サッポロホールディングス(2501)2010年株主総会レポート〜その3 では、緊迫した決議

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質疑応答は12時を目安にしていたようで、まだ手を挙げている人はいましたが、会社側動員の株主の盛大な拍手と「了解


さて、無事に質疑応答も乗り切りいよいよ注目の議案採決です。

議案の採決方法については質問も出ていましたが、まずは議長から進め方について説明がありました。
まずは、第1号議案、第3号議案、第4号議案を採決し、その後に対立している取締役選任議案である第2号議案、第5号議案を採決します。最初に第5号議案のうち第2号議案と重複していない候補者番号1から6(内藤由治氏、中田康雄氏、相原宏徳氏、藤井俊一氏、原史郎氏、ジョシュア・シェクター氏)について個別に採決を行い、その後に第2号議案を一括して採決します、との説明があり、この進め方で良いか株主への承認を求めました。もちろん一部の盛大な拍手で承認されました。
続いて議長から、現時点で建物内にいる株主の議決権個数をもって、採決に際しての本日の株主総会出席株主の議決権個数を確定させるとの宣言がありました。
途中で帰った人は議決権が認められないということですね。帰った人はどのようにチェックしているのか?という疑問も感じますが、お土産を渡す時に出席票を回収していたので、出席票をスキャンすることでチェックしているんでしょうね。
第1号議案、第3号議案、第4号議案を採決しましたが、社員株主を動員しているのでもちろん盛大な拍手で可決です。
続いて今回の株主総会の最大の目玉である取締役選任議案となりました。
ここで会場から発言を求める声が...波乱の幕開けですね

「議長!議長!」
村上社長「はい。なんでしょうか?株主様ですか?株主じゃないですよね?あ、株主ですか」
スティール側の人が発言を求めたようですが、シェクター氏ではないので、株主ではないと判断したようです。が、その人も株主だったので発言が認められました。

(株主11)採決はどのように行うのか?株主には10までの番号が付いた切り離せるチケットも配られているが、これを投票する形になるのか?
→(事務局と打ち合わせ)投票方法には色々な選択肢がある。安定株主数が高ければ、厳密な方法でなくても決議に影響ないこともある。今回の議案については、前日までの集計結果から拍手での採決で問題ないと考えます。前日までの集計結果で、否決・可決が分かっているということです(またまたお馴染みの盛大な拍手)
具体的な賛否の状況は後日正式に報告するが、今回はこの方式で進めさせて頂く。
この段階で初めて前日までの集計結果で議案の可否が決まっていることが明らかにされました。ただどちらの提案が支持を集めたのかは明らかにせず、第5号議案の採決に移りました。
株主総会終了後にマスコミ向けに開いた会見で、村上社長は「第5号議案には行使された議決権のうち約7割が反対で、第2号議案には約7割が賛成だった」と発表しています。株主総会開始前にすでに安定多数を確保していたということです。それなのに社員株主を大量に動員させて拍手させる必要があるのか?という疑問を感じます。
サッポロ株主総会、スティール提案を否決 続く両者対立 asahi.comの記事
さらに否決されることが決まっていたなら、第2号議案から採決して自動的に第5号議案は否決という採決方法もあったのに、第5号議案から採決し、それも一括採決ではなく1人1人賛否を問うというのは、スティール側の候補者を晒し者にして嫌がらせをしているように感じて、サッポロの企業姿勢としてあまり良い印象は受けませんね。
第5号議案を採決しないとスティール側からクレームを付けられるという点があるのかもしれませんが、採決を見ていてスティール側がかわいそうになりました。
(村上社長)それでは第5号議案の内藤由治氏に賛成の方は拍手をお願いします(ぱらぱらと数人拍手)
ありがとうございました。過半数の賛成を得られなかったので否決となりました(もちろん会場内から割れんばかりの拍手

こんな状況の中一般の株主がスティール側の候補者に拍手をするのはとても勇気が必要です。下手に拍手でもしようものなら社員株主から睨みつけられそうな雰囲気でした。
同じような感じで候補者2から6まで採決が進められました。ますます拍手しにくい雰囲気になっていきます。ジョシュア・シェクター氏が否決された際には、盛大な拍手に加え歓声まで上がっていました

その後第2号議案の採決となり、一括して採決したいとの提案が盛大な拍手で承認され、第2号議案は一括採決となりました。まあ個別にやったところで、盛大な拍手で承認されるだけなので一括でいいんですが、それなら第5号議案も一括でいいのにと思います。
採決の結果はもちろん鳴り止まない盛大な拍手で承認されました。
議長の株主総会閉会の挨拶
これにて株主総会は閉会と致します。本日は長時間のご審議真にありがとうございました。

議長の村上社長

質疑応答の対応など、スティール側にも発言の機会を設けていて、サッポロもしっかりした対応をするな〜と感心していましたが、第5号議案の採決や社員株主からの過剰な拍手を見ていて、サッポロは旧態依然とした会社なんだな〜というイメージに変わってしまいました。社員株主の動員など、昔の株主総会そのままという感じです。
さらに事前に7割の支持を固めていたという事実が明らかになったので、余裕ある対応もそのためだったんだな〜という感じもしてしまいました。本当に賛否が拮抗するような状況だったら、スティール側に発言の機会はあったのか?と疑問に感じました。
サッポロの株主総会で感じた印象を書いてみたいと思います。村上社長は株主総会を通じて、事務局や近くの取締役と相談する場面が目立ち、リーダーシップを発揮するというより調整型の経営者のように感じました。今回の株主総会では特に慎重に運営する必要があるという部分があるのかもしれませんが、私にはそのように感じられました。
平時ならともかくジリ貧のサッポロとしては、抜本的な改革ができる強力なリーダーシップを持ったトップが必要なのではないか?と思います。残念ながら村上社長も、スティールが提案した内藤氏も両者とも今のサッポロには適していないのではないかと思います。この人なら変革してくれる

それ以上に気になったのは、会場前方右側に陣取っていた会社側応援団の方々です。過剰なまでの拍手にはうんざりしました。事前に7割の支持を固めているならあんなに動員しなくてもいいのにと感じます。この点でも旧態依然とした古いサッポロの体質を感じてしまいます。
今回の株主総会に出席して、当面サッポロの業績低迷は続きそうだな〜と感じました。今回の可決を一番喜んでいたのは、実はライバルメーカー3社の方々なのかもしれません

スティールの提案の一部は会社側の対処すべき課題にも挙げられているという指摘もありましたが、課題に挙げることは誰にでも簡単にできます。それを実行して結果を出せるか?が問われていると思います。何年も前から指摘されているのに、いまだに課題に挙げている(対処できていない)ということが最も大きな問題です。多くの株主が納得するような、実行力のある経営陣に一新してほしいですね。
前にも少し触れましたが、事業報告や対処すべき課題の説明では、総需要の伸びを下回ったとか上回ったという表現が目立ちました。こんな表現からも、外部環境はどうしようもないという会社側の姿勢が透けて見える気がします。外部環境を言い訳にせず企業価値を高めていくという決意を持った経営陣が望まれます。
株主に向けたせっかくのプレゼンテーションの機会なんですから、村上社長には自信を持って説明して欲しかったんですが、下を向いて原稿をそのまま読んでいる感じで、サッポロを強い会社にして行こう


スティールの意見表明に対しても、私はサッポロの企業価値を高めてきた、スティールの提案した候補ではサッポロの株主価値を毀損すると批判するだけで、具体的に何を持って企業価値を高めてきたと言えるのか?スティールの提案では具体的にどうサッポロの株主価値を毀損するのか?はまったく分かりませんでした。
村上社長が経営トップを務めている5年間の業績を比較すると下記の通りです(単位は百万円)

社長就任前の2004年度と前期の実績を比較すると、5年間で売上は2割減、営業利益はほぼ半減、不確定要素の影響が大きい純利益はほぼ横ばいという結果です。
株価については何度も触れている通り、同業他社より下回っています。

一体何を持ってサッポロの企業価値を向上させてきたと言っているのか私には理解できません。
シェアが4位に転落し、業績も低迷、株価も低迷しているのに、反省や株主への謝罪の言葉はありませんでした。私は一生懸命やっています、企業価値も向上させていますの一点張りです


現経営陣には、株主に対してもっと具体的な説明が必要だと思います。まあこのような経営陣でも7割の方々が支持しているんですから、株主にも問題があるのかもしれませんね。株主はサッポロ株の売却も購入も自由なんですから、不満を感じるなら売却してしまえばいいんですよね。法人株主やスティールなど大口株主は、簡単には売却できないのでかわいそうだな〜と感じました。その点株数の少ない個人投資家は、自由に売買できて気が楽です

国際会計基準への移行が迫り、持ち合い株に対する規制も厳しくなる中で、今のサッポロの安定株主にも変化が出てくると思います。株価が低迷して損失が出ているようだと、安定株主の株主から保有目的を厳しく問われるケースも出てきます。結果として持ち合い解消となり、さらなる株価低迷、安定株主の減少という流れになる可能性もあります。スティールはまだ経営改善を諦めないようですが、現経営陣が結果を出さない限り、時間の経過とともにスティール側に有利な展開になっていくんじゃないかと思います。出資者がそこまで悠長に待ってくれるかが問題ですが

それにしてもいろいろと勉強になり、役に立ったサッポロの株主総会でした。
株主総会レポートも久々の3部作という超大作になりましたが、最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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株主総会終了後の入り口の様子

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来年は是非、自分の目で確かめてみたいと思います。
株主総会レポートをお褒めいただきありがとうございます。
サッポロの株主総会は話題の総会ですので、ぜひ来年はご自身の目で確かめてみてくださいね!
がんばるペコタローさんの感想などを聞けるのを楽しみにしています♪