ホソカワミクロンは粉体関連技術で世界No1の企業です。
2009年1月28日の株価 333円
(東証1部 6277) 1000株単位 9月決算
PER 5.5倍、PBR 0.56倍、配当利回り 4.8%
株主資本比率 51.3%、予想配当性向 27%
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過去の値動き範囲から見ると現在は安値圏で推移しています。
社長が言う存亡の危機だった頃の株価水準ですね

お土産は独自開発の粒子を採用した化粧品ナノクリスフェアの試供品でした。
宮田社長と中村取締役が出席していて、宮田社長から説明がありました。
当社は粉体技術に取り組み93年の会社だが、分かりにくいとよく言われるので、まずは粉体技術について説明したい。
ホソカワミクロンが力を入れている『粉体』とは、固体・液体・気体に次ぐ「第4の存在」で、固体・液体・気体とは異なる独自の特性を持っている。粉体にすることで新たな特性を持った物質に変化してくる。これらを組み合わせることで目的の物性を持った物質を生み出すことができ、幅広い分野で応用されている。これをナノテクノロジーと言っている。
たとえば金はナノレベルになると金色ではなくなる。融点も固体では千℃を超えるが、粉体になると300〜400度くらいになる。このように物性が変化する。
世の中にある「もの」の大部分は、その製造工程の原料・中間工程・最終製品のいずれかの場面で粉の状態であり、あらゆる産業分野で「第4の存在」粉体へのニーズとシーズがある。ホソカワミクロンの粉体技術がこれら様々なニーズに応え、産業・生活基盤を支えている。そしてこの技術をさらに発展させ、新たな未来を拓き次世代の先端産業をリードしていく。
粉を制御する粉体技術は、粉砕・分級・混合など多くの分野に分かれているが、ホソカワミクロンはすべての分野の機械を持っている。上場企業でも月島機械、川崎重工、三井鉱山など分野ごとには素晴らしい技術を持った会社もある。日本には粉体技術の会社が200社くらいあると言われているが、専業で世界No1ですべての機械を持っているのはホソカワミクロンだけである。
いろんなニーズが出てくるので、一つ一つについてお客さんと一緒になって試作し世の中に提供していくという仕事をしている。PETボトルの材料やサプリメント、印刷用のトナー、磁性材など幅広い分野で使われている。メーカーと共同開発して各社ごとの要望に合った機械を手作りしている。売れても3台くらいまでで、それ以上作る場合は中国などに行ってしまう。大量生産して安く作るという商売ではないので、競合他社と比べると同等か高い機械になるが、その機械を使ってお客様も高い利益を上げることが出来るので、当社の利益にもつながってくる。
90年くらいからソニーが販売しているリチウムイオン電池でも、中で使われている炭素などの粒子設計をそれ以前から共同で研究してきた。当社はリチウムイオン電池を販売するわけではなく粉体技術に関わる機械を販売している。最近では中国の会社も同じような機械を作り始めた。このように当社は大量生産するのではなく、それ以前のニーズの段階から粉体技術を使ってお客様と共同で研究して、顧客の要望に応えていくという地道な仕事を続けている。
ホソカワミクロンは1930年に粉砕機を開発し、1960年には世界を視野に海外展開を始め、イギリスにテストセンターを作ったりしてきた。その長い歴史がその後の技術提携やM&Aにつながってきて、粉砕技術では世界No1の企業になっている。小さな会社で市場規模も3000億くらいと小さいが、その中でNo1です。
粉体事業以外にもプラスチック薄膜事業や製菓システム事業があるが、これらは買収を繰り返す中で加わってきた事業です。
当社の技術をヨーロッパやアメリカに持っていったので、現地で技術提携をしてその後買収したので、売上の半分以上がヨーロッパになっている。海外では粉体技術で著名な会社になっている。普通はアジアで作って先進国に輸出するという会社が多いが、当社は日本やヨーロッパで作ってアジアなどに販売している。それも一品づつ手作りして価格を決めて販売しているので、円高になると為替の影響で利益が吹っ飛ぶということはない。ただ決算では円で換算しないといけないので、円高になると表面上売上・利益が減ったようになってしまう。
なぜホソカワミクロンが選ばれるのかというと

粉体技術に関わる製品が300機種もあり、それらを組み合わせることで顧客の要求を満たすことができる。

テスト件数は年間3500件(国内1200件、海外2300件)テスト料をもらってテストしている。多くの依頼が当社に持ち込まれている。

今から50年前に細川粉体工学研究所を作っており、多くの特許を保有している。

年間5千万円を予算として、国内海外問わず優れた研究等に助成を行っている。

大学の研究者、企業の技術トップが集まるような討論会をすっと毎年開催してきた。なので難しい案件ではホソカワに頼めば世界レベルの回答が返ってくると言われるような状態になってきた。
決算の概要
過去5年の売上推移を載せているが、18年度19年度はユーロ高の影響で30億円くらい嵩上げされていて伸びが高いように見えている。
利益推移では19年度が過去最高益となっているが、国内自身はまだ欠損金を抱えていて、2010年までは税金を払えていない状況である。
事業別の状況
粉体事業では、トナー製造装置は今まで420億円くらい機械を販売してきた。リチウムイオン電池関連は55億くらいだが、将来はトナー関連を追い越すくらい伸びると期待している。
他にも質の悪い石炭にバイオを入れてCO2削減を図る研究を中国としていたり、いろんなニーズが当社に持ち込まれている。
環境関連事業は、大気汚染防止用の集塵機などを販売している。昭和30年代に発明しパルスジェット方式集塵機技術のパイオニアで世界を独占していたが、今は特許が切れてアマノなどが当社よりもいい機械を大量生産して販売しているが、いい技術を開発したことでかなり世の中に貢献してきたと思う。
プラスチック薄膜関連事業では、風船のように膨らまして薄膜を作る機械を販売している。レジ袋のような単層のものから9層までの高付加価値多層フィルム製造装置まで展開している。1台1〜2億円くらいする機械です。特徴としては従来のフィルム製造装置に比べて工程削減や薄膜化が可能で、30〜40%CO2を削減できる。
製菓装置関連事業はドイツ中心に行っており、販売はアメリカ中心。国内の大手企業にも納入している。難しい飴玉などの製造では当社に相談が持ち込まれることが多い。昨年は大きな案件でクレームが出て赤字になったが、利益の出る事業です。
業種別の分布は、金融を除くすべての分野に幅広く販売しており、国内では販売先は8000社、機械単価は平均1千万円、部品は30万円くらい、もちろん5億10億の機械もあるが平均ではこんな商売をしている。
トピックス
一番有力な子会社ホソカワ・アルピネ(独)の新工場が完成した。買収するまではアルピネと集塵機では米国のマイクロパルが強敵で、私が若い頃は一番のライバルだった。今はどちらも子会社になった。
アルピネは34億円かけて工場を新しくした。太陽光発電パネルを付ける予定はなかったが、従業員からの提案で2億円強かけて設置した。従業員が組合を作りお金も出して設置している。国が電力の買取を保障しているので、7〜8%のリターンが見込める。
機械を買うほどでもないという顧客向けに、材料を預かり粉体にして提供するという受託事業を行っている。1キロ500円、千円という仕事だが世界で20億円弱の販売を行っている。この事業の売上倍増計画の一環として「つくば受託加工センター」を建設する。
タイの科学技術大臣が当社を訪問し、研究協力の覚書を締結した。海外から見ればホソカワミクロンは粉体技術のNo1企業なんです。
独自のナノ粒子テクノロジー 〜化粧品・育毛剤への応用〜
PLGAナノ粒子という生体に適合して、タバコの煙の半分くらいの200ナノのカプセルを開発した。この中にビタミンなどの肌によい成分や育毛成分を封入し、肌や頭皮の奥まで届ける。到達後10時間以上かけて有効成分を放出することができる。当社は粒子を開発し、中に入れる成分は化粧品メーカーなどが開発する。化粧品や育毛剤に展開し数年前から始めた事業だが、急速に伸びている。皮膚科の先生に提供したり、OEMを行うなどいろんな可能性を模索している。
今後の取り組みと展望
5、6年前は業績も悪く、基盤の強化に努めてきた。現状の認識を踏まえ第13次中期計画では粉体技術にさらに磨きをかけ収益力を強化していく。
具体的にはナノマテリアルビジネスを拡大したり、BRICSや東南アジアへの取り組みを強化していく。昨年のブリクス向け売上は42億円だったが、受注は60億近くあり伸びている。今までは欧米の企業がブリクスに進出し当社の機械を購入することが多かったが、最近は現地のトップ企業が欧米と同じ機械を買うんだということで注文が来るようになった。
新製品の利益率は70%くらいと高いので、現状17%の新商品比率を30%まで上げて行き利益率を向上させていく。
メンテナンス事業も80億超の売上があるが、利益率が50%と高い。受託加工も20億ほどあり、これらの付加価値の高いビジネスを伸ばしていく。
今期も増収増益を目指してスタートしたが円高が進んでいるので、円に換算すると表面上減収減益に見えてしまう。当社は輸出産業ではなく世界中で商売をしているが、当社の説明不足で円高だ為替だと言われて、なかなか理解してもらえない。ヨーロッパからの輸出も多いのでユーロ安はけっして悪い話ではない。世界で商売をしているので、円に換算すると減収減益になるというだけである。
リチウムイオン電池は2030年には2兆円の規模が予測されており、自動車でも採用されればさらに大幅に伸びる。このようにナノテクノロジーは今後もますます伸びる。ナノテクノロジーということで一時は株価に反映したこともあったが、当社は93年ずっとナノテクノロジーを追い続けている。
リチウムイオン電池の機械は7千万円ほどするが、中国の企業も購入しだしている。2台目の購入はないかもしれないが(真似して機械を作ってしまうということなんでしょうか?)20社30社と購入してくれれば大きなビジネスになる。新商品の開発や環境問題の深刻化などで、当社に次々と案件が持ち込まれている。2ヵ月ほど待ってもらっている案件もあるほどです。景気が悪化し厳しい状況になっているが、企業もR&Dは止められない。研究開発を止めてしまうと企業や日本の将来は無い。このように新しい商品が世に出る際には当社の粉体技術が役に立つと思うし、粉体技術には無限の可能性があり社会にも貢献できると思う。そのためにも世界No1の企業であり続け、ホソカワに頼めばなんとかなるという企業であり続けたい。
厳しい時代に入っているが、それでも世界の人口は毎年8千万人くらい増えている。人口が増えれば粉体の使用量も増える。まだまだ厳しい時期が続き、淘汰される企業も出てくると思うが、強い企業はさらに強くなっていくと思う。会社の規模ではなく世の中から必要とされる企業が残っていき、危機を乗り越えた後にはさらに強くなっていく。当社は93年間粉体技術に注力してきて、生き残る資格もあるし生き残らなければならないと考えている。あとどの位続くのかは分からないが、当社もこの危機を乗り越えた後には間違いなく強い企業になっていたい。
質疑応答
(1)昨年社長が代わったようだが、ホームページに社長の写真も載っていないし、社長の方針がよく分からない。創業者に遠慮があるのか。
→93年オーナー企業としてやってきたが、長期的な視点で経営できるなどのいい点もあれば変えるべき点もあると思う。私は経営の機軸としては、粉体技術などの技術開発、国際化、人財開発が3本柱だと思っている。変えるべき点は一つづつ着実に変えて行きたい。
(2)受注残が減っているが大丈夫なのか。粉体以外の不採算部門はどうするのか。
→売上は月度のレートを使うが、受注残は9月末の為替レートで評価するので減っているように見えるが、平均的に4ヵ月分位の受注残を持っており、受注が減って大変という状況ではない。
フィルム事業は原油の値上がりで昨年は減少したが、我々が狙っているのはプラコーなどの他社が行っているレジ袋のようなものではなくて、1台1億2億という高付加価値の商品です。今7層のテスト機を枚方に設置している。用途が限定されるのでたくさん売れるわけではないが、間違いなく伸びていく。
製菓部門は若干赤字になったが、通常は15%くらいの利益率がある。5年程前には借金を減らすため売却しようとも考えたが、希望する値段で売れなかったので手元に戻しドイツで事業を行っている。一品一品手作りの機械だが、利益率の高い商品に絞ったり、3ヵ所に分かれている拠点を統合するなど体質強化を進めていく。
(3)化粧品は富士フィルムも苦戦しているが伸ばして行けるのか。
→育毛剤は自社ブランドNanoImpactで販売を始めて3年目になる。お客さんのニーズを取り入れてOEM供給したり、皮膚科の先生のノウハウを取り入れて相手ブランドで販売するなど少ないが色々と取り組んでい る。育毛剤と化粧品で過去は50億100億を目指すと言っていたが、間違いなく着実に増えては来ている。まだ公表していないこともあるし、色々な戦略が考えられる。それなりの数字に早く持って行きたい。まだ儲かる所までは行っていないが、そんなに遠くないと思う。それから大きく花を開かせたいと思っている。
(4)資本政策の話がなかったが、500円台で栗本鐵工や創業家に割り当てて危機を乗り切った経緯もあるが、栗本鐵工に割り当てた300万株は数年前に700円台で自社株買いを行った。今はその半値になっている。技術面の話を聞くといい話ばかりで期待できるように感じるが、こういった経緯も含めて資本政策や現状の株価についてどう考えているのか。
→今の株価は市場環境を考えても...(安すぎるということなんでしょうね)
正直言って5年前の金融危機の際は本当に厳しくて、好ましい手段ではなかったがMSCB発行しか手がなかった。資金調達をしてここまで立ち直ってきた。今の株価は当社の企業価値や、夢のある可能性を織り込んだような株価だとはさらさら思っていない。IR活動にも力を入れ適正に評価されるようにしていきたい。資本政策、財務戦略についても色んな選択肢があり社内でも討議している。今後も適切な手を打っていく。
入院患者が退院してここまで来たので、今後3ヵ年は筋肉質にするために財務的なこと、技術面、グローバル展開などを構築していく一番の時期だと考えている。資本政策や財務についても大事だと考えているが、今回は説明がなくて申し訳なかった。
中村取締役から補足
ホームページに掲載しているアナリスト向け説明資料では、成長と収益力向上、企業度バランス強化(よく聞き取れませんでした)と触れており、バランスよく実行していく。成長が期待できる事業もあり、もちろん成長をいたずらに追い求めるわけではなく、収益性と企業度バランスともバランスを取りながら追求していくと言うのが財務政策の柱となっている。
引き取った自社株について価格が下がっているのは事実です。活用方法については具体的には話せないが検討は進めており、当社の成長に役立つように有効な活用を検討していく。
技術面の話を聞いていると、商品開発には不可欠な会社で将来が期待できそうに感じますが、6年位前は存亡の危機だったようですね。必要不可欠な企業がどうしてそんな状況になるのか、ちょっと理解に苦しみます。社長は円換算すると減収減益になるだけで、事業は順調だと強調していましたが、まとまった台数が売れるビジネスではないので、構造的に脆い部分もあるのかもしれません。割安感もあり将来性もありそうで面白そうだと思いますが、過去の経緯も含めてもう少し詳しく調べてみようと感じました。
東京の会社説明会なのでたくさんの人が質問するのかなと思っていましたが、あまり名古屋と変わりませんね。名古屋でもそうですが、年配の人の質問は長いですね

最後までお読みいただきありがとうございました。
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