2010年03月19日

アトム(7412)会社説明会レポート

2010年3月16日(火)13時から野村證券名古屋支店で開催された、アトム(7412)の会社説明会に参加してきました
アトムは回転寿司やステーキ宮などの飲食店を中部、北関東、東北にかけて展開している会社です。コロワイドに買収されたので、コロワイド傘下の会社になります。地元名古屋のがんこ炎を買収し、昨年には同じくコロワイド傘下のジクトと合併して規模が拡大しています。

2010年3月16日(火)の株価 233円(東証2部 7412)100株単位 3月決算
PER 16.1倍、PBR 8.65倍、配当利回り 無配、株主資本比率 31.7%
株主優待 3月末・9月末時点の株主に株数に応じてお食事券(千円券)を贈呈
   100株以上  2,000円分(2枚)
   500株以上 10,000円分(10枚)
 1,000株以上 20,000円分(20枚)

無配ですが株主優待だけでも年間利回り17.2%exclamation×2となります。手厚くてありがたい反面、本当に持続可能な株主優待制度なの?という意見も根強くあります。

     アトム(7412)のホームページ

     アトム(7412)のヤフー株価情報

アトム(7412)
過去10年の株価推移を見ると、最近5年ほどは一貫して下落傾向です。本業だった回転寿司の競合激化とM&Aによる規模拡大で、生産性が低下して業績悪化を招いているものと思われます。
株価は、業績を立て直していけるのかexclamation&questionにかかっています。

お土産 お食事割引券2枚 千円分 先渡し
アトム(7412)

会社側からの出席者は、植田剛史社長、太田一義取締役管理本部長他1名の計3名です。
植田社長から説明がありました。
アトム(7412)

アトムは元々福井県の寿司店「徳兵衛寿司」が発祥で、回転寿司アトムボーイを北陸から徐々に展開し、中部圏まで広げてきた。植田社長は5年前にアトムに来て経営の立て直しを行ってきた。実家は飲食業を経営していたので、飲食業の労働時間の長さなど労働環境が厳しいことは小さい頃からよく知っている。
そのため、長時間労働をアトムの社員に求めるのではなく、生産性を上げて決まった労働時間でしっかりと給料を払えるような会社にしていきたい。飲食業では暖簾分けで店長が独立する制度もよくあるが、安易に独立しても経営がうまくいくとは限らない。人事制度の見直しや社員独立制度の見直しなども行ってきた。

昨年の3月に東北と北関東をエリアとするジクト(ステーキの宮などを運営)と合併したが、その結果エリアも広がり展開する店舗のバリエーションも広がった。
100円の回転寿司はくら寿司やかっぱ寿司など競合も厳しく、ベルトコンベヤーなどへの設備投資も大きくなる。客数は多く見込めるが、一方で原価率は高く廃棄ロスも発生するので、利益率の低いビジネスになっている。アトムボーイなどの100円寿司は縮小し、他の店舗に改装している。
寿司部門は高級グルメ廻転寿司のにぎりの徳兵衛(客単価1,700円)、海鮮アトム(客単価1,650円)などに絞っている。
一方新たな試みとして、「海へ」という店舗を出している。これはベルトが回るのではなくて、客席へつながっている形式の寿司店で、話に夢中になっていても注文した寿司が流れていってしまうことがない。出店してまだ3ヵ月ほどで、いまは実験中だがお客さんの評判はいい。
レストラン部門は、ジクトの合併で洋食部門が強化された。「ステーキ宮」はブランド力のある店舗なので、中部圏にも展開していきたい。実験的に宮に転換したお店では、売り上げが2〜2.5倍になるなど効果が出ている。来期は岐阜県や愛知県などに6〜8店出していきたい。
焼肉部門はがんこ炎を買収して参入したが、東海地方は焼肉チェーンも多く激戦区になっている。特にあみやき亭が強くて、なかなか勝つことができない。増えすぎたブランドを集約し、あみやき亭との違いも分析して新業態も出していく。
居酒屋部門は元々はない業態だが、コロワイド傘下になって店舗数が増え、現在では売上の26%を占める最大の部門になっている。
その他、カラオケやネットカフェなども展開している。
和食部門については抜本的な立て直しが必要だと考えている。撤退するわけではないが、大きく見直し次のステップへ行く段階だと思う。
ここ数年業績が悪化してしまったのは、人材育成を十分せずに店舗網の拡大を推し進めたためです。まずは人財を育成することに取り組んでいる。

合併したりコロワイド傘下になったことで業態が多角化し、同じ地域に複数の店を出すことができるようになった。毎日同じ店では飽きてしまうが、色んな店が近くにあるのでその日の気分で利用してもらえる。会社としても配送コストが節約できるなどのメリットもある。また状況に応じて業態転換なども可能になり、経営上のリスクを低減できる。

今期の状況は、景気低迷の影響を受けぎょうざの王将や100円寿司など低価格帯の業態が好調です。アトムは高価格帯ではないが、中価格帯の店舗が多いので、もう少し客単価が低い業態をコロワイドと開発していく。さらに、ジクトと合併して1年になるが、合併後の体制を見直し早期に合併効果を出して、業績を改善していきたい。

株主優待制度についても紹介がありました。
株主総会の場でも店舗について厳しいご意見を頂くこともある。食事を提供しているプロとしてお客様の声に耳を傾けるのは当然のことです。店舗を利用した方がファンになり株主になってくれる方もたくさんいる。そういった意味でも株主優待制度を設けているので、優待制度を利用してぜひ店舗を監視して頂きたい。店舗に行ってみたら今日聞いた話と違うぞ!というようなことがあれば、甘んじて受ける覚悟ですので、ぜひ株主になって株主優待制度を利用してください。アトムの株主優待制度が、みなさんの食生活の豊かさやご家族の方との時間の共有などにつながれば嬉しく思います。
アトム(7412)
   力強くアトムの将来展望を語る植田社長 グッド(上向き矢印)

質疑応答
(1)その株主優待だが、手厚いのはとてもありがたいが、(業績や株価からみると)止めてしまうんじゃないかという懸念もある。今後も続けていけるのか?
→現状株主優待制度を変える考えはない。コストも十分計算して株主優待を行っており、現時点では変えるつもりはない。
(2)出来高が少ないが増やす対策は何か考えているのか
→コロワイドの持ち株比率が8割以上と高いのが原因の一つだと思う。なかなか難しい問題だが、業績を上げていくのが一番だと思う。
(3)ずっと無配が続いており、2年前に1円復配したがまた無配に戻ってしまった。50円額面にすると30円弱の株価であり、額面割れはあまりにもお粗末では?
→無配が続いているのは本当に申し訳ない。一昨年は配当できるのではないかということで1円配当を行ったが、業績や財務状況などから昨年はまた無配になってしまった。お客様の必要な店舗を開発し、業績を上げていくのが重要だと考えている。
過去5年間何をしてきたか?というと、M&Aなどで店舗が拡大する中で、整理する必要があるものもたくさんあった。これらの整理をやってきた。今回こうして説明会を開催し、今後の話をさせていただいたのは、今期で整理は終わりだよという私の意思表示です。やみくもに新業態を開発すれば良いわけではないが、何もしなければ何も始まらない。親会社のコロワイドにも改善を求めないと収益の改善は望めないと思う。仕入れの部分に関してはまだまだ構造的に見直していく必要がある。これにより収益を上げていくことは可能です。
オブラートに包んで優しく指摘いただいたが、私としては収益の改善を一番に取り組んでいく。
柱としては業態の転換をスピーディに進めていく、強い業態を作る、経費の分散を防ぐ(競争力のある業態への絞込み)、これらが収益改善のため短期的に取り組む課題と捉えている。


植田社長の説明を聞くのは初めてですが、アトムの現状や今後の展望について力強く語っていて、好印象を感じました。植田社長を見るのは昨年のコロワイドの株主総会に続いて2回目ですが、コロワイドの株主総会ではそれほど印象に残りませんでした。蔵人社長があまりにも個性的ですからねわーい(嬉しい顔)
会社説明会を開くのは個人投資家に投資してもらうためですから、自信満々に明るい将来展望を語るのは当たり前なんですが、アトムに投資しようかな〜と感じてしまいました。株主総会も集中日をずらして開催しているので、この点からも100株だけでも買ってみようと思っていました。今日の話を聞いて千株くらい買ってもいいかな〜るんるんと感じました。
実際翌日には千株買わせていただきました(笑)会社説明会大成功ですねわーい(嬉しい顔)
来期以降着実に業績を回復させ、株価の割に株主優待が貧弱だね〜(笑)と言われるくらい立派な業績と株価を実現して欲しいですね揺れるハート
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posted by Zaimax at 16:24 | Comment(4) | TrackBack(0) | セミナー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
とても参考になりました。

私はアトムボーイが気に入っているので当面買い増ししない事にしました。

「アトムボーイなどの100円寿司は縮小」という方針と
「餃子の王将や100円寿司など低価格帯の業態が好調」という認識
から経営方針が迷走しているように感じてしまいます。

『にぎりの徳兵衛』は数店舗試してガッカリした事しかないので『海へ』に期待です。
Posted by cerveza_infierno at 2010年03月22日 19:01
cerveza_infiernoさん、コメントありがとうございます。

アトムボーイの業態は、くら寿司やかっぱ寿司、スシローなど強力なライバルが多い割に利益率が低いので、アトムの規模なら私も縮小というか撤退した方が良いように感じます。規模の利益を追求しないと儲からない業態だと思います。
アトムの方針としては、今までは中価格帯の業態が多かったので、もう少し低価格帯の業態を開発していくが、それは100円寿司ではないということだと思います。
決して経営方針が迷走しているわけではないと思います。
『にぎりの徳兵衛』は私にはちょっと高いと感じてしまいますし、皿ごとに価格が違うので安心して取れません(笑)
寿司ならくら寿司で十分だと思っています。
回転寿司で中価格帯というのは私には理解しにくいんですが、競合があまりないのかそこそこ繁盛しているようです。
『海へ』はまだ実験中なので行ったことはないですが、説明を聞く限りでは面白そうな業態だと思います。『海へ』なら中価格帯でも成り立つかなと感じます。
私は、アトムのお店では『えちぜん』や『ネットカフェ ウィルビー』などが気に入っています。和食業態は抜本的に見直すそうですが、『えちぜん』は繁盛しているお店もあると思うんですけどねぇ。さらにブラッシュアップして魅力を加え、お店を増やして欲しいな〜と思います。

ジクトとの合併で、ステーキ宮という業態を東海圏でも展開できるようになったので、不採算店の業態転換の幅が広がり、私は成長性が高まったと考えています。
今までは不採算店の整理や業態の立て直しなどのリストラに注力してきましたが、これからは成長路線に戻っていくのではないかと期待しています。そう考えて株主になりました。
これからもよろしくお願いします。
Posted by Zai at 2010年03月22日 22:05
低価格は新業態で目指す…難題ですね。
主力は中価格帯。低価格志向が縮小してくれれば良いですけど『にぎりの徳兵衛』は実際客の入りは良いようですね。

私は『にぎりの徳兵衛』行くならJR高島屋のTARO:KIなど回らないお店に行きたいです。

『海へ』と『宮』に期待してホールドします♪
Posted by cerveza_infierno at 2010年03月23日 12:40
中価格帯だけでは景気変動の影響を大きく受けてしまいます。低価格帯のお店は好況時にも繁盛しますが(私は景気がよくても、お得感があれば低価格帯のお店を利用しますので(笑))、不況時にこそ真価を発揮します。
中価格帯と低価格帯の業態を持っていれば、好不況の波に対する対応力が上がります。ぜひお客様が納得するような低価格帯の業態を確立してほしいですね。

『にぎりの徳兵衛』がはやっている理由はよく分からないんですが、回転寿司なのに目の前で握ってくれるのがいいのかな?
私の場合は根っからの節約家なので(笑)回転寿司で十分だと思っています。気兼ねなく好きな寿司を食べることができ、満足しています。回らないお店に行きたいとは思いませんね(^_^;)
こんな人ばかりになったら日本経済もおしまいですけどね(笑)
Posted by Zaimax at 2010年04月04日 01:35
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