→ ひらまつ2012年株主総会レポート1 に続いて、後半の質疑応答の様子をまとめます。
ひらまつの株主総会に参加するのは今回が初めてですが、総会家金城さんが過去の株主総会レポートをまとめてくれています。
2008年ひらまつ株主総会 2009年ひらまつ株主総会
平松社長は還暦になり他人の話を聞けるようになってきたと言っていましたが、確かに2009年の株主総会では質疑応答を早々と打ち切るなど、株主の声を聞く耳を持っていなかったようです(笑)
総会家金城さんは2004年の株主総会から参加しているようで、当時のレポートを読むと新規出店はしているものの、既存店の売上が低迷し業績が伸び悩んでいたようです。
ひらまつのホームページで過去の業績を調べようとしましたが2009年頃からのデータしかなく、上場した2003年〜2008年頃までのデータはありませんでした。投資家に対してオープンな会社で情報開示にも積極的に取り組んでいる!という平松社長の話とは少し対応が異なります。上場当時からの決算短信や有価証券報告書、適時開示情報などは掲載を続けてほしいものです。
可能な範囲で業績をグラフ化すると下記の通りになります。

株主総会レポート1でも掲載↑ キャッシュフローや社員数推移↓

投資キャッシュフローと社員数の推移を見ると2006年まではそれほど新規出店を行っていないようです。2007年には大量出店して利益が伸び悩みましたが、2008年からは出店投資を抑えたことから利益も伸び始めて成長軌道に乗りました。
株価推移を見ても、2008年末くらいまでのひらまつは上場ゴール的なダメ会社という評価だったのが、成長性が認められるにつれて株価も上昇してきたのが分かります。2009年以降の決算情報しかホームページに載せていないのは、過去のことは忘れたい(笑)と思っている現れかもしれませんね!
それでは後半の質疑応答の様子をまとめていきます。
質疑応答 質問の数字は前が質問番号、後ろが質問者番号を表しています
(3-3)名古屋にオーベルジュ・ド・リル ナゴヤがオープンした時に株主になった。オープン日には友達も連れて行ったが、お店にも満足してその後も株を持ち続けた。今日は株価上昇のお礼を言いたくて株主総会に来た。自社株買いを発表しているが買っているのか?上限の10億円まで買うのか?
→自社株買いは行っている。上限まで買えるかどうかは皆さんが株を売ってくれるかどうか次第です(笑)
(注記)オーベルジュ・ド・リル ナゴヤがオープンしたのは2007年3月ですが、この頃名古屋でひらまつの会社説明会が開催されました。私もこの説明会でひらまつを知り、その後株主になりました。私もオーベルジュ・ド・リル ナゴヤには行ったことがありますが、入り口までで中に入ったことはありません(笑)
高級店には足を踏み入れにくいです(^_^;)
自社株買いには色々な意見があると思いますが、私はあまり自社株買いは重要視していません。
もちろん外部要因で株価が下落し、純資産割れまで売られているなら自社株買いも必要だと思いますが、PBR2.7倍という資産面から見ると割高な水準で、さらに自社株買いで株価を持ち上げるというのは無駄遣いのように感じてしまいます。出店投資に回すか配当として株主に還元してほしいと思っています。
(4-3)リクルート(採用)と社員教育はどう考えているのか?
→社員は全国から採用しており、毎年ふるいにかけて優秀な社員が残っている。
(5-3)売買単位が1株だが100株単位にしないのか?
→東証上場企業は2014年3月までに100株単位にしないといけないので、それまでには100株単位に変更する。100分割するのか200分割にするのかは今後の株価次第。
(6-4)昨年の株主総会でもMBOする考えは無いかと問いただしたが、MBOはしないと回答があった。今年もその考えに変わりはないか確認したい。
→変わっていない。私は株主数をもっと増やしたいと思っているので、MBOは考えていない。レストランに来店頂くお客様の10%ほどが株主になっており、株主数を増やして来店客も増やしたい。株主数を5万人にまで増やしたい。株式の2分割を行ったのも株主を増やすためで、株主優待基準もそのまま据え置いた。分割で増えた子株は売ってくれると思ったので、期末の株主数はかなり増えるだろうと思っていたが、皆さんなかなか売ってくれないようで株主数は減ってしまった(笑)
(注記)この株主は毎年MBOについて問い質しているようですが、余程他社で痛い目に遭ったんでしょうね。あるいは買値が上場来高値近辺で含み損なので、こんな株価でMBOされては堪らん!ということなのかもしれません。基本的に業績好調で株価も上がっている会社がMBOはしないと思います。必要な資金が多額になってしまうためです。過去のMBOを見ても業績を低迷させて株価をトコトン下げてからMBOやTOB実施というケースが大半です。質問を聞いていて、羹に懲りて膾を吹くという諺を思い出しました。
私もMBOなどで強制終了させられた痛い思い出はいくつかありますが、なんと言っても酷かったのはTRNコーポレーションですね。買取価格はPBR 0.2倍というあり得ないほど激安価格で、既存株主を馬鹿にしています。酷いのはTOBしたハークスレイですが、こんな会社に関わってしまうと疑心暗鬼になる気持ちも分からないでもありません。
TRNコーポレーション(3351)臨時株主総会レポート
株主数を5万人まで増やしたい!とは大きく出ましたが、過去5年間の株主数推移は減少傾向が続いています。株式分割してもなかなか売ってくれない!と嘆いている反面、株価が10万円超えてくると売る人が増えるので、なかなか10万円より上がらないとも嘆いていて(笑)、一体どうしたいんだろう?という感じでした。
株価が上昇トレンドを維持しつつ、株主数が増えていくことを望んでいるようです。

ひらまつの場合個人株主が99%近くを占めているので、株主数を増やすには個人投資家が重要になりますが、個人株主の比率は社長の想いとは裏腹に年々下がっています。
これは株価が上がってきたのでヤレヤレ売りが出たり、利益確定の売りが出ている影響と思われます。
一方で買っているのは自社株買いや社員持ち株会なので、株主数は減る一方です。本当に株主数を増やしたいなら、自社株買いするより増配に回した方が効果的です。株価が上昇を続ける中で自社株買いをすると、ますます株主数は減ってしまうと思います。実質的に第2位株主にまで達している自社株の活用方法もはっきりしません。消却しない限りまた市場に放出される可能性があるので、自社株の活用方法も明確にして欲しいものです。
(7-4)短中長期視点でお聞きしたい。安部政権誕生で長期金利は上がっていくと思うが、その対応なのか借入金を減らしていくと説明があった。ただ今の低金利を考えれば長期で借り入れた方がいいのではないか?
→3年も経たないうちに長期金利は上がると思う。ただ8月の参議院選挙まではまだ下がると思う。この低金利で借りないのは馬鹿だと思う(笑)ひらまつにも金利0.5%で70億円借りてほしいという依頼も来ており、長期借入を検討していく。
(8-4)長期的な成長戦略として日本文化を世界に広めるという視点で和食を海外に展開する考えはないのか?和食の料理人を雇えばひらまつで和食展開も可能だと思う。
→素晴らしい意見で、先ほどの説明でリノベーションと言ったのは、ひらまつも1つの転換点に来ていると感じるためです。戦略として海外に進出することは十分考えられる。ただ高級和食は海外ではうまくいかない。10ユーロ前後の回転寿司なら繁盛するが100ユーロを超えるような和食店は成功しない。海外では和食ブームというような報道がされているが、現地の実態とかなり異なる。高級和食のマーケットは非常に限られていて、多いのは低価格の回転寿司などです。上海でも高級和食で成功している店はなく、繁盛しているのは現地資本や韓国人経営の安い回転寿司だけ。
なので高級和食店を海外展開する考えはない。
(9-5)素朴な質問だが、売上は伸びていないのに利益が伸びているカラクリは?
→10月から新しい期が始まっているが、家賃も1千万円くらい下がっていて、クリエイティブ費も2,500万円くらい落としている。毎年コストダウンをして利益率を向上させている。
労働生産性をいかに上げるか?も重要であり、いつも社員に伝えている。労働生産性を上げることで、労働時間を短くしながら業績を上げることができる。社員の生活にもゆとりが生まれる。生産性を上げられない社員には、残念だが外れてもらう。
(注記)監査費用も聖域にせず、ゼロベースで見直して欲しいですね!
(10-5)ユーロ高が進んでいるが、ワインの仕入などで影響が出てくるのではないか?
→円が高い時にユーロに資金シフトしており、そのユーロを使って現地で直接ワインを仕入れているので問題ない。ユーロ高が進んでいるが、ひらまつは1ユーロ95円で買っているし、ユーロはまた安くなると思うのでその時にまた買えば良い。
(11-5)大阪に新店がオープンし好調だと説明があったのに、今期の計画は保守的すぎるのではないか?
→私も保守的だと思う。本音では売上を5億円ほど上乗せしたいところだが、発表した計画は確実に達成することが大事であり、その方が株主にも評価される。計画を立てたのは既存店の売上が伸び悩んでいた時期であり、先行きには分からない部分もある。この5年間も大きな出来事がたくさんあり、売上の先行きには不透明な点もある。しかし私には利益は見えている。でもこれは絶対に教えない(笑)
(12-6)取締役が1名減っているが、また増やす計画はあるのか?
→今のところ増やす予定はない。4人で十分機能しているし、結果も出ている。
(13-6)阿曽達治さんが取締役を辞めたのは何か?2,200万円貸しているようだが、辞任と何か関係があるのか?
→阿曽は体調を崩しており、長時間立っていることが難しいので取締役は辞任した。料理の考案などに問題はないので、顧問として残ってもらっている。貸付金は毎年少しずつ返してもらっており、ひらまつの株もたくさん持っているので返済に問題はない(笑)
12時16分となり、最後の質問でいいですか?と会場に問いかけ、盛大な拍手で了承
(14-7)株主優待でレストランの割引はありがたいが、ネットでワインの購入もしている。お値打ちな価格でワインが買えて嬉しいが、オンライン販売でも株主優待割引ができないか?あるいは株主には送料を無料にするなどのサービスを検討して欲しい。
→オンライン販売を10%、20%割引するのは難しいと思う。昨年の株主総会ではブライダルも株主優待で割引して欲しいというご意見を頂き、社内で慎重に検討した。その結果、割引しても大丈夫だろうという結論になり、株主本人がブライダルを利用する場合は割引することにした。
ワイン販売を割引対象にすると利益が減り配当も減ってしまうので、塩梅を見ながら考えたい。
(注記)ひらまつ2012年株主総会レポート1でも書きましたが、株主の欲望には限度がありません。あれを付けろ、おまけしろ、割引しろと言いたい放題です。まともに取り合っていたら株主平等の原則から大きく外れてしまいます。今の株主優待制度で十分だと思いますし、改善するなら割引方式より金券方式に変えてもらった方が利用しやすいのでありがたいです。
高級フレンチだと20%割引と言われてもなかなか敷居が高いので^_^;
以上で質疑応答は終了となり、議案の採決を行い株主総会は終了となりました。
年末の株主総会はなかなか参加し辛いですが、来年も可能なら参加したいですね!
クッキーなどのお土産が復活するとうれしいです\(^o^)/
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