株主総会レポート〜その2では、VTホールディングス(7593)2010年株主総会レポート〜その1に続いて質疑応答の様子をまとめていきます。
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質疑応答 質問の数字は前が質問番号、後ろが質問者番号を表しています(敬称略)
(3-1)28期は過去最高益を更新し、1株当たり利益も54円近く出ているのに、配当はわずか2円で配当性向は3.7%、配当総額も6,800万円でしかない。エフオーアイの特損8,200万円より配当は少なく、あまりにも株主還元が少なすぎると思う。配当性向目標は20%であり、2円というのは株主還元を軽視しすぎではないか?
→2点理由があり、1点目は配当は単体決算の利益から出すが、過去の減損などの影響で単体の純資産が少なくて配当が出しにくいということです。
また前期は借入を減らすことを優先し、配当は行わない予定だった。しかし業績が好調だったので、一応2円復配とした。今期以降は20%を目標に配当を行っていきたい。
単体の純資産から配当を出すということは分かりますが、もともとVTホールディングスは持ち株会社なので、単体の純資産が少ないのは当然です。通常は子会社から配当や経営指導料などとして、配当原資を持ち株会社に集めて配当を行います。連結では十分に利益も出ていて配当原資もあるわけですから、やるかやらないかの問題だけであり、1番目の説明は配当が少ない理由にはならないと思います。
後ほどの質問にも出てきますが、役員報酬は期中から減額をやめて全額支払に戻しており、役員報酬総額1.42億円も支払っているわけですから、配当原資が無いという説明だけでは納得できません。最高益を更新しているんですから、役員報酬を満額出すのはもちろん問題ありませんが、自分達の報酬は満額だして、さらには報酬総額上限を増やす議案まで出しているのに対し、株主への還元はわずか0.68億円というのは、あまりにもバランスがおかしいし、株主を軽視していると感じてしまいます。
評価益などキャッシュが伴わない利益でかさ上げされているわけではなく、ちゃんと営業キャッシュフローも出ているわけですから、配当原資が少ないというのは言い訳にすぎないと思います。だいたい自社株買い用に1.6億円も用意できるんですから、これを配当に回せば5円近い配当上乗せが可能です。
過去VTホールディングスは手元資金を無駄な投資に回して毀損してきた歴史がありますし、自社株買いをしても株価が高くなったところで売り出しを行っています。自社株買いも自社株を使って相場を張っているようなものです。今後は本業以外の投資はしないと言い続けていますが、こんな投資に使うくらいならきちんと株主に還元した方がありがたいですし、安心できます。あくまで個人的考えですが。

すべての回答は高橋社長から

(4-1)国内での成長には限りがあると思うので、多額の資金を使って国内の自動車ディーラーを買収するより、海外ディーラーに出資する方が成長面からも資金効率面からも適切だと評価しているが、事業展開スピードが遅すぎるのではないか?タイやマレーシア、インドでは3年以上前からコンサルを行っていて、出資もしてVTの収益にも貢献すると説明していたが、いまだ出資に至っていない。中国を含めた海外ディーラー事業の現状と、いつ頃出資してVTの収益に貢献するのか教えて欲しい。
→本業である自動車ディーラー業には自信があるが、ずっとホンダ車を手がけてきたので、他のメーカーでも通用するのか分からない部分もあった。日産系の買収を行った際もまずはコンサルから入り、VTのノウハウが日産でも通用すると確認できてから出資した。堅く事業展開を行っているつもりです。国内においてはどのメーカーでも通用すると実証済みだが、海外では国ごとの法規制の違いやお客さんの動向も日本と違うので、海外に出たものの赤字になってしまった

アジア進出が流行なので乗り遅れまいと慌てて進出し、結局は失敗して帰ってくることのないように、着実に進めたいと考えているので時間がかかっている。
高橋社長の回答を聞いていると、本業の自動車販売業では慎重に事業展開を進めていることがうかがえます。一方で本業外の投資事業などでは、本業と比べると知識も少ないはずなのに、詳細もあまり確認せずにイケイケドンドンで投資して失敗しているように感じてしまいます。本来は自分達の得意な領域では大胆に決断して事業を進めますが、本業外のノウハウが少ない領域では慎重になるものだと思いますが、なんか逆のように感じてしまいます。
ただ、本業でも慎重に黒字化できることを確認してから、事業展開していくことはいいことだと思うので、海外でもノウハウが活かせて黒字化できると立証できているなら、事業展開スピードをそろそろ加速させて欲しいと思います。高橋社長を見ていると、ひじょうに慎重な面となぜこんな訳の分からない投資をしているのか


(5-1)タイとマレーシアでの展開については最近説明がないがどうなっているのか?
→タイとマレーシアのディーラーは同じ会社が運営していて、1年間コンサルを行い黒字化できた。出資比率の調整なども行っていたが、相手先が自分達で経営したいという要望が強くなり、手を引いた。
そんな事情があったんですね。どうりで最近説明がないわけです

(6-1)昨年8月の転換社債3億円の発行についてお聞きしたい。目的は借入金を返済して財務内容を改善するためということですが、2009年3月末で364億円も借入金があったのに、このタイミングでたかだか3億円ほどをなぜ転換社債で調達する必要があったのか?また、借入金の金利は1%〜1.27%程度なのに、発行した転換社債は年5%という高い金利を支払う必要がある。さらには92円という安い価格で株式に転換する権利も付いている。1%程度の金利で借りていたものを金利5%の社債に借り換えるのはおかしいのではないか?8月7日の払込み以降、8月10日、9月24日、11月9日と業績の上方修正を次々と発表しており、転換社債の発行を検討していた段階で業績が好転していることは分かっていたのではないか?もう少し待てばもっと有利な条件で資金調達できたはずであり、高い金利と低い転換価格という有利な条件で発行したのは、引受先に対する利益供与ではないか?
→転換価格については基準日を決めて設定しているので、基準日時点では有利発行というわけではない。発表前は50円台で株価が推移しており、当時は転換社債を発行すると株価が上がるという傾向があったので、理由は分からないが株価が上がっていく中で転換価格が決まった。
業績修正についてもリーマンショックの影響が読み切れなくて不透明な部分もあったので、バラ色の計画を発表するわけにはいかず、堅めの目標を発表していたので、期中に何度も上方修正することになった。しかし発表時点では(上方修正の可能性を)理解していたわけではない。
たった3億円ということだが、当時は金融機関の経営も苦しい中で当社としても資金調達の多様化をしたいと考えていた。3億円という金額より調達先の多様化の方を優先していた。発行したのは8月だがそれ以前から検討をしていたので、当時は最善の方法だと考えた。今となっては転換価格も低くて金利も高いが、当時はやらないよりはやった方がいいという判断をした。
「転換社債を発行すれば株価が上がる」ということは、引受先のGYAKUSANからすると、引き受ければ株価が上がり儲かる可能性が高いということになります。たぶん転換社債の発行を働きかけたのはGYAKUSANだと思うので、GYAKUSAN主導で決まったスキームなんでしょうね。5%という高い金利の転換社債なんてふつう考えられません
通常転換社債(以下CB)は株式に転換する権利が付いているので、金利はゼロだったり借入金利を下回る低金利で発行することが一般的だと思います。金利が低いので引受先はそのまま保有していてもあまりメリットは無く、株式に転換する動機付けになります。発行会社も株式に転換されると、社債を償還する必要が無くなり資本に組み込まれるので、株価が上がって転換が進めば両社にとってメリットになります。
今回のCBは5%という信じられないほど高い金利が付いているうえに、92円という安い価格で株式に転換することもできるので、引受先にとって非常に美味しい商品になっています。いつ株式に転換しても儲かりますが、転換してしまうと金利はもらえなくなるので、転換期限ギリギリまで転換を控えて金利をしっかり受取り、転換後には売却益も得ることが出来ます。唯一のリスクは倒産だけですが、その場合でも債券なので、株主より優先して返済を受けることが出来ます。株価が92円を下回って推移すると売却益はありませんが、VTホールディングスは1.6億円の自社株買いを発表しているので、残存している1.5億円分の転換社債でも利益が出やすい構造になっています。仮に92円を下回ったとしても、この低金利の時代に5%という高い金利を受取れるのですから、文句はないと思います。こんな高金利を支払わされ業績にマイナスになる、その他の株主にとっては迷惑な話だと思いますが

最近株価が頭打ちなのは、GYAKUSANが転換した株を市場で売っているからです。これをVTホールディングスが自社株買いで買い支えるとしたら、まさに市場を経由させた利益供与の様に感じてしまいます。
(7-1)GYAKUSANについて、転換社債発行時のプレスリリースで「GYAKUSANとは未公開株に対する投資の仲介を受けているが、まだ成功報酬は発生していない」と書いてある。ということは、仲介を受けて買った未公開株では損失が発生しているということだと思うが、GYAKUSANとはどんな会社なのか?また紹介されて多くの未公開株を買っているのか?本業に集中するということなのに、なぜ未公開株仲介のコンサルを受ける必要があるのか理解に苦しむ。まだ未公開株へ投資して儲けようと考えているのか?
→未公開株に投資をしていくことは今後はありません。現状では持っている未公開株も金額は少ないので、今後損失が拡大することもない。GYAKUSANについてですが、社名は異様かもしれないが元々大手証券会社にいた人が始めた会社で、いかがわしい会社ではない。以前にはT&G(テイクアンドギブニーズのことでしょうか?)など複数の上場企業で転換社債を発行した実績もある。どこからCBを出そうがこちらとしては関係ないし、けっしておかしな会社ではない。
(株主)GYAKUSANとは未公開株の取引があるんですよね?
→(管理本部担当の山内一郎常務取締役と相談して)過去には未公開株の紹介を受けて投資したことがあるが、もちろん大きな金額ではない。
(株主)エフオーアイへの投資とは関係ないのか?
→関係ない
過去にはGYAKUSANを通じて未公開株を買っているということなので、VTホールディングスの損失になっていると思います。GYAKUSANは未公開株の仕入値より高くVTに転売していると思うので、この部分でも儲けていると思います。未公開株への投資勧誘では儲からなくなってきたので、次なる手として転換社債発行の提案をしてきたのでしょうか?どういった経緯でGYAKUSANとの付き合いが始まったのか分かりませんが、VTホールディングスにとってGYAKUSANとの取引が利益になっているのか、疑問を感じてしまいます。
どうもVTホールディングスは「大手証券会社」というブランドに弱いように感じます。エフオーアイの件もそうですが、大手証券会社はサブプライム問題でも明らかになったように、自分たちが儲けることしか考えていないので、もっと慎重に検討する必要があると思います。なぜ本業ではあれほどまでに慎重な会社が、金融商品については詰めが甘くなってしまうのでしょうか?本業以外の会社との付き合いは極力止めて欲しいものです。
(8-2)役員報酬を30%減額するという発表があったが、元に戻したという発表はないのでまだ減額が続いていると思うが、いつ頃元に戻す考えなのか?株主への配当と関連するかもしれないが、この点について説明して欲しい。
→4月に減額したが9月には戻した。開示義務はないので発表していない。2回目の上方修正をして業績も安定していると判断したので報酬は元に戻した。
報酬減額の発表はしっかりとアピールしているのに、元に戻すのはこっそり


(9-2)環境事業のE−FOURは単一の商品で勝負しているが、単一商品ではそのうち売れなくなる。新商品など開発しているのか?また現商品の特許はいつ頃切れるのか?
→単一の商品だが、中身は常にアップグレードしていて、その都度特許も申請している。5年前に出した特許もあれば1年前に出したものもあるので期間はバラバラだが、少なくとも10年以上は残っている。
ただ本業ではないので、どんどん投資をして拡大するのではなく、いまある商品をきちんと売って収益を上げていく事を考えている。日本では人気がないが海外からの引き合いは多いので、海外中心に伸ばしていく。もうひとつLEDのような照明で、液晶のバックライトに使っているものを蛍光灯に代わる照明器具として取り扱いを始めている。
以上で質疑応答は終わりました。出席者数が少ないうえに、半分以上は取引先と思われるので、盛り上がらないままに質疑応答は終了となりました。もう少し突っ込んだ質問が必要だったのかもしれませんね

毎度のことですが質問にはすべて高橋社長が回答しています。他の取締役からの発言があってもいいと思うんですが、なぜか社長しか発言しません。
質疑応答を通じて感じたのは、積極的に開示していないことがいろいろとあるんだな〜ということです。もちろん開示義務はないので法的には開示しなくてもいいのかもしれませんが、都合の悪い情報もきちんと開示して欲しいものです。役員報酬の件など端的に表れています。業績がいいのに株価になかなか反映されないのは、GYAKUSANが売っているという要因もありますが、このような企業姿勢が反映されている部分もあると思います。不透明なものには手を出さず、もっときちんとした会社になって欲しいと思います。議案審議では質問もなく、50分弱で株主総会は終了となりました。
引き続きプレゼ画面を使っての会社説明会が行われました。私はすぐに退席したので、どんな説明があったのかは分かりません。最後まで出席された方の情報をお待ちしています。
例年の会社説明会では、決算説明会で使用したスライドから抜き出して、説明することが多いように感じます。説明会を開くのはとてもいいことだと思うので、もっと多くの株主に聞いてもらえるためにも、参加しやすい株主総会の検討をお願いしたいと思います。
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株主総会後に行われた「会社説明会」の冒頭の様子
