
9月26日にはゲンキーの9月売上が発表されましたが、既存店売上の伸びは大幅に低下しています。
月次売上の現状と今後について私の見方をまとめてみましたので、下記の記事も参考にしてくださいね。

株主優待を廃止した理由について心情を吐露した藤永賢一社長に対してやり取りが続きます。
(2-5)とても率直な回答をありがとうございます。株主の数が急増した理由として、ゲンキーは信用売りができる銘柄になったが、この影響で株主優待の権利だけを取るクロス取引が増えたのではないかと思う。貸借銘柄への指定はゲンキーが申請したのか?
最近は株主優待の権利だけを取るために、権利日直前に現物の買いと信用売りを両建てする手法が人気があるらしい。信用売りができないようにするだけで株主数を半減くらいにできるのではないか、そうすれば今までの優待を継続できるんのではないかと感じる。
→貸借銘柄に指定されてから株主数が急増したのかはすぐには分からないので、前管理本部長の山形から報告する。
→(山形浩幸 取締役店舗開発部長)東証2部に上場して、東証の方から一定の基準を満たしているということで、貸借銘柄に指定したいと申し出があった。貸借銘柄になることでいわゆる空売りができ「売買高が飛躍的に伸びて適正な株価形成が見込まれます」というような説明があった。ゲンキーとしては、売買高を増やすことで適正な株価形成を図りたいという目的もあり、株式価値を上げるためにも貸借銘柄への指定を了承した。それが前期の12月20日前のことで、前期中間決算時点での株主数の増加が見込まれました。結果として1,200名から2,500そして4,000名という水準になり、我々の見込みも甘かったんですが想定を超えた株主数の増加により、株主優待にかかるコストが我々の想定した金額の2倍になるということが、今回の株主優待廃止の検討を行うきっかけとなりました。

(注記)手元にデータがないんですが、2009年12月の株主数が2,500名なのだと思います。貸借銘柄指定の影響が出るのは2010年12月以降なので、株主優待導入で株主数は4倍(1,200名から5千名弱に)に増えており、上記グラフを見る限り、貸借銘柄指定の影響はそれほど大きくないように感じます。
(藤永賢一社長)株主数を減らすために貸借銘柄の指定を止めてはどうか?という点については、流動性の観点から株主数を減らすことを会社側から進めるのはちょっと難しいと思う。上場企業としてはやはり株主数はできるだけ多くしたいと思うので、信用貸借銘柄についてはぜひ続けさせて頂きたい。
(3-5)確かにそれは分かるが、株主優待を無くしたことで株主数は減るのではないか?私が言いたいのは、本来ゲンキーを応援したくて株も長期で持ちたいという人たちは、ある程度の利益を優待なり配当なりで受け取る権利があると思う。今回の問題は、信用売りをして現物を買うことで1日だけの株主が増えたことが問題(注記:実際には両建てしているんですから、実質的には持ち株はゼロであり、本当に株主と言えるのかは疑問なんですけどね)
その1日だけの株主のために、株主優待そのものが無くなってしまうのはおかしいと思う。先ほどの説明の様に、株主数を増やすために株主優待を設けたのであれば、その方針に乗って株を買い、急に梯子を外された株主は一体なんだということになる。本当にゲンキーを応援しようとして長期で株を持とうとした人に対しては、完全に背任という形になる。私は株主優待も貸借銘柄も元に戻して、会社が健全に運営されていくのであれば、誰も困る人はいないんじゃないかと思う。貸借銘柄にこだわる必要がどこにあるのか?
→(藤永賢一社長)株主優待があるから株主になった、で株主数が増えた。それに対して背任という形になったと。確かに株主優待だけが理由でゲンキーの株主になったという人もおられるかもしれない。そういう方にとっては裏切られたと思われるかもしれない。
(4-5)株主優待はそういう目的で設定したのだから、そういう言い方はしない方がいいと思う。株主を増やすために株主優待を導入したと先ほどおっしゃいましたよね?そういう言い方は背任どころか詐欺だということになるので止めていただきたい。
→(藤永賢一社長)私が言っているのは、株主優待があるから株主になった人の気持ちについては背を向けたという風になるということです。ご指摘のあったクロス取引を使って1日だけの株主株主のために、長期保有してくれている株主の楽しみを奪うのはおかしいという点については、心の中での矛盾を感じている。信用銘柄から外し、そのような1日株主については数を減らす流れにしたいという指摘ももっともだと思う。ただ会社を長期的に発展させていくためには、一時的な矛盾も飲み込む必要がある。大きな会社で信用銘柄ではないという会社はほとんどない。ここで信用銘柄の指定について後退していくということは、ゲンキーの長期的なビジョンとは逆行すると思う。長期的にゲンキーを応援していただける株主さんに報いていくというのが当然、最大の株主還元であり、使命だと思っています。それがですね、株主優待を廃止することによって、「もうゲンキーの株には価値がない」「もういらない」というふうにおっしゃられる株主さんは、本当に長期的にゲンキーを見て頂いているかどうかは、ちょっと考えさせられる。
やはり、第1は株価、私はこれはもう80〜90%だと思っています。その次に配当、優待はおまけだと。よって今回は、この優待については廃止させて頂きたいと思います。
シミュレーション能力が一部上場企業にしてはですね、幼稚なんじゃないか、というふうにもご指摘を頂きました。株主数が増えたこと、コストが上がったこと、続けられない優待を始めたこと。冒頭に申したとおりですね、一部上場企業の仲間に、やっと今入ったばっかりの一年生でございますので、その辺も含めて長期的に当社を育んで頂きたいというふうに考えております。
今回のことで、いい勉強になりました。反省も、このひと月弱しております。
このことを踏まえて、今後は政策が二転三転しないように、始めたことは続ける、という形を取って、特に長期的に見て頂ける株主様に対しての実行についてはですね、慎重に対処し、始めたことは続ける、継続は力なり、ということで続けて行きたいというふうに思っております。
質問している株主はまだ質問を続けようとしましたが、別の株主に遮られました。
(5-6)まあ優待の話いろいろ聞きました。一点だけ確認したい。社長いま株価が一番大事だと、その次配当だと、優待はおまけと言いましたね。私もそれで結構だと思います。
それから8月22日に優待廃止を突然出して、確か2700円ぐらいの株価が今は2024円。300万株やったら、時価総額20億円分がふっとんだ。費用対効果考えたら、5千人で300万株のうち大株主が半分持っているとすると、残りの株主の平均持ち株数は300株になる。個人株主の中には100株の人もいるでしょう。JASDAQから東証2部、1部に上がるには2200人、よう分かります。言ってみればもう5000人いらないから、もう大株主だけでいいんだと。
で配当、例えばこの頃4、5%配当の会社もたくさんありますよ。株価が2000円なら配当100円です。100円出すんですか?配当重視なら。そんなら配当重視で分かりますよ。公平性とか言うなら。
しかしね、こういう田舎の小さいところから始まった会社は、個人株主が大事なんです。優待大事なんです。これがベースになるんです。5500人、1万人で生きてかなかんでしょ?こんだけ20億に見合うだけの計算して優待をふっとんだんです。ここらへんですって、一番ポイントは。それだけ一回聞かせて欲しいんですって。
おそらく100株、200株、多くて500株ぐらいの人が株主優待を楽しみにしてて、その気持ちを大事にせんと、これからの企業ちゅうのは。特にこの、こういうね、おばさんとかかみさんとか連れて行って、「優待ある」「これやったら2万円ある」「千円で買えば5年で元取れる」それで行くんですよ、100株、200株の人は。その気持ちを大事にせんと、ゲンキー発展して行きませんよ。よろしくお願いします。(中拍手)
→(藤永賢一社長)ありがとうございます。おっしゃって頂いた、ご指摘の通りだというふうに思っております。2700円台はちょっと前なんですが、株主優待廃止発表で500円ぐらい下がりました。失った分は必ず取り返します

それで、3千円、4千円、5千円ともしなったとしますよね。まあ優待なくなったけど、株これだけ上がったら、いいんじゃないの、と言われるのが使命だと思っています。
このひと月はご迷惑かけましたが、半年・一年・三年・五年では「もう昔の話だったなあ」と、「あれ止めてよかったんじゃないの」「あれから上がったなー」と言われるのがもう私の大責任だと。
それで「おい株価が上がってないやろ〜」とか「なにが5千円じゃ〜」と。それはもう私、毎年この株主総会でですね、非難を覚悟で、いや、非難されることのないように(笑)、「いや、あれからようやってるな」と「分割もして株価も前より高いね」と言われるようにですね、要するに時価総額の増大というものが最大の使命と思っております。
それで株式数を増やして時価総額が増えてもですね、希薄化してしまいお一人お一人の株主さんにはなかなかそれが恩恵として行きませんので、株式の増資につきましては、今まで3回やってるんですが、慎重に考えております。
今まではですね、「お金いるんや、店出すんや、だから増資するんや」というふうな一方的な短絡的な考えで株を増やしていたこともあるんですけど、証券会社さんには「待ってくれ、まだ慎重にやりたい」と言っています。
株価については短期的にはご迷惑を大きくお掛けいたしましたが、今後についてはですね、株主総会のたびにですね、ご発言の後の拍手ではなくてですね、「社長ようやってるなあ、拍手」となるように「言うたとおりになってる、よし」と言って頂けるように、全身全霊でやって行きます。
まだ私50歳前ですから、まだまだ体力あります。ご期待に沿えるように力いっぱいがんばります。
(6-6)私も同じ地元の丸岡から来たので、丸岡から出た会社として非常に嬉しいので、これからも応援させて頂く。いまの社長の決意、本当に来年こういう形になって、みんなニコニコになるように頑張って下さい。
→(藤永賢一社長)はい、ありがとうございます。(大拍手)
以上で株主優待に関する質問は終わりました。
なかなか興味深いやり取りが続きましたね。
藤永賢一社長も正直に丁寧に回答しているように感じます。それでもやはり株主優待廃止というのはやり過ぎだったと思います。優待コストが2倍になったのなら、株主優待制度を見直して半分とか1/3にするという方法もあったと思います。いろいろ検討したのだとは思いますが、いきなり廃止というのはやはり問題が大きくなります。今後も持続可能な制度ということで、優待金額を1/3程度に見直すというくらいが適当だったのではないかと感じます。このあたりについてどのような検討をしたのかもう少し突っ込んだ質問があればもっと理解が深まりましたね。
当初想定以上に株主優待コストが発生したのは事実ですし、権利日だけの株主が本当に株主なのか?という根本的な問題も存在しています。最初の株主が指摘しているように、1日だけの株主優待目的の株主が増大することで、株主優待制度が崩壊してしまうというのは本末転倒であり、株主優待も楽しみながら長く応援してきた株主にとっては迷惑な話というのも理解できます。株式の電子化によりすべての株は保管振替機構で電子的に管理しているんですから、株主の履歴もデータとして残せると思います。システムを見直すことでずっと株主なのか、一時的な株主なのかを分けて、株主優待を実施することも可能になってくるかもしれません。
それまでの間は、会社側が定期的に株主名簿を取り寄せ、データベースソフトなどで管理することで同様の対応は可能だと思います。株主名簿も電子データでもらえるでしょうし、株主数が5千人程度であればそれほど手間もかからないと思います。
対応策を考えれば他にもいろいろなアイデアが出てくるのではないかなと感じます。
ゲンキーについては、業績も含めて今後もチェックしていきたいと思っています。
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2011年9月8日付 ゲンキー株主優待廃止!
2011年9月22日付 ゲンキーの株主総会結果1
2011年9月23日付 ゲンキー(2772)2011年株主総会レポート1
2011年9月26日付 ゲンキーの2011年9月売上