2010年11月19日(金)14時から名古屋で開催されたVTホールディングス(7593)の2011年3月期 第2四半期決算説明会に出席してきました2Qの決算内容をまとめた前半部分のレポートに引き続き、今後の見込みについて説明のあった後半部分についてまとめていきます。
2011年3月期 通期業績予想上期の業績は2回上方修正したが、通期の計画は上期決算と併せて見直した。見直しの内容は、上期の上ブレ分を上乗せした程度です。

(注記)厳密に言うと上記の表の通り、下期は少しずつ下方修正されています。ただこれは下期を弱気に見ているためではなくて、あくまでもコンサバに保守的に見積もったものと思われます。利益計画を作る管理本部長の山内常務が、高橋社長からからかわれるほど慎重派なので、ここ最近はこのような保守的な計画を発表して、期中に上方修正するという傾向になっています。
ニュースでは10月の新車販売が大きく落ち込んでいる(40%減という過去最高の落込みのようで、マスコミの格好のネタにされていますね

)と大きく報道されているが、エコカー購入補助金は当初は9月末までの予定だったものが、予算が底をつき9月初旬で打ち切りと早まった。そのため新車販売のボトムも早まり、10月が落込みのピークになると考えている。社内でディーラー子会社の社長に聞いても、新車販売が減少するので売上は若干落ち込むが、利益は落ち込まないと言う声が多い。実際足元の
10月の状況も、売上は15%ほど前年同月を下回っているが、利益面では前年同月をオーバーしている。
隣に座っている山内常務が、コンサバな計画しか発表させないので(^_^;)、下期も保守的な計画を発表しているが、10月はこの計画を上回って推移している。
(注記)
VTホールディングスの業績見込みは、強気でイケイケの高橋社長と、慎重でコンサバな山内常務の綱引きで出来上がっています。数年前までは高橋社長の声が大きかったのか、強気の計画をぶち上げて結果は年によって上方修正になったり下方修正になったりという感じでした。最近は山内常務が盛り返してきて、堅めの保守的な計画を発表して、期中に何度も上方修正するという感じになっています。そのため、実際は俺の考えていた通りの利益になっているじゃないか、という感じで、コンサバな山内常務が決算説明会でいじめられている感じです

とはいえ今の地合いでは下方修正はかなり嫌がられるので、山内常務にはいじめに耐えて頑張ってほしいものです。
強気の社長のニュアンスでは、新車販売の落込みの底と見ている10月でも利益は計画を上回っているので、下期も発表しているコンサバな計画は上回ることができると考えているようです。基盤収益カバー率も95%という高い水準を保っており、利益率の低い新車販売が落ち込んでも、全体への影響は限定的です。利益率の高いレンタカー事業や環境事業も好調なので、利益面では上方修正の可能性が高そうに感じました。ただ、まだ下期は1ヵ月しか経過していませんし、10月が新車販売の底かどうかは現時点では分らないので、慎重に見る必要があると思います。なんか私も山内常務っぽくなってきました(笑)
10月25日に上方修正を発表し、通期の売上は900億円、営業利益は51億円、経常利益は45億円、純利益は23億円に見直したが、売上はそれほど上ブレしないと思う。(ということは逆に言えば利益は上ブレすると高橋社長は考えていることになりますね)
通期の計画をセグメント別に見ると、自動車セグメントは営業利益率が改善し、前年の5.0%から5.5%に改善する。成長市場である環境セグメントは、売上高・営業利益とも安定的に成長する。
自動車セグメントをさらに部門別に見ると、エコカー購入補助金終了により、新車販売は反動減となり、3ヵ月くらいは厳しい状況が続くと思う。逆にエコカー購入補助金終了により、中古車部門は13年超の下取車でも廃車にせず中古車市場で流通可能となるので、トラストを経由しての海外輸出など収益の機会が広がり、収益が向上する。その他の部門も右肩上がりで成長していく。
大まかに言って、10月以降新車部門の利益は1,000万円減少し、中古車部門の利益は1,500万円増加し、経費の削減は2,000万円ほどの効果が出ている。
経費削減を徹底することで、新車販売が落ち込んでも十分にカバーでき、利益は改善している経営課題昨年から事業の選択と集中を加速させている。不動産や投資事業は縮小・撤退しており、自動車販売関連事業に集中している。環境事業・住宅事業はすぐに止めるわけにはいかないが、今後も本業である自動車販売関連事業に集中していく。
新車販売に頼らない事業構造の構築については、着実に進んでいる。新車販売は商品力次第で大きく増減するので、新車販売に依存していると利益のブレも大きくなり、不安定なビジネスになってしまう。VTグループでは、全体利益に占める新車部門の割合は3割以下になっている。サービスが4割、中古車が2割、レンタカーが1割を占め、新車に依存しない事業構造ができている。そのため
新車販売が今の2割に落ち込んでも赤字にはならない。
もう一つの課題である財務体質の強化については、業績が好調なことから今期末には実質有利子負債を前期末より50億円削減し、200億円を切ることができると思う。その後も毎年50億円ずつ減らしていきたい。(
ということは計算上4年後の2015年度末には実質無借金になりますね)
2012年度末までに自己資本比率20%を目指しているが、20%でも自慢できるレベルではないので、さらに改善を続けていく。財務体質の強化についていろいろと検討しているので、うまく行けば今期末に20%を達成できるかもしれない。
海外進出国内での成長には限りがあるので、海外展開を進めていく。
インドではトヨタのディーラーに社員1人を送り込み、業績の改善を行っている。効果も出ているが、出資については相手先もあり遅々として進んでいない。2億円程度の出資だが、双日さんと共同で行っており、稟議などの社内手続きに時間がかかっているようだ。
その他では
アフリカでディーラー事業ができないか検討している。アフリカでの自動車販売に注目している会社は多いが、現地で差別化するにはアフターサービスと会社の信頼度が重要になる。子会社のトラストがアフリカで中古車事業を行っているので、このルートを生かしての事業展開を検討している。金額的には数千万円と小さいが、現地での信用がつくと考えている。
(注記)
海外展開については、過去もいろいろとコンサルティングなど行ってきましたが、なかなかビジネスに結び付いていません。商慣習の違いや外国資本の出資に制限があるなど、国内よりははるかに難しいとは思いますが、そろそろ出資をするなどして、VTホールディングスに利益貢献するような実績をあげて欲しいなと思います。相手先のあることなので計画通りに進まない面もあると思いますが、海外展開は期待が大きいだけにそろそろ具体的な形になったものを見せて欲しいですね。
安定成長の実現に向けて、財務体質の改善も着実に進めていくが、それだけでは成長できないので、バランスを考えながら成長投資にも振り向けていく。
配当・資本政策については、成長投資と財務体質の改善とのバランスの中で、株主還元も実現していく。
2012年期末までの自己資本比率20%達成を考慮しつつ、今期は10円の配当を計画している。10円というのは当社ではかなり高い配当額になる。配当利回りも今の株価ではかなり高くなっている。
一方で配当性向については20%を目処とすると言っているが、増配後の10円配当でもコンサバな今期計画に対して14.6%となっている。今期の結果が出てから、さらに増配が可能か検討したい。自己資本比率も上げていきたいので、増配とバランスを取りながら検討していく。
私が配当性向20%実現強硬論者なので(笑)配当についての考え方を詳しく説明してくれたのでしょうか。配当については過去2年ほどかなりがまんしていますので、ぜひ今年度以降は期待しています。
以上で説明は終了となり、続いて質疑応答となりましたが、なかなか質問が出ませんでした。
(1)最近カーシェアリングのニュースも増えてきたが、参入についての考えは?
→伸び率は大きく見えるが、まだ事業規模は小さいので、レンタカー事業を脅かすような存在ではない。カーシェアは会社によって料金体系は異なるが、年会費・月会費などもかかるのである程度使わないと割高になり、実は当社で提供しているワンコインレンタカーの方が安い。
また、カーシェアリングのソフト開発にも多額の費用がかかるので、静観している状況です。レンタカー事業への影響は常にチェックしており、シェアを食われるようなビジネスになりそうと判断したら参入する。
(2)下期の計画を見ると経常利益の下方修正幅が大きいが、有利子負債も減っていくのになぜ営業利益と比べて修正幅が大きいのか?
→なかなか借入金を返済させてもらえないので、有利子負債は減っていない。金融機関はお金が必要な時にはなかなか貸してもらえないが、必要ないときには減らさないでと言われる

足元金利が上昇傾向なので、保守的な計画で経常利益を見直している。これは毎年のことで、計画は支払利息を保守的に見込むので、実績では少なくなっている。今期も同様で、さらに有利子負債の返済が難しいので、このような計画になっている。金利についてはこれから交渉をしていくので、実際は計画ほど経常利益は落ち込まないと思う。
手元資金が100億円以上あるが、50億円あれば十分なので、この程度まで減らしていきたい。
「
返したいけど返せない」というのは、サラ金などから督促を受けている人のよく言うセリフのようですが、お金があっても返せないというのも困ったものですね。まあそこまで借りて欲しいと思われる融資先になったことは喜ばしいことですが、金利面では勉強してもらわないと困りますよね。
東京スター銀行の住宅ローンのように、借入金と預金を相殺してネットの借入金部分にのみ金利が発生するような仕組みなら問題ないんですけどね。
その前に一番金利が高いと思われる、GYAKUSANの転換社債の残り分8,000万円から返済交渉をして欲しいと思います。すぐに転換しないなら買取り権を行使しますよ!という強気の交渉で

以上で名古屋での決算説明会は終了となりました。
終了後に高橋社長と少しお話しさせていただきました。
私は株主還元では配当を重視しているので、
「前期は過去最高益だったのに2円しか配当していない、20%を目処と言いながら配当性向はわずか4%だ

」とブログで主張していますが、これには誤解があり、前期末にはVTホールディングス本体に配当原資がなかったので2円しか配当ができなかったということだそうです。連結では利益が出ていて、営業キャッシュフローも80億円もあったんですから、ディーラー事業の子会社などから本体に配当として還流させれば、もっと配当できると思っていましたが、そんなに単純な話ではないようです。こまかい仕組みは分りませんが、子会社にお金があるのにそれを親会社の配当原資にするのは難しいんでしょうか。
今期は前期のような配当原資が不足するという問題はないので、しっかり配当を出せますからと言われました。2Qでも増配してくれていますし、今期以降は配当も期待していますね
財務内容も良くなり、安定的に成長していて、さらに高配当
という会社になれば、投資家が注目しないはずがないと思います。そうなれば
株価も過去最高を更新
となるのではないでしょうか。
足元も利益面では順調に推移しているようですし、他のディーラーは分りませんがVTホールディングスについては、新車販売台数の落ち込みをマスコミ報道ほど心配する必要はないように感じました。
海外も含めた今後の成長を楽しみにしています。
決算説明会の感想や私の妄想などは、改めてVTホールディングス情報ブログの方に書いてみたいと思っています。
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