報は経営者にも当然毎日上がってくるが、顧客のクレーム情報も毎日上がってくる。どんなクレームが何件という情報のみならず、今のようなお客様の声も文章で上がってくる。私は社員に対しては、売上情報は昨日の結果である。顧客クレームというのは明日の機会点?である、と繰り返し伝えている。結果として今のようなクレームが発生していることについてはお詫び申し上げるが、今後とも鋭意努力していきたいとお約束させていただきます。ご指摘どうもありがとうございました。(会場から大きな拍手)
まずネット上にお客様サービス室の対応が最悪だという情報が溢れているという部分について考えてみます。これはよく指摘される点でもあります。
マックのお店には年間15億人の来客があるそうですが、その中にはサービスに満足する人、不満を感じる人など様々だと思います。ではネット上に書き込むのはどんな場合か?というと圧倒的に不満を感じた場合だと思います。
お金を払ってサービスを受けているわけですから、満足して当たり前と考えている人が大半だと思います。なので満足するのが当たり前であり、マックのサービスに満足したからと言ってわざわざ満足した〜とブログなどに書き込む人は少ないと思います。ものすごく満足したら書き込むかもしれませんが

一方で不満を感じたら、もう2度とそんな店は利用しない!そんな店のことは考えたくもない!という人と、誰かに不満をぶちまけないと気が済まない!という人に分かれます。不満というものは伝えれば伝えるほど怒りが湧きあがるケースもあり、ブログや掲示板などに不満や理不尽な内容を書き込んでいるうちにさらに怒りが沸騰するような場合もあり得ます。1ヵ所に書き込むだけでは不満を解消できず、あちこちに書き込んでいるうちに、自分の主張が間違っているのではないか?クレーマーなんじゃないかと心の中では不安にもなってきます。場合によっては、ネット上でクレーマー呼ばわりされることもあるかもしれません。
なので今度は同じような不満を持っている人を探し始めます。ネット上で検索すれば簡単に見つかるので「マクドナルド クレーム」などで検索します。すると同じように不満をぶちまけているページが見つかるので、やっぱり自分だけじゃなかったんだ

私も同じように感じていました!マクドナルドの対応は最低ですよね!みんなで糾弾しなければいけない

このようにサービスに不満を感じて、ネット上に不満をぶちまけるような人が数十人いれば、そのうちにネット上にはネガティブ情報が溢れかえり、「マックのお客様サービス室の対応は劣悪だ」と表現したくなるような状況になっていきます。
そういった情報を会社側が消すことは無理なので、ネガティブ情報は増殖する一方です。
このようにネガティブ情報が広がっていく背景を考えると、ネット上にお客様サービス室の対応が最悪だという情報が溢れている


そして上記の株主とお客様サービス室担当者の会話内容を見ると、担当者がこんな発言をするか

怒りに震えながら電話をかけている方が丁寧な言葉遣いで、さらに担当者から理不尽と思われるような言葉を投げつけられているのに、一貫して丁寧な対応を続けているというのは不自然に感じてしまいます。この株主の方は非常に人間ができた人で、どんな理不尽な言葉を投げつけられても冷静な対応ができる人なのかもしれませんが、ちょっと不自然に感じてしまいますね。
自分の発言はおとなし目に、担当者の発言は過激になるようなバイアスがかかっているのではないかと感じます。わざわざ会社を休んでまでして、不満をぶちまけるためにマックの株主総会に来たんですから、そりゃあ怒りに震えているでしょうし、かなりバイアスがかかっているのが普通だと思います。なので上記の発言はかなり割引いて考えないといけないのではないか?と感じます。
自分でも「僕に対する対応は、お客様サービス室の中でぜんぶ情報が共有されているようで、誰が出ても同じような対応をされる」と言っていることから、何度もお客様サービス室に電話していることが分かります。1度嫌な思いをしたらその会社のサービスは利用しない人が多いんじゃないかと思いますが、いろんな人がいるんですね。
どちらの言い分が正しいのかは、結局は当事者でなければ分からない問題ですが、ネット上に悪い噂が広がっている!という話には十分注意した方がいいと考えています。
一方、会社側の回答にもおかしいと感じる部分があります。
それは「日本マクドナルドのリカバリー率は95%以上だと認識していて、色んなコールセンターの中でもトップクラスだと認識している」という部分です。
リカバリー率というのは、不満を感じて電話してきた人が、電話でやり取りするうちに不満を解消して納得したり、満足を感じたりした割合だそうです。
まず疑問に感じるのは、誰がリカバリーできたと判断しているのか?という部分です。担当者が個々に判断しているのなら、どこまで正確なデータなのか心もとなく感じます。電話をしてきた人から「対応に満足しました」とか「納得できました」と言ってもらえたら、リカバリーできたとするなら信頼性も高まりますが、それを担当者がチェックするだけならやはり正確性に疑問を感じます。通話内容をチェックして専任の担当者がリカバリーできたか判断するくらいはやらないと、客観的なデータとは言えないと思います。
このようにリカバリー率自体の信頼性がよく分からないのに、他社と比べてトップクラスと自信満々に言われても、他社とはデータの取り方、リカバリーの判断基準も異なっているかもしれないので、あまり意味がないように感じます。業界標準として明確なリカバリーの基準や判断方法が統一されているなら、そう言ってもいいのかもしれませんが。
いつも感じるのは、電話を受けているお客様相談室の担当者のことなんか少しも考えていないんだろうな〜ということです。毎日のように不満を持つお客様からの電話を受けている担当者のストレスは大変なものだと思います。非難するのは簡単ですが、では実際に自分なら100%満足な対応ができるのか

自分ならできる!というのなら、自らお客様サービス室に入って手本を見せて欲しいものですね

クレームをぶつけるのと受け止めるのでは、雲泥の差なんじゃないかと思います。私にはできませんね。
報われることの少ない仕事に従事している人は本当に大変だと思います。不満を満足に変えるのが当たり前、不満を解消できないとネット上に名前まで晒されて、あることないこと含めて集中攻撃されるんですからたまりませんよね。それを一方的に聞かされるのもたまりません。
相手の立場を思いやれば、こうした話も減ってくると思います。
ヤフーの掲示板を見ると、発言した本人を名乗る方のブログ記事が出ていて、その中で本人が実際のお客様サービス室とのやり取りを記事にしています。興味があればご覧ください。

日本マクドナルドお客様サービス室からのメールでの回答は、私はそんな問題のある内容には感じません。今後の参考とさせて頂くとか、ペーパートレイの使用で対応するなどと回答しています。
要するに「こぼれたのはおまえの不安定な持ち方が原因で、うちは悪くない」という要約はちょっと飛躍しすぎではないかと感じます。同じ文章を見ても感じ方は人それぞれですし、その時の感情によっても感じ方は変わってくるので、一概には言えませんが。
株主総会当日の感想は下記の記事のようです。

ネット上なので、本当に発言した本人なのかどうかは、当人にしか分かりません。冒頭のイオンファンタジーの例を出すまでもなく、ネット上では本人を騙ることなんか簡単ですので。
2011年度の日本マクドナルドの株主総会の全貌は、質疑応答も含めて下記の株主総会レポートに詳しくまとめていますので、ぜひご覧くださいね。
日本マクドナルドホールディングス(2702)2011年株主総会レポート
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異論反論はあるかと思いますが、マクドナルドの窓口の応対の悪さは、すごいですよ。
よくできたオペレータも少しぐらいいるかもしれませんが、99%はひどい応対です。
言い訳や反論はしてもお詫びの言葉はない、偉そう、上から目線で話をする、そんなオペレータばっかりです。
悪口のほうがネットに出回りやすい、うわさになりやすいというのは事実でしょうが、不愉快な応対、お客様を怒らせる応対を学びたければマクドナルドに問い合わせるのが近道と言えるぐらいです。
コールセンターの対応が非常に悪く、コールセンターでは無理だと思い、本社に電話したら、折り返しするとのことでしたが、まてどくらせど連絡なし。また電話したらそんな記録はないし、私が聞いた名まえの人も電話受付のその時間にいないといわれました。ひどい会社です。
プロカメラマンです。