2008年12月20日

ヨロズの会社説明会報告レポート

12月19日に行われた、日本証券業協会主催 ヨロズの投資家向け会社説明会に行ってきました。ヨロズは、自動車のサスペンションなど足回り部品を製造・販売している会社です。

2008年12月19日の株価 721円
(東証1部 7294) 100株単位 3月決算
PER 5.4倍、PBR 0.35倍、配当利回り 2.2%
株主資本比率 42.2%、予想配当性向 12%
株主優待 株数に応じてクオカードを年2回

最近の株価は → ヤフーファイナンス ヨロズ
ホームページは → こちらです♪

7294.jpg

株価指標から見ると割安ですが、同業のエフテックと比べると若干割高ですね。その分財務内容は良好です。
お土産は、クオカード500円分でした。

志藤会長、佐藤社長、佐草執行役員財務部長が出席していて、志藤会長から説明がありました。
エフテックと同じように、ロビーにサスペンションなどの製品を展示していました。
名古屋でIRセミナーを行うのは5回目だそうで、IRにも積極的ですね。当社の製品は車でも見えない部分に使われているので知名度が低い。多くの投資家に当社を知ってもらうためにもIRにも力を入れている。最近は自動車関連のニュースがない日はないくらい多くのことが報道されており、当社に聞きたいこともたくさんあると思うので質問時間も多めに取る予定です。
会長の挨拶の後で会社紹介ビデオを5分ほど流しました。

ヨロズは自動車用足回り部品『サスペンション』の専門メーカーです。サスペンションは車の基本動作である『走る!曲がる!止まる!』を支える重要な部品で、壊れると走行不能になるため、重要保安部品に指定されている。どこの会社でも作れるような商品ではない。当社は長年サスペンションを販売しており、国内・海外のメーカーから「サスペンションのヨロズ」と高い評価を頂いている。
ヨロズの歩みを振り返ってみると、創業以来日産に部品を納入し、70年代・80年代には国内自動車生産の増加とともに売上を伸ばしてきた。しかしプラザ合意後は国内生産台数が減少し日系メーカーの海外進出が始まった。当社も86年にアメリカに現地工場を立ち上げて以降海外展開を進めてきた。国内売上は減少したが海外売上が好調で、2005年には連結売上高1000億円を突破した。海外展開をしていなければ、当社の存続はなかったと思う。しかし2000年には日産リバイバルプランが発表され、その中で系列の解体が打ち出され当社も日産との資本関係を解消することになった。当時のわが社にとっては売上の大半が日産向けであり、今後の取引はどうなるのか恐怖心を抱き、存続の危機とも言えるようなショッキングな内容だった。株式の引取り先は自分で探せ!見つけられないならどこに売るか分からないぞ!という姿勢だったので、この機会を前向きに捉えいち早く自ら引受け先を探し始めた。10社近くの引き合いの中からタワー社を選び、日産系から外資系の部品会社に変わった。日産系列を離れた危機感をばねに、積極的な営業活動で海外メーカーへの拡販を図るとともに、日系自動車メーカー11社すべてとの取引を目指した。
2004年にはタワー社が経営不振に陥り、タワー所有の全株を自社株として買い戻し、世界的な展開を目指す独立系の自動車部品メーカーになった。現在では日系自動車メーカー11社すべてと取引があり、海外メーカーとの取引も拡大している。
いまから振り返っても、日産リバイバルプランは60年の当社の歴史の中で最大の出来事だと思う。
得意先別の売上推移を見ると、93年には日産向けが83%を占めていた。これが2008年度見込みでは52%まで落ちてきている。日産向けの売上も伸びているが他社向けの売上の伸びが大きいので、割合としては低下している。GMが18%、ホンダが15%で、トヨタも着実に伸びていて4%弱を占めている。GMは販売不振と言われているが、当社部品が採用されているのは燃費のいい車向けなので、売上が伸びている。リバイバルプラン以降、危機感をばねに積極的に顧客を開拓してきた結果、取引先が広がり売上も大きく伸びた。ある面ではリバイバルプランが良かったなと思う。サスペンションメーカーで日系の全社と取引しているのは当社だけです。
1990年に萬自動車工業という社名からヨロズに変えた。

ヨロズの強み
自動車部品業界は競争が厳しく、生き残っていくためには品質や価格、納期以外に他社にないもの、独自の強みが必要。当社は自動車部品メーカーとして3つの強みがある。
(1)開発から生産までの一貫体制(トータル・プロダクションシステム)
開発から生産まで社内に一貫体制ができており、高品質・低コストな製品をタイムリーに供給できる。
(2)核となる技術
軽量化や省資源化に役立つ環境に優しいヨロズの技術をお客様に提案している。
ハイドロフォーム技術(パイプを水圧で成型する技術)では日本のパイオニアで、部品点数を大幅に削減し軽量化・省資源化に貢献している。
アルミ材を使ったプレス溶接の大量生産技術を構築して、サスペンションの軽量化に大いに貢献している。
テーラード溶接工法は、厚みの異なる鉄板を溶接して1枚のパネルにして成型する技術で、強度が必要な部分だけを厚くすることができる。部品点数を大幅に削減できるので軽量化・省資源化を実現できる。日産のティアナにこの技術が採用されている。
これらの技術を活用して製品開発を行い、多くの自動車メーカーで採用されている。
話題の日産GT−Rにも当社のサスペンションが採用されている。ヨロズの技術を結集して開発した商品で、世界にヨロズの名前を轟かせている。
(3)グローバル展開
当社は日産系の会社だったので日産以外との取引が難しく、国内販売台数の減少に対応するため、海外に活路を見出し海外展開を進めてきた。まずは海外で日系メーカー向けに食い込み、それを日本での取引の足がかりにして行こうと戦略を立てた。そしてホンダやトヨタ、三菱、スズキ等との取引が実現した。また、現在では自動車メーカーは車台を共通化して同一車種をグローバル展開することが多いので、世界各地に同一部品を供給できる体制が求められており、グローバル展開が受注の必須条件になっている。当社では北米に5社、アジアに3社、日本に7社で4500名を超える規模になっている。それ以外にも韓国に出資先、欧州などに提携先を持っており、グローバルネットワークを構築し海外との取引が拡大している。
アメリカでの生産減に迅速に対応するため、ヨロズオートモーティブミシシッピ社を今週末で休止し、テネシー工場に移管する。テネシー工場の現有の設備・人員で対応でき、固定費も発生しないので全体の収益を高められる。世界的な不況に対応するためミニマムコストを実現し、いまのピンチをチャンスと捉え、舵取りをしていく。

業績について
今期の売上高予想は1201億円で、リバイバルプラン後の2001年と比べると65%の増加になる。営業利益はリバイバルプランの影響で4億円と一時的に大きく落ち込んだが、その後全社を挙げての原価低減活動や積極的な販売活動により2007年には過去最高の77億円を計上した。今年はたいへん厳しい環境下だが現時点では62億円を見込んでいる。
上期の実績は、アジアの大幅な伸びなどもあり売上高は当初公表値に対して20.8%増の606億円、営業利益は全社を挙げての合理化活動、原価低減活動などもあり66%増の48億円と大幅な伸びになった。通期の見込みはひじょうに厳しい環境ですが、売上高は当初公表値を8%上回る1201億円、営業利益はコストダウンなどに力を入れ、現在のところ当初公表値を6%上回る62億円を見込んでいる。

中期経営計画について
9月の金融危機以降、自動車産業にも大きな影響が出てきており、生産台数はとても不透明な状況になっている。現在の予測では残念ながら2009年までは減少すると見ているが、2010年には2007年並みの716万台となり、2014年には853万台に伸びると考えている。世界的には人口が増えているので必ず車の需要はあり、自動車産業は今後も世界経済を牽引する成長産業だと思っている。
そのような前提で中期経営計画YSP(ヨロズサクセスプラン)を作っている。
中期ビジョンとしては『小粒な会社でもグローバル規模のエクセレントカンパニー』を目指している。その方策としては、次の2つを掲げ、これらを強力に実施していくことでこの難局を乗り越えて行く。
(1)経営改革の二本柱の推進(生産革命、マネージメント革命)
経営改革を進める上のキーワードは安全と標準化で、安全を第一にすべての業務を標準化することで質の向上と効率化を図っていく。行動に当たってはSPPといって早く、積極的に、そして利益を追求していく、これをグループ全体の行動指針として、競争力あるヨロズグループの構築を行っている。
トヨタ生産方式(TPS)の導入による生産革命では、革新的なモノづくり確立に取り組んでおり、導入して5年が経過した。
TPS導入による効果としては、生産性では37%改善し800名分の削減効果があり、在庫金額では40%削減でき当初は7日強あった在庫が現在では4日を切っている。スペースの削減では40%削減でき2.8万uの削減効果があった。
マネジメント革命では、今までの会社ごとの縦糸だけの組織に横糸を通し、強い組織である機能別グローバルマトリックス組織の経営に変えた。拠点ごとには最適な判断でも全体では最適とならないこともあるので、部分最適から全体最適を目指す経営に変えて、迅速な意思決定を目指す。販売、品質、生産など7つの機能に分けてそれぞれ責任者を置き、海外の会社も含めて各拠点を横通しで見ている。マネジメント革命の一例としてヨロズの品質保証システムをグローバルに展開することで、海外の工場の品質も大幅に向上し、日本並みになってきた。
(2)開発力の強化
他社との競争に打ち勝ち中期ビジョンを達成するためには、安全・品質・原価・供給以外にダントツの開発力が必要である。そのために当社の特徴であるトータル・プロダクションシステムを活用し、コア技術のさらなる強化を進めていく。当社は社員の10%強471名が間発・生産技術を担当しており、グローバルで開発・生産準備体制を構築している。

CSR活動については、高い倫理観と遵法精神により、公正で透明度の高い企業活動を推進することを掲げ取り組んでいる。

資本政策・株主還元について
タワー社から自社株を買い戻したため9月末で20.7%の自己株式を保有している。ヨロズ株をお得意先や取引先に広く持ってもらい、双方のビジネスの発展を図っていく、経営のチェックを図っていくことが大事だと思っている。この方針に従い、2008年3月に215万株の自己株式を第三者割当で処分した。今後もヨロズグループの成長・発展のためにどのような資本政策がベストなのか念頭に検討していく。
配当金については、将来の事業展開を勘案しつつ安定配当を維持するとともに、株主の皆様にお応えするために増配を常に念頭に置き事業の発展に努めるという方針を掲げており、株主還元に積極的に取り組んでいる。内部留保については、財務体質の強化および将来に渡る安定した株主利益の確保のために、事業の拡大、合理化投資、厳しい経営環境に勝ち残るための新技術・新工法開発のために有効活用していきたい。
今期の配当金は、厳しい環境の中前期の記念配2円を普通配当金に振り替え、前期と同額の16円を予定している。
個人投資家向けセミナーは、当社への理解を深めてもらうため2004年より開催しており、当初は東京、大阪、名古屋開催だったが、今は札幌、福岡も加えて全国5ヵ所で開催している。まだヨロズを知らない人も多いので、これからも積極的にIR活動を行い、より多くの方にヨロズを理解いただけるよう取り組んでいく。
これは当社の最近1年間の株価推移ですが、株価は需給関係で決まり一概に言えるものではありませんが、当社への市場の評価の一つと真摯に受け止め、今後も株主価値の向上に努めていく。
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質疑応答
(1)厳しい環境にもIRセミナーを開催しているのは素晴らしいが、GM向けの比率も高く破綻した時に大丈夫か
→企業は良くても悪くても現状を正確に開示することが経営者の務めだと思っているので、厳しい状況ですがまったく問題なくIRセミナーを続けている。
アメリカ経済は非常に厳しい状況が続いているが、ビッグ3を中心とする自動車産業は多くの雇用を抱えており、国内の販売シェアも50%以上あるので、もし破綻したら大きな影響がある。ただ言えるのは、破綻してもすぐに仕事がなくなるわけではなく生産は続ける。公的資金投入など色々な動きは出てくるがいずれにしろ生産は続くので、我々の仕事もある。ただどういう影響があるかは今現在まったく掴めない。当社としては破綻はないだろう公的資金が確実に投入されて抜本的な経営改革がされて再建していくのではないかと見ている。しかし相当な痛みがあるだろうとは覚悟している。私はNHKのインタビューでも答えているが、ビッグ3が厳しい状況なので、今後開発車種が絞られ将来我々のビジネスチャンスも減ってくる。だから過度に受注辞退とか選別受注ではなくて、今こそピンチはチャンスだと捉え、今取っておけば確実にその先が広がってくるので僕はやるべきだ捉え、うちの連中にはやらしている。積極的な営業活動をしている。破綻したとしても生産は続くのですぐに影響はない。
(2)数年前と比べると日産の依存度が上がっているのでは?
→GMなど他社が落ちている影響で少し日産の比率が上がっている。
(3)自社株については償却を検討して欲しい
→考えていないわけではないが、今現在それだけの力があるかというとそこまでの力はない。今回スズキやJFEなどにも株を持ってもらったが、安定調達できたり有利な条件で調達できる、取引が拡大するなどメリットも大きい。経営としてはこういった使い方も必要だと思うが、これからは償却も考えていきたい。
(4)GMが破綻しても生産が続くのでそれほど影響はないということだが、実際破綻したら売掛金が回収できず特損が発生するなど大きな影響があるのではないか?
→いま調べている。ただチャプター11の場合、基本的に我々の持っている債権をカットするというはっきりとした決まりはない。だからどのような形になるのかよく分からないが、ただ仕事が続くのは間違いない。生産面での影響はあまりないと考えているが、資金や債権の回収にどのような影響があるのかは今現在よく分かっていないというのが正確なところ。一生懸命いろいろ弁護士などを通じてどうなるのか確認しているところだが、今すぐに債権カットとかいう話にはならないと考えている。
(5)新聞などでは現金取引が求められているなどの報道もあるが貴社はどのような取引条件なのか
→一部にはキャッシュオンデリバリーという現金取引もあるが、しかし本当にそれがいいのかは疑問。もっと言えば現金取引をするとさらに相手の体力を奪うことになり、足を引っ張ることになる。そんなことよりも再建してもらった方がその先の取引が拡大していいので、私は現金取引よりも今まで通りの条件でやりなさいとうちの連中には言っている。いずれにしても将来のビジネスチャンスは絶対に確保しないといけない!と強く私は言っている。そしてそうやっている。

厳しい環境にもかかわらずIR活動も積極的に行っていて素晴らしいですね。今期業績も他の部品メーカーと比べると落込みが小さいように感じます。ただこれは予想なので修正の可能性はありますが。GM向けにも力を入れていて大丈夫なのかと思いましたが、将来を見据えて売上拡大に取り組んでいます。その姿勢は肝が据わっていると感じましたね。ただ破綻した時の業績への影響は大きいと思うので、現在調査中というのはちょっとリスク管理が足りないのではないか?とも感じます。資金が不足して破綻の危機にあるのに、破綻しても債権カットがないというのは常識的に考えられないですね。
将来の成長のために現在リスクを取っているわけですが、説明を聞いた段階ではリスクの大きい会社だなと感じました。しかし今朝の報道では公的資金を投入し当面の破綻は回避されたので、会長のイメージするような方向に進んでいます。ビッグ3が破綻せず取引が拡大していけば将来は楽しみな会社なのかもしれませんね。PERなどから見ると株価は割安ですが利益次第でPERは変動するので、今期の業績が予想通りに着地するのかも注目です。

最後までお読みいただきありがとうございました。
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posted by Zaimax at 11:27 | Comment(0) | TrackBack(1) | セミナー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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