日本和装は、「4ヵ月間無料きもの着付教室」を全国で展開し、受講生や修了生にきもの・帯などの販売仲介をしている会社です。
2009年2月13日の株価 24,980円(JASDAQ 2499) 1株単位 12月決算
PER 6.9倍、PBR 0.8倍、配当利回り 6.0%
株主資本比率 77.6%、予想配当性向 41%
株主優待 きもの、帯などの買物5%割引優待など
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2006年9月の上場以来株価は低下傾向ですが、借入金はありませんし配当利回りは高く割安だと思います。景気悪化の影響を受け当面業績面では厳しい状況が続く可能性がありますが、販売仲介というビジネスモデルにはとても可能性があると思います。
吉田社長から全体的な話、経理担当の菅野取締役から決算数値について、IR担当の黒田さんから日本和装が行っているイベントやトピックスについて説明がありました。
きもの業界は大変厳しい状況が続いていますが、そのような中で当社はきものの価値を伝えていくという考えで、販売仲介ビジネスを進めてきました。昨年は下方修正をするなどご心配をおかけしましたが、今日はその内容について説明させていただきます。
「きもの、帯の販売機会を当社がつくる。その機会をめざして、消費者が集まる。このビジネスモデルの強みが発揮されました」というフレーズを載せていますが、日本和装のビジネスモデルは、きもの・帯などの生産者と消費者の橋渡しを行う販売仲介というところにあります。きものに興味はあるけど着かたが分からない、身近に学ぶ場がないという人たちに『4ヵ月間無料きもの着付教室』という学ぶ場を提供し、教室に集まったきものに興味がある受講生に生産者が自社の商品を直接紹介する、そして販売仲介手数料を日本和装が頂くというビジネスモデルです。
日本一を目指す!「日本和装の仲介」と書いてありますが、日本一を目指すためには「集客力」と「価格力」がカギになります。最近3年間の取扱高は下記の通りとなります。

当社の売上の大部分を占めているのは販売仲介手数料・仕立料・小物販売であり、今まではこの数字を発表していました。今回は初めて取扱高(当社の売上ではなく商品の販売価格ベースの集計値)を公表しました。
2006年9月に株式を公開しましたが、その年の取扱高は101.7億円で購入単価は34.8万円でした。翌年には購入人数が増えて取扱高も102.5億円に伸びましたが、購入単価は30.8万円と安くすることに成功しました。これは以前からメーカーの方々に、良い商品を少しでも安い価格で提供して欲しいとお願いしてきた結果だと思います。ですから価格を安くすることに成功したと言っています。
2008年7月の株主総会でも同じ様な発言がありましたが、私は無理な販売をしない様に徹底した結果、価格が安い商品に売れ筋が移り購入単価が下がったという意味だと思っていました。
2008年7月の株主総会の様子はこちら

まったく意味が違っていましたね。メーカーに「安価でいい商品を提供して欲しい」とお願いし続けてきた結果、狙い通りに購入単価が下がって買いやすくなり、購入人数が増えて取扱高が伸びたという意味でした。だから購入単価を下げることに成功したということなんですね!
2008年は決算期変更で8ヵ月決算ですが、上記数字は12ヵ月に換算した値です。2008年は取扱高が91.6億円と10.2%ダウンしています。購入単価も28万円と9.1%ダウンしました。
きもの業界は大変厳しい状況が続いているが、きものの小売市場規模は年々縮小が続いています。2005年には6100億円でしたが2008年には3945億円と3年間で35.4%縮小しています。
しかし私たちが仕事をしていて感じるのは、きものと畳はなくならないということです。きものがなくなってしまうと日本の文化もなくなってしまうように感じます。きものをなくしてはいけないと思っている人がたくさんいると感じています。
厳しい業界環境の中で、当社は9.2%の営業利益率を上げています。これは販売仲介という在庫を持たない業態だからです。きもの卸売業では1.1%、きもの小売業では▲4.1%という会社もある中で、当社は高い利益率をあげています。当社の経営で常に意識しているのは、在庫なし・借り入れなし・手形なしということです。商品を仕入れるのではなくて、多くの商品の中からいい商品を選び出すことそれがある意味当社の仕入れだと思っています。商品ではなく情報を仕入れ、その情報を皆さんにお伝えするというのが販売仲介の強みだと思っています。
2008年12月期の業績について 菅野取締役から
今期も、きもの業界全体のためにも社員教育を徹底し、また高視聴率の報道番組への提供をはじめ、積極的に広告宣伝活動を行いました。しかし予想を超える金融危機と景気停滞の影響も無視できない状況となり、下方修正を行うこととなってしまいました。修正後の数値からは6.3%増収、経常利益は25.4%増益、純利益は変わらずという結果になりました。これは非効率拠点と見なされた7拠点の減損損失を特別損失に計上したためです。今期は8ヵ月決算ですが配当は1200円を予定しています。
2008年12月期のトピックスについて 黒田さんから

きもの業界にも明日はある


(1)新傾向の奄美大島紬を紹介する「田中一村の世界」(2008年8〜10月)では、取扱高1.7億円、取扱点数442点となった。
(2)きもの一日大学「和の色に恋」(2008年8〜10月)では、取扱高0.7億円、取扱点数520点となった。
さらに、「4ヵ月間無料きもの着付教室」開始21周年を迎えましたが、これを記念して行った「21周年ありがとうの会」(2008年11月〜2009年1月)では、取扱高2.94億円、取扱点数2,419点となった。

修了生の中でも学習意欲の高い方、またきもの・帯についてもっと素晴らしい物をという高級志向の強い方に向けて、新しい教室を昨年秋から開講しています。
・きもの最上級教室(週1回・全15回) 東京・大阪・名古屋で開催
・きものプラチナ教室(週1回・全12回)
今月から第2期が開催されるほど好評でした。
ここまでは明るい話題を取り上げてきましたが、そうは言っても取扱高が減少するなど当社も消費マインドの低下が無視できない状況となっています。そのような状況であればこそ、不振のきもの業界全体のイメージアップのためにも、高視聴率の報道テレビ番組枠で当社企業PRのCMを受講生募集の時期以外、つまり当社がCMを出す必要がない時期にも行い、まだまだきもの業界は大丈夫です!とPRするなど、前年の同時期を僅かですが上回る額を投入して積極的に広告宣伝活動を行いました。
さらに、消費マインド低下の影響として、非効率拠点と見なされた7局の減損損失を2Q決算に計上しました。7局合計の取扱高の割合は6.1%でしたが、長期的な視野に立ち東京・名古屋・大阪を中心とした大都市圏に経営資本を集中するという方向で進んでおり、2008年秋期教室をもって7局を閉鎖しました。
もう一点、これは当社を信頼頂いていいということですが、自己資本比率は77.6%

2009年12月期の業績予想について 菅野取締役から
売上高は60億円を見込んでいます。きもの販売仲介収入が、着付教室終了後のリピート購入にも十分に立脚できる体制をさらに強化していきます。修了生の需要掘起しにも力を入れて行きます。
利益面では、購入単価を上げることよりも、むしろ販売機会での参加人数・販売仲介点数(加工点数)を増やすことに注力します。経費面ではムダを省き営業利益のさらなる改善を図り、業績向上を目指します。営業利益・経常利益は6億円、純利益は3.26億円を見込んでいます。配当金については1,500円を予定しています。
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新しいプロモーション手法への挑戦について 黒田さんから
着付教室というのは女性ばかりの世界で、男性の方にはなかなか理解しにくい部分もあると思いますが、日本和装では修了生の方を対象に、昨年の秋から「きものブリリアンツ」キャンペーンを行っています。ブリリアンツとは「ブリリアントカットされたダイヤモンドたち」という意味で、みんなできもの美人になりましょう!というものです。最初のアクションとして「ブリリアンツ・メイツ登録者募集」の告知をしたところ、現在までに登録者は9,500名を超えています。1月には全国7都市でブリリアンツ・メイツのための「新春きものパーティ」を開催し、合計790名の方が出席しました。
もう一つのキャンペーンが2007年1月から始まっていて、これはきもの消費者としてのレベルアップを図ってもらう目的で「きものマスター検定」というものを行っています。検定を受験するためには「きもの基礎マスター」に登録する必要がありますが、こちらは現在25,400名に達しています。
先発の日本和装「きものマスター検定」と「きものブリリアンツ」キャンペーンは、修了生対象プロモーションの両輪です。これらに登録頂いている皆さんは、日本和装を応援してくれている人たちだと考えています。
さらに、今後のきもの文化と消費の継続・発展を考える時、きものファンがきものを「楽しむ人」というだけではなくて、きもの文化を「盛り上げる人」に育成していくことが重要だと考えています。日本和装では「きものプロシューマー」と名付けて養成を始めています。
2008年12月より東京・名古屋・大阪で「きもの講師 養成講座」第1期が始まっています。これは着付の先生を養成するのではなく、きものを着た生活提案ができる人を養成する講座です。
大阪局では「アイデア ママ」を募集し活躍してもらっています。これは販売イベント等のアイデアを当社の社員だけではなくて、大切なお客様である修了生の方にも一緒に考えてもらおうということで募集したものです。昨年の秋に募集し、現在3名の方が活躍中です。
「日本和装の仲介」をかねてから商標登録出願していましたが、2008年11月に認められ登録商標になりました。
生産者と消費者の距離をぐっと縮めていく販売仲介業というものが、景気停滞の時代だからこそ、今後もっと必要とされてくる業態ではないかと感じています。これからも確信を持って「日本和装の仲介」事業を進めて行きたいと考えています。
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質疑応答
(1)なぜ決算期を変更したのか
→営業と管理の時期を揃えるためです。「4ヵ月間無料きもの着付教室」は春と秋に開講しているが、春の募集スタートは1月からです。今までは4月決算だったので、受講生募集の費用は当期に計上されるが、売上の大部分は翌期に計上されるというずれがあった。決算期を12月に変更することでこの影響が小さくなる。
(2)加工点数にはきものと帯の加工点数が含まれるのか?その内訳はどうなっているのか
→きもの・帯・襦袢が含まれています。一番多いのは袋帯でその次は普段着の紬や長襦袢などです。
(3)きものスーパーの状況はどうか?今後首都圏への展開は考えているのか?
→最初にオープンした神戸店は徐々に安定してきた。新しいお客さんがほとんどです。最初は首都圏での出店を考えていたが、まずは神戸・福岡・大阪で実験店的にやってみようということでスタートした。まだ名古屋・東京には出せないと思う。もう少し市場調査などをしていきたい。
安ければ喜んでもらえるだろうと考えていたが、安ければ売れるという状況でもなく、お客様は多いが考えていたほどは売れていない。話しかけないという販売方法が逆に冷たいと言われることもある。ちょうど1年になるので販売方法の見直しも含めて検討していきたい。
(4)今期の業績予想では、販売単価や販売点数をどのように考えているのか?
→販売単価は今期の28万円と同程度と考えている。販売機会・販売点数についても前年度と同程度に設定し計画を作っている。
(5)不景気の影響はあまり受けず、前年並みは確保できるという考えなのか?
→14.2万人の修了生の方々に「KOSODE」などでイベントを告知すると、たくさんの方々に来ていただける。イベントはたいへん好評なので、販売単価・購入人数に落込みはないと考えている。
(吉田社長から)だいたい前年度と同等と予想している。最近修了した方々へのご案内に対するレスポンスが上がってきている。これは私の予想だが、きものを買う場所が減ったのではないかと思う。今日も横浜のイベントに多くの人が来てくれているが、きものを見ることができる場所が減ってきたのではないか、さらに当社の認知度も少しづつ上がってきたのではないかと考えている。このような背景もあり、昨年と同等は行けるのではないかと予想している。
(6)修了生の数は安定的に増えてきているのか
→年2回受講生を募集し年間3万人ほど受講生が来てくれるが、最後まで受講し会員になってくれるのはその内の45〜50%くらいです。ですから毎年1.5万人くらいづつ会員が増えていく感じです。
(7)先ほど今期は前年並みの単価を考えていると言われたが、ここ2年ほど下がっているのはなぜか
→2007年については単価を下げることに成功したと考えています。メーカーさんに少しでも廉価な商品を提供して欲しいとお願いし続けてきた結果も現れてきていると思う。2008年に単価が落ちたのは、消費マインド低下の影響もあるのではないかと考えている。
(8)上場して2年半になると思うが、メリットやデメリットはどのように考えているか
→デメリットというわけではないが、公開企業としてふさわしい対応をしようとクレームに対して徹底して取り組んでいるため、この部分に多くのコストがかかっている。
メリットとしては、やはり社会的な信用が得られたということが大きい。仕事がしやすくなったり、採用面でも以前と比べて2倍3倍の人に応募してもらえるようになった。また、以前はきものというのは主人に内緒で買うということも多かったが、今は当社のイベントにご夫婦で来てくれて、ご主人も納得して買っていかれる方も増えてきた。
(9)2年前に『日本和装の挑戦』という本を読ませて頂いたが、その中に「日本の伝統文化を衣食住の隅々にまで展開していきたい」という言葉があった。今のきもの事業以外にも展開を考えているのか?可能な範囲で聞かせて欲しい
→現在は「衣」の部分で事業展開しているが、「食住」についても展開して行きたいと色々考えていた。当初は、昔ながらの京都の家屋の特徴なども取り入れた和風マンションなども考えていたが、本業がこのような厳しい状況になったので、今のところ進めていない。食べ物に関しては、私は日本人の体に一番いいのは鍋だと考えていて、野菜などを供給する仕事ができないかと考えていた。とにかく今は脇目もふらずに本業に取り組んで行くが、あきらめたくない分野ではある。
(10)今期は「着付教室終了後のリピート購入にも十分立脚できる体制をさらに強化する」とのことだが、具体的にどのようなことを考えているのか
→先ほど黒田の方から説明させて頂いたが、「きものブリリアンツ」キャンペーンや「きものマスター検定」など色んなサービスを会員向けに提供して、販売機会につなげて行きたいと考えています。修了生の方々に仲介の場を作ると、以前と比べて格段と結果が現れるようになってきた。
(11)新規に会員になる方より、修了生向けの方が売上が大きくなってきたのか?
→新規の会員の方が販売機会が多いので販売額も大きいが、修了生向けの仲介も以前より反応が良くなってきているということです。
(12)全国に何拠点あるのか?すべて直営なのか?
→20拠点です。鹿児島だけがフランチャイズです。今回は7拠点を閉鎖して初めての受講生募集でしたが、反応はまあまあで安心した。コマーシャルの反応が良かった影響も大きいと思う。
(13)会員の方の年齢層の分布はどうなっているのか?
→応募者をおおまかに見てみると、20代30代40代が中心で50代60代となるとぐっと減る。
以上で決算説明会は終了となりました。この後「4ヵ月間無料きもの着付教室」の模擬教室と模擬の販売会場が用意されていて、どのような事業を行っているのか簡単に体験できました。模擬販売会で説明してくれた人など、きもの好きな人が集まっているんだな〜と感じました。
今日(2月16日)は決算発表後初めての取引がありましたが、520円高(2.1%高)の25,500円と上昇しています。きものは洋服などと比べると高いので、不況の影響が大きいのではないか?と心配していましたが、7拠点を閉鎖したにもかかわらず受講生が順調に集まったり、修了生からの反応も良くなるなど思ったより健闘しているようです。今期はかなり厳しいだろうなと感じていましたが、会社側の予想数値は前期並みの数字になっています。この辺りが今日の株価にも現れているんでしょうね。
販売仲介とか情報提供というビジネスモデルは、リスクが比較的少ない割に成長が望めると思います。きものを着たい!という人に学ぶ機会を提供したい!販売が低迷しているきもの業界を助けたい!それがひいてはきもの文化、日本文化を守ることにもつながるという考えにも共感できます。財務内容は健全ですし配当利回りも高いので、中長期で成長を見守って行きたいと思っています。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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やはり直接お話を聞くと、会社に対する理解が深まりますね!とても参考になりました。
厳しい環境の中、知恵を絞ってがんばっている様子を拝見して、さらに応援したくなりました。
この決算説明会の様子をきっかけにして、中長期で保有してくれる株主が増えると嬉しいですね。
これからも宜しくお願い致します。