2011年03月02日

サムティ(3244)の新株予約権ノーリスク・ハイリターン

株式投資の疑問を追及するシリーズ第二弾です!
株式投資を行っていると、おかしいよな〜と感じることが時々ありますが、今回は最近目立つ不透明な増資について考えてみたいと思います。
例に取り上げるのは、不動産会社サムティ(3244)が2010年7月1日に、マイルストーン・キャピタル・マネジメント株式会社に割り当てた新株予約権を使った増資です。
マイルストーン・キャピタル・マネジメントは財務内容が悪化し、資本が喉から手が出るほど欲しい会社を狙って、仲介会社?とタッグを組んで自社に有利な増資を働きかけているようです。
リーマンショックで業績と銀行借り入れが厳しくなって以降、同じような増資があちらこちらの会社で目立っています。以前のMSCBよりはマシですが、それでもほとんどノーリスクで短期間にハイリターンが見込めるような増資は、問題があると思います。さらには会社側も資金を手に入れるために(新株予約権を行使してもらうために)、行使資金を事前に用意するために貸し株を提供したり、業績の上方修正を発表したりして、新株予約権を行使しやすい環境の整備に努めているように見えてしまいます。
一時的には株価も上がり良いことのように見えますが、売り逃げた後はまた出来高も細り、高値で掴まされた個人株主が泣きを見るという結果になるかもしれません。
(注記)MSCBについて
以前多用されて問題になったMSCBは転換価格が見直される新株予約権で、割当後に空売りをかけて株価を下げることで、転換価格が下がり発行株数も膨大な株数になって、ファンド側の儲けも巨額になる商品設計になっていました。ファンドが売り逃げた後には、膨大な発行済み株式数と低迷する株価だけが残されて、一般の株主に多大な被害を与えました。今では証券取引所などで規制がかかり、このようなスキームを実施するのは非常に困難になっています。

マイルストーン・キャピタルが過去に手掛けた銘柄についても、その後の推移を少しずつまとめてみたいと思っています。ヤフーのサムティ掲示板で非難の嵐に見舞われていますのであせあせ(飛び散る汗)
 次項有 マイルストーンが手掛けた銘柄とその後の株価推移
以前から同じようなスキームで、ノーリスク・ハイリターンを享受しているんですねexclamation×2

マイルストーンなどが提案している新株予約権は、転換価格は下がらない設計になっているので、当初の見込み以上に発行株式数が増えることはありません。そして転換価格が下がらないことから、既存の株主にも迷惑をかけない設計になっているるんるんと一様に強調しています。
しかしこの新たなスキームは、株価が上がれば青天井で利益が膨らむ構造になっています。理論上はMSCBよりも巨額の儲けをファンド側にもたらすことも可能です。一方で株価が上がらなければ新株予約権を行使してもらえないので、会社側とファンド側の思惑が完全に一致する商品設計になっています。まあそれがファンド側の狙いなんでしょうけどね。
そのため会社側もなんとか株価を上げようと必死になってくれます。ファンド側からすると狙い通りです。
一見株価が上がるので、既存の株主にもメリットがありそうですが、無理やり持ち上げられた株価を高値圏で維持するには無理があるので、ファンド側の売りが終わるとまた元の株価に戻ってしまうのが一般的だと思います。この間に業績が大幅に改善すれば株価が上がる可能性もありますが、注目が集まって人気化し、持ち上げられた株価は、人気が無くなるとともに元に戻るのが通常です。
会社側の業績上方修正などの援護射撃で株価が上がりますが、そこを狙ってファンド側の転換売りが続くので、株価は徐々に軟調になります。するとヤフー掲示板などには、ファンドの売りが終われば重しが取れて青天井で上昇する!などという威勢のいい書き込みが出てきますが、本当にそうなんでしょうか?
威勢のいい書き込みをしているのは、マイルストーン側の人なのかもしれませんけどねあせあせ(飛び散る汗)マイルストーンとしては買い注文がないと新株予約権を捌けませんからね!なにもマイルストーンを儲けさせるために高い買い注文を入れる必要もないと思いますが、個々人の判断なのでこのくらいにします。
それではマイルストーン・キャピタルの売却とサムティの動きについて、順を追って見ていきます。
以下の表の見方について
大量保有報告書のデータを元に作成しています。日々の売却株数は分かりますが、売却単価は分からないので、その日の終値を使用しています。ですから実際にはもっと高く売却しているものと思われます。
売買金額欄は、終値を使って計算した売却金額と、新株予約権を行使して取得した購入金額を表示しています。マイナスの数字はマイルストーン側の支払いを表しています。売買金額の単位は万円です。累計欄はその売買の累計金額です。最後の出来高欄はその日のサムティの出来高で、割合はマイルストーンの売りがその日の出来高に占める割合を表しています。
サムティ新株予約権
まずは5月13日に、サムティの筆頭株主である森山茂社長から、マイルストーン側に1,000株持ち株を貸し出しています。この株を売ればマイルストーンの証券口座に現金が入ってくるので、自己資金を用意しなくてもサムティ側への新株予約権の払い込みが可能になります。
新株予約権の割当は7月1日で、364万円の支払いが必要ですが、その前に借りた株を売却して200万円近くの資金を作っているので、実質的には170万円ほど自己資金があれば、32,500株ものサムティ株を買う権利を取得することができたことになります。もっと言えば、2,900万円分ほどサムティの森山社長が資金を貸してくれているので(貸し株の千株を時価評価すると2,900万円になる)自己資金ゼロでも引き受けは可能ということになります。
サムティのプレスリリースでは、マイルストーンには引き受けるだけの十分な資金を持っていることを確認したと書いてありますが、3千万円近くも森山社長が貸してるんですから資金的には問題ないに決まっています。この一文はジョークみたいですねわーい(嬉しい顔)
今回のスキームを設計・提案した会社には5千万円近くが支払われています。たぶんマイルストーンのお仲間が提案していると思うので、このフィーだけでも十分な資金になります。マイルストーンを紹介した株式会社オプティマム・キャピタル・アドバイザリーなる会社についてはまったく情報がありません。あまり表に出したくないんでしょうね。さてそんな感じで新株予約権を引き受けましたが、わずか7日後にはサムティから業績の上方修正が発表されていますexclamation×2
いくらなんでも早すぎませんか?がく〜(落胆した顔)7月1日から9月6日までの売買状況は明らかにされていないのでわかりませんが、この間に395株を売却しています。2.9万円以上で売却していると思うので、十分儲かっていますよね。予想外だったのは思ったほど株価が反応しなかったことでしょうか(笑)
9月から12月中頃まではそんなに売買・株価とも盛り上がらなかったので、小刻みな売却にとどまっています。それでも売却が進み手元資金に余裕ができたのか、11月15日には借株を森山社長に返却しています。不思議なのはわずか20日後にはまた千株借りていることです。株を借りてからは売却ペースが上がっていますね。


サムティ新株予約権
12月21日には、千株では足りないexclamation×2ということなのか、さらに2千株森山社長から借りています。
借株数を増やして大量の売却に備えるとは、今後株価が上昇することを事前に知っていたのでしょうかexclamation&questionなどと勘ぐりたくもなりますね。
儲ける準備は万端だ!というかのように、1月からは株価・売却株数とも大幅に増加しています。1月5日には1,114株も売却しています。
そして1月11日に、お待ちかねの2回目の業績上方修正が発表されました。
翌日からは売りまくりという感じですね。それでも株価は上がっていくんですから、マイルストーンにとってはこんなに美味しい話はありませんね。業績上方修正に飛びつき買った人たちは、マイルストーンを儲けさせるために買っているようなものです。
1月24日には手元の売り玉がとても足りないexclamation×2ということなのか、さらに森山社長から2千株借りています。合計5千株になり、高値を付けている間に売りまくるぞーという意気込みが伝わってきます。連日30〜50%はマイルストーンの売りという感じが続きます。マイルは儲かるし、サムティとしても株式への転換が進んで資本が調達できるので、こんなに美味しい話はありません。とはいえ最後には誰かがババを掴まされるわけで、祭りに参加するのは危険ですよね。
株価は株を借りた翌日の1月25日(水)に53,700円の高値を付けますが、なぜかこの日は売却していないようです。手持ちの売り玉も十分にあり、株価も高値を更新しているのになぜ売らなかったんでしょうか?もっと上がりそうだ!と考えたのでしょうか(笑)
翌日からは気を取り直して売り攻勢スタートです。さすがに株価も軟調になってきます。それでも4.6万円前後なんですから大儲けですね。この頃には儲けが1億円を突破しています。
サムティ新株予約権
2月に入っても売却は続き、株価も4万円前後に落ちてきます。2月14日にはなぜか立会外取引で27株売却しています。中途半端な株数ですし、なぜ市場外で売却したのか謎ですね。
2月下旬には4万円を割ってきますが、それでも1.2万円/株ほどは儲かるので、売却は続きます。現時点での最終報告である2月24日時点では、11,000株分の新株予約権と手元に5,348株が残っています。うち森山社長から借りているのが5千株あるため、マイルストーンが売却できるのは11,000株+348株になります。
この残り株数を3月1日前後の株価で売却すると上記表の通りの売却金額となり、合計で6億円以上の儲けとなります。8か月ほどでほぼノーリスクで6億円以上も儲かるんですから美味しい話ですよね。マイルストーンが取ったリスクは、新株予約権のコスト364万円だけです。
最大リスクが364万円で、儲けは無限大るんるんというスキームが本当にフェアな資金調達方法なのでしょうか?私は非常に疑問に感じてしまいます。会社側も協力して業績の上方修正などを積極的に行い、森山社長は自分の持ち株まで気前よく貸し出して、マイルストーンが儲かるように手伝っています。株価が上がって新株予約権の行使が進むことが、両社にとってメリットになるので当たり前ですが、その他の株主や投資家の犠牲の上に成り立っているスキームのように感じてしまいます。6億円以上もほぼノーリスクで儲けられる美味しいスキームなのは、誰が見ても分かると思いますし、売るための株まで貸してもらえるんですから、手元資金がゼロでも引き受けることができます。
社長から借りた株のうち、6月中に126株を2.9万円で売却すれば365万円になりますから、364万円の払い込みは自己資金ゼロでも可能です。自己資金ゼロで6億円以上も儲かるんですから、このスキームがどうしても必要だというなら、私も喜んで引き受けさせていただきたいですよね。
投資の世界でノーリスク・ハイリターンというのは詐欺というのが定説です。しかし新株予約権を使えば、今でも濡れ手に粟なことが合法的にできてしまうんですね。映画ウォールストリートで、強欲は今では合法になったというセリフがありますが、まさにその通りですね。
マイルストーンはサムティ以外でも多くの会社で同じようなことをしていますし、きっともっと多くの会社に同じようなスキームを持ち込んでいると思います。大抵の会社は断っているのだと信じたいですが、なかには目先の金欲しさに飛びついてくる会社もあります。まさに強欲は今では合法を地でいっている感じです。
上場している会社の経営陣は、もっと真面目に常識的な判断をして、このような不透明な増資スキームに安易に乗らないようお願いしたいものです。


サムティ新株予約権
さて今後の株価はどのように推移するのでしょうか?傾向としてはだらだらと下げ基調が続いています。
ヤフー掲示板を見るとこの後に及んでも強気の書き込みが目立ちますね!
もうすぐマイルの売りが終わるので、その後は急騰だっexclamation×2的な書き込みが多いですね。確かにマイルの売り圧力はなくなりますが、一方で5万円超えまでの上昇の過程でマイルの売り玉を買った株主がたくさんいます。長期の腰の入った買い方なら問題ないのかもしれませんが、勢いよく上がっているし、業績もいいので買ってみようというくらいの目先筋の買いだと、今後の株価推移は不透明になってきます。現状は含み損となっており、マイルの売りさえ終わればまた元に戻る!もう少しの辛抱だという心境なんでしょうか。強気の書き込みをしているのはマイルストーンの関係者かもしれませんし、ヤフー掲示板の書き込みに踊らされるのは、売りたくてたまらないマイルストーンを儲けさせるだけかもしれません。
サムティ(3244)価格帯別出来高
価格帯別出来高を見ても37,000円前後の出来高が多いので、ここを突破していくためにはかなりの出来高が必要になってきます。その上にもマイルストーンの売りが残した売買高のピークが横たわっています
一方現在の株価36,500円以下の出来高はスカスカなので、下げた時に抵抗帯となる節目もほとんどありません。サムティは株主優待人気銘柄という側面もありますが、その優待の権利も次は11月末なので、あわてて買う必要もありませんよね(笑)5月末にも株主優待があれば、少しは株価の支えになったかもしれません。
マイルストーンが手掛けた他の銘柄について、その後どのような値動きをしたのか調べてみる必要があると思います。大事なお金を投資するわけですから、最低限の調査は必要だと思います。
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posted by Zaimax at 23:03 | Comment(4) | TrackBack(0) | 投資で疑問に感じること | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして。
Yahoo掲示板から来ました。

こんなに勉強になることを教えていただきありがとう御座います。
サムティに関してはしばらく様子をみようと思います。

これから時々ブログを拝見させていただきます。
よろしくお願いします。
Posted by ケスイケ at 2011年03月05日 10:50
ケスイケさん、コメントいただきありがとうございます。
Yahoo掲示板では非難の嵐だったので、評価いただき感謝しています。

株価の先行きは誰にも分かりませんが、この記事が何か考えるきっかけになればいいなと思っています。
投資でも人生でも、人の意見を参考にするのも時には必要になると思いますが、その意見をもとにして自分なりに調べてみたり、考えることが大事だと思っています。
これからもブログをよろしくお願いしますね。
Posted by Zaimax at 2011年03月08日 01:28
非常にためになる記事ありがとうございます

一度損切りし、買い戻しのタイミングを待っていましたが目が覚めました

某掲示板の書き込みどおり、いずれ株価は上がるかもしれませんが
あえてここに拘るほどの魅力も無いですし、こんなところには見切りをつけて
新たな銘柄を探すことにします
Posted by まさ at 2011年03月09日 14:57
まささん、書き込みありがとうございます。

こんなアンフェアなスキームをあちこちに売り歩いている、マイルストーン・キャピタル・マネジメントには非常に疑問を感じていますが、サムティ自体に問題があるとは思っていません。
こんな提案に乗ってしまったのは判断ミスではないかとは感じますが。
9月には大阪ガスの投資子会社向けに第三者割当増資も行っていますし、こんな不透明でアンフェアな新株約権を使わなくてもよかったのでないかとは感じます。

こういった指摘が出てくることで、マイル側も汚名返上!とばかりに儲けた利益の一部を還元して、派手に買い上げてくれるかもしれません。
たぶん今サムティを売買している投資家の中で、一番資金力のあるのはマイルだと思いますので(笑)

不動産関連会社の業績は改善傾向なので、全体が上がればサムティも水準訂正で買われて徐々に上がっていくのではないか?と感じますが、株価の先行きはまったく分かりません^_^;
Posted by Zaimax at 2011年03月09日 21:13
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