2010年4月28日(水)10時30分から墨田区錦糸町の 東武ホテルレバント 4階 錦の間で開催された東京楽天地(8842)の株主総会に行ってきました。このレポートでは、東京楽天地(8842)2010年株主総会レポート〜その1に続き、後半の質疑応答の様子をレポートします。
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質疑応答 質問の数字は前が質問番号、後ろが質問者番号を表しています(敬称略)
(7-3)東京楽天地は知名度が低く楽天の関連会社と思われているくらいだ。株価も低迷しているが、個人投資家向けの会社説明会を開くなどIRについてはどのように考え、取り組んでいるのか?
→(PR活動と勘違いしたようで)駅前立地で自然とお客さんが来てくれたので、今まで販促活動も何もしてこなかった。慣れていないので手探りで「チケ得」、「グルメスタンプラリー」などいろんな販促策を始めている。もう少し長い目で見てほしい。
(株主)PRではなく個人投資家向けのIR活動について聞きたいんですが。IR活動をしていないので、株価も低迷しているのではないか?
(山田社長)
IRはこれからやりますよ。見ていてくださいっ
とかなり力強いお言葉が

会場からは本当に

という苦笑いも広がりましたが、本当にIRにも力を入れてくれるなら嬉しいことですね

と思ったら、慌てて事務局からメモが入りました

(山田社長)現在でもホームページで決算短信などを開示するなど全株主への情報提供を行っている。有価証券報告書の開示にも力を入れていくのでご理解いただきたい。
そんなことどこの会社もやっています
今どき、
ホームページに決算短信を載せているのでIR活動は十分です
と堂々と株主総会の想定問答に書いている会社があるんですね

驚くと同時にがっかりです。歴史ある会社だけに、社内の意識も10年以上遅れているようです

山田社長のやりますっ

という言葉が本当なのか、それとも事務局の圧力に屈するのか、1年間見守っていこうと思います。
この時点で11時22分で、山田社長がチラッと時計を見たので、厳しい質問が続いているし、そろそろ打ち切られるのかとヒヤヒヤしました

(8-4)ここまでの質疑応答を聞いていても、報酬に対する疑問の声が多い。役員報酬が9名で2.1億に対して、配当総額は3.7億、このバランスは本当に適正なのか?業績と比べて適正なのか?従業員給与と比べても適正なのか?と考えると高すぎるように感じる。先ほどIRについて何度も質問があったが、IRらしい説明はまったくなく、IR活動が全然分かっていない。社長にももっと勉強してほしい(社長も苦笑い)
→役員報酬は内規で決めて支給している。会社の規模から考えてもそう高くないと思う。
(9-4)国際会計基準が今後導入されるが、包括利益の概算額を教えてほしい。包括利益は株価への影響も大きいと思う。
→(中澤取締役)最近話題になっているが、包括利益は保有株の含み益なども含めた新しい利益で、今年の決算から新しい基準が採用できるようになった。まだ採用している会社は少ない。義務化はまだ先なので包括利益は計算していない。
(10-4)映画興行が東宝作品中心で、仕入れが受動的すぎる。楽天地の映画館に行ってもいつもガラガラだ。シャンテなどは満杯の時もある。稼働率はどの程度なのか?もっと危機感を持って、人気が見込める作品を投入して欲しい。
→(森瀬幸雄常務取締役興行担当)4年前に東京建物が楽天地シネマと400mくらいしか離れていない場所に、オリナスを建てるとことになり、そこにヴァージンシネマ(今は東宝傘下になった)が出ることになった。そんな近距離に大きなシネコンができると、楽天地シネマは壊滅的な打撃を受けるので、東宝などと危機感を持って対応して、90%ヴァージンだったのをひっくり返した。この近距離で8館+8館では多すぎるので、楽天地シネマの4館を閉鎖し合計12館体制にした。これで効率的に運営できる体制ができあがった。ガラガラの時もあるが、アリスインワンダーランドでは、初日・2日目で全国5番目になった。東宝シネマズの1週目の大記録を作り2,800万円を売り上げた。これでもいつもガラガラと言えるのか?空いている時もあるということです。東宝作品が多いのは東宝のヒット作が多く興行界を引っ張っているためで、東映作品でも4千万円ほど稼いだし、「おくりびと」など松竹の作品、角川映画も上映している。東宝作品だけでは12スクリーンに番組を組めない。単館作品はシャンテなど館数を絞って公開しているので、満杯のこともあるかもしれない。ただ全国興行できるような作品ではない。
座席の稼働率は、記録的大ヒットだった「千と千尋の神隠し」でも平均稼働率は4割くらいです。
12館で2,400席あり、
稼働率は平均すると20%後半から30%くらいというのが現状です。
1人で何件も質問する人が多いためか、再度1人1問でお願いしたいとの発言がありました。
(11-5)映画が好きで株主になっているが、増配できないならせめて株主優待を元に戻してほしい(会場から大きな拍手)
→興行会社は、一般招待券と株主優待券を出していたが、海外の配給会社から、招待券を出すなら興行会社が入場料を払え

と強行に言ってきた。営業などで使っていた一般招待券は一切止めた。株主優待など株主還元だけはご勘弁願いたいと無理にお願いして、しぶしぶ納得してもらっている状況です。なんとか株主優待だけは守っているというのが興行会社の現状なので、ご理解いただきたい。
(株主)だとするとすべての興行会社が同じ条件のはずだが、東急レクリエーションでは株主優待が変わっていない。海外の配給会社からは同じように言われているはずであり、他社では変わっていないのに、東京楽天地だけ株主優待が半分になるのは、努力が足りないのではないか?
→(伊藤省吾代表取締役専務)東レクのことはよく分からないが、東京楽天地はスクリーン数も12と少なく、スクリーン数に対して株主優待券が多い、と外国の配給会社から指摘される恐れもあり、数年前に半分にした。他社の状況はよく分からないが、ご理解いただきたい。
(株主)東急レクもスクリーン数は東京楽天地と変わらない。向こうはスクリーン数が多くて、うちは少ないという言い方だが、しっかりとスクリーン数も把握して答えてほしい。知らないけどご理解くださいでは回答にならない!(会場から拍手)
→(伊藤専務)東レクさんは109シネマズもあり、当社より数倍の規模があり、株主優待をそのままにしても問題ないと判断したのかもしれないが、当社は12スクリーンなのでご理解いただきたい。
(株主)よくご存じないようなので私から説明させてもらうと、東レクも前まではA券(都内の直営会館のみ)・B券(109シネマズでも使用可能)に分かれていたが、今回から共通化して株主優待制度が使いやすくなっている。スクリーン数の問題にしているが、楽天地の12館と東レクのA券使用館を比べると、楽天地の方が多いので、今の説明はおかしいと思う。
→(伊藤専務)他社の状況は分からないが、当社はA券・B券の今の枚数基準を守っていく予定で、元に戻すことは考えられない。
質問者の指摘の通りで、今の株主優待制度は本当に使いにくくなっていると思います。まだ東京の株主はいいですが、急に株主優待制度を変えられて、地方の株主はどう使えばいいのでしょうか?わざわざ毎月交通費を払ってまで錦糸町まで映画を観に来い

ということなんでしょうか

ぜひ
東京楽天地もA券・B券を統合して使いやすくしてほしいと思います。
手振りもまじえながら元気良く回答する山田啓三社長 
いい人だと思うんですけどねぇ
かなり厳しいやり取りが続きましたが、現状の株主優待でも外国の配給会社からクレームがあり、精一杯がんばっている状況だと強調していました。しかし今までの回答から考えると、本当に半分にしなければいけなかったのか?というと甚だ疑問です。株主には詳しいことは分からないのをいいことに、外国の配給会社のせいにして乗り切ろうとしているのかもしれません。回答からも株主優待を半分にしろとまでは言われていないようで、言われるかもしれないから自ら半分にしたという感じです。これは外圧を利用して株主優待を半分にしてしまおう

というのが真相なんじゃないかな〜とも感じてしまいます。
今回から株主カード方式に変更になりますし、年々株主優待が使いにくくなっていきますね

(12-6)浅草の再開発は昨年の株主総会ではホテル事業を行うと説明があった。先ほどの説明だと発表できる段階ではないということだったが、白紙になったのか?スカイツリーは12年にできるので、タイミングを逸せずに事業を始めて欲しい。
→上層階がホテルで下層階は商業施設という方向性は変わっていない。開発案について喉元まで出てきていて言いたいところだが(笑)、色々と諸事情があってまだ発表できない。
(13-7)株主優待をカード方式にするのは理解できない。たくさんの優待券が届くので1人では使いきれない。やむを得ず他人に買ってもらったりあげたりしている。株主優待券を出すということは、発行した時点で枚数などは決まっていることなので、それを誰が使おうが会社には関係ないのではないか?(拍手)
少数株主でも優待券を売ればお小遣い程度にはなったのに、株主カードなどのコストを掛けてまで一方的に変更するのは納得できない。こんなことよりもっと業績を上げることに知恵を絞ってほしい。
稼働率が20%程度なのに、株主優待の使い勝手を悪くするのはおかしいのではないか?いまの株主優待制度は撤回して、元の制度に戻して欲しい(会場から拍手)
→株主優待券については、各興行会社が悩みに悩んでいる問題で、金券ショップに株主優待券がたくさん流れている。興行会社はお客様に入場料を払ってもらって事業が成り立っている。前売り券でも1,300円で販売しているのに、それ以上に安く買って映画館に入場するのは、ひいては株主の不利益にもなる。全興行会社が色んな対策を考えているのが実状なので、ご理解いただきたい。
(株主)株主が儲けているという発想はやめたほうがいい。株主優待券を発行した段階で業績への影響は織込み済みのはずだ。
→株主優待券は非売品と書いてあり、株主さんに映画をご理解いただくために提供しているものなので、利用方法を守って欲しい(会場から拍手)
この時点で11時48分で、議長から「質問が出尽くしたので最後にしたい」との発言がありました。
(14-8)株主優待制度はどう変わるのか?株主証明書が送られてくるのか?
→株主カード方式に変わり、カードと優待券の番号が一致すると入場できる制度になる。
(株主)ではカードを忘れると映画を観れないのか?
→基本的にそういうことになります。
(株主)私のかみさんは映画を観ることができるのか?
→カードと優待券の番号が一致すれば誰でも映画を観ることができる。
(株主)かみさんしか三越カードを持っていなくて、時々借りて美術展などを見に行くが、返し忘れて怒られる事がある。映画のカードでも同じようなことが起きるのではないか?
→返し忘れのないようご注意いただくしか...
(株主)3千株だとカードは何枚くるのか?
→3千株だと株主カードとファミリーカードの計2枚が送られてくる。
(株主)それじゃあ問題が起こらないということですね

最後の質問はホームページを見れば分かることで、最後の1人という貴重な機会に質問することなのかな〜と少し疑問に感じます。もっと他のことを聞きたかった人もいたと思うんですけどね

まあ家族仲良く映画を楽しんでください

以上で質疑応答は終了となりました。
事業報告での山田社長は、ずっと下を向き原稿をぼそぼそとそのまま読んでいて、この社長で大丈夫かなと少し心配になりましたが、質疑応答になると生き生きと回答していて安心しました。回答後には、「以上の回答でよろしいですか?」と確認していて、この点も好感が持てますね

しかし回答内容は、私の感想を見ていただくと分かる通り、あまり評価できません。
どうせ株主なんて何も知らないだろうから適当に答弁しておけばいい、という態度が感じられ、一般的な回答でお茶を濁されているように感じてしまいました。質問(6-3)や(7-3)、(11-5)あたりで特にそのように感じましたね。なのでその後の回答は、本当に真剣に答えているのか疑いの目で見るようになってしまいました

そんな感じなので、質問者も回答に納得せず再質問する場面も多く見られました。よく調べて質問している株主が多くて、山田社長が回答に困るような場面もありました。ただ、無理やり議事を進めてしまおうという態度はなかったので、この点では評価できますね。
IR活動についての回答もひどいですね。今までこれといったIRも行っていないので、株価も低迷して流動性も低いままです。それなのに「これからやります

見ていてください

」と大見得をきり、会場からも本当かな〜と苦笑いがもれていました。本当にIR活動に力を入れてくれるんですよね?来年の株主総会までしっかりチェックしますよ

社長の回答に対し事務局が慌ててメモを渡していたので、あまり期待できないかもしれません(笑) 少なくとも事務局は現状以上のIR活動を行う気はないようです

事業を展開している地域が、錦糸町から浅草にかけての東京東部で、今話題のスカイツリー関連なので、うまくIR活動を行えば東京楽天地に注目が集まると思いますし、こんな株価で留まっているような会社ではないと思います。
だいたい減収減益が続いているのに役員賞与を支払ったり、役員を増員するとは株主を軽視しているとしか思えません。コスト管理が甘く役員お手盛りの会社と言われてもしょうがありません。
安定した賃料収入があり赤字になるような会社ではないので危機感が足りず、減益でも役員ボーナスを出しているんでしょうね。減益という結果しか出せないなら、本来なら役員報酬カットだと思うんですが、ボーナスまで支払うとはね

不動産などの優良資産もあり、うまく経営すればもっといい会社になると思うのに、安定株主に守られ、そこから天下ってきた役員が高い報酬をもらいながら余生を送り、次の天下り者にバトンタッチするというような会社に感じてしまいます。
余生を送る会社だからどうしても事なかれ主義になってしまい、東京楽天地の成長も限られてしまいます。
先日話を聞いてきた経営コンサルタントは、
親会社から社長を送り込むなら、ローソンの新浪社長のように、親会社の将来の取締役候補を送り込み、社長としての経験を積んでもらうという考え方が必要だと思います。子会社で力を発揮できなければ、経営者としての能力がまだ足りないということで、再度出直しとなります。送り込まれた社長は子会社で成果を出せば、親会社の取締役として戻ることができるので、精一杯子会社の経営に取り組みます。結果として子会社の業績も良くなり、親会社の連結決算も良くなりますし、送り込まれた社長も経営者として大きく成長します。子会社も業績が良くなるので子会社株主もハッピーで、すべてのステークスホルダーがハッピーになります。
親会社から役員を送り込むなら、ぜひこのような視点で考えてほしいものです。
役員の回答を聞いていても、周りを気にする横並び意識の強い旧態依然とした歴史ある会社、という感じがして残念でした。
話題性のある浅草再開発計画を大々的に打ち出し、個人投資家向け説明会も積極的に開催して投資家にアピールし、株価も人気化するのか

1年間見守っていこうと思います。
それにしても株主優待制度の変更はひどいですね

東京以外の株主のことなんてまったく考えていないようです。今は
A券・B券に分かれている株主優待券を統一して全国で使えるようにするか、B券(東京楽天地の直営会館で利用可)は株主カードがなくてもOKにして欲しいものです
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