2010年3月30日(火)10時から東京恵比寿の 恵比寿ガーデンプレイス内 ザ・ガーデンホール3階で開催されたサッポロHD(2501)の株主総会に行ってきました。
サッポロホールディングス(2501)2010年株主総会レポート〜その2 では、
質疑応答の続きをレポートします。
質疑応答 質問の数字は前が質問番号、後ろが質問者番号を表しています
(6-3)私はサッポロビールの大ファンです。今日は企業価値の向上策について聞きたくて来た。女性もたくさんの人がビールを飲むのに、両社の提案ではどちらも取締役候補が男性ばかりだ。ダイバーシティについて考え方を聞きたい。
→(福永勝取締役サッポロビール社長)グループを挙げてダイバーシティ元年として取り組み始めてから3ヵ月になる。女性の活用も重要と考えているが、現状では役員も事業部長にも女性はいない。今後女性も登用できるよう取り組みを進めていく。
(上條努常務)サッポロでは採用・活用・配置で男女差はない。社会的要請も高まり、ダイバーシティ多様性を活かした取り組みを進めている。管理職570名中女性は11名とまだ少ないが、今後さらに女性を活用していく。
(社長)数年前から女性だけの開発チームを作って
ショコラブルワリーなどを開発している。今年の新入社員は男女を半々にした。従来から比べると大幅に方針を変えた。従来からすると相当思い切った施策だが、このくらい思い切ったことをしないとという考えで方針変更した。今後も女性の活用を進めていく。
上條常務の説明では採用でも男女差はないということでしたが、昨年までは圧倒的に男性を採用する方針だったようです(笑)今後に期待ということですね。
続いては書面質問をした株主が登場です。村上社長は書面質問への回答時にこの株主を確認していたので、それを分かった上で再度指名したことになります。他にも手を挙げている株主は多くいました。
(7-1)取締役候補の内藤さんはポッカの株主から一株純資産(BPS)を下回る価格で無理やり株を取り上げた人物です。しかも無理やり取り上げた直後に業績の上方修正をしている。MBOは経営者による買収なので、上方修正を知っていた可能性が高い。それにもかかわらず上方修正前の低い時価を使って株を取り上げるのはいかがなものか。この点について村上社長から回答頂きたかったが残念だ。先日品川で行われたスティールの説明会でも同じ質問をして、キャッシュフローからみて適切な価格だったとの回答をもらったが、純資産を下回っているわけで、都合のいい指標を使って決めるのは許せない。その直後に上方修正を行っているのでそのキャッシュフロー自体おかしい。内藤氏はアドバンテッジパートナーズと組んでMBOを行ったが、アドバンテッジパートナーズはレックスやカネボウも買収している。私は両社とも株主だ。レックスは30万円だった株価を下方修正して下げたところで買収したので、23万円という安い価格で株主から無理やり株を取り上げた。裁判となり31万円という判決が出たが、結果が出るまで長い時間がかかった。こういったことをアドバンテッジパートナーズはやっている。さらにカネボウではもっと酷い。 などなどカネボウ買収時のひどさを延々と熱弁していました。
(村上社長)あの〜株主様の発言中ですがもう少し簡潔にお願いしたいのと、内藤さんの件はともかく、アドバンテッジパートナーズは当社とは関係ないので拡大解釈ではないか。サッポロの株主総会にふさわしい発言をして頂けるとありがたい。
(株主1)内藤さんはこのように徒党を組んでやってきた実績があるのでサッポロの役員としてはふさわしくないと思う。社長の考えを聞かせて欲しい。
→スティールの提案理由では、内藤氏は飲料業界の経験も豊富でサッポロの取締役としてふさわしいということだが、
ポッカ社長時の7期をみると株価は相当下げている。飲料セクターの株価推移やトピックスなどと比べてもパフォーマンスは悪い。業績も低迷して赤字の期も相当何回もある。この方がサッポロの経営者になっても力を発揮できるとは思えない。この点も含めて我々はスティールの提案に反対している。

村上社長の任期5年間の上場ビール3社の株価推移は

の通りです。ここまで内藤氏を批判していますが、自社の株価についてはどう考えているんでしょうか?社長就任時のシェア3位から今では4位に転落し、時価総額もサッポロだけ5年前を下回っています。内藤氏からすれば、あなたにここまで言われるとは思ってもみなかった(笑)という感じじゃないでしょうか?
私も内藤氏はまだサッポロの取締役になる準備が十分できていないように感じましたが、それにしても自分のことは棚に上げて、他者を批判するサッポロ経営陣の姿勢には疑問を感じますね。
まさかとは思いますが、自社の株価を見ていないんじゃないでしょうね
そして途中で制止されたものの、スティールとは関係ないアドバンテッジパートナーズのことを延々と批判するのはいかがでしょうか?いくら不満があるからといって、何の関係もないサッポロの株主総会で自分の不満をぶちまけるのは筋違いだし、聞かされる方もうんざりだと思います。質疑応答は12時過ぎに打ち切られたので、この質問で時間を使ったために質問できなかった株主もたくさんいます。株主総会は不満をぶつける場ではなく、建設的な意見や質問をする場です。質問する側ももう少し考えて欲しいですね。
(8-1)私はアデランスの株主総会ではジョシュアさんに投票している。ジョシュアさんにはアデランスの経営に専念して欲しい
→(ジョシュア)双方の業務の兼任は十分できる。両社の筆頭株主であり、株主の皆さんと同様高い目的意識を持っている。サッポロの株主総会なので、ポッカや内藤氏のことばかり語るわけにはいかないが、(取締役候補の)内藤氏がポッカの社長に就任した時は赤字だったが、その後様々な改革を行った。国際飲料ビジネスでも貢献され、シンガポールなどの東南アジア市場を開拓した。また任期中に負債を大幅に圧縮した実績もある。我々の業界では、ポッカのMBO価格は時価に適切なプレミアムを載せた価格だったと考えている。そしてすべての株主が不満なく応募されたと考えている。我々の取締役候補者には一人たりとも企業価値を毀損するような人は選んでいない。
(村上社長)言いたいことはたくさんあるが、今までも主張してきているので、この場では控えさせて頂く。
この株主はファンドが買収した会社に悉く投資しているんですね!ファンドがプレミアムを付けて買い取るのを期待して、先回り買いをする投資手法なんでしょうか?
(9-4)(第2会場)第4号議案には反対だ。他社は制度を廃止している。前回のスティール提案時には制度が時間稼ぎに使われたと思う。本当に株主の視点に立っているのかは甚だ疑問だ(会場から拍手)
→(加藤取締役)どちらの提案に賛成するかは株主に判断してもらうのが基本なので、十分な情報と時間が必要と考えている。現在のルールは買収を阻害するものではなく、適正なルールに見直してきている(会場前方右側から大拍手)
(村上社長)ホームページ等で案内しているが、質問を受けてから10営業日以内に回答している。やり取りが長くなったのはスティール側の都合であり、サッポロが回答を引き伸ばしているのではない。買収防衛策は株主にとって有益だと考えている(またまた会場前方右側から大拍手)
この拍手はなんとかならないのでしょうか?会社側が発言するたびに大拍手というのは耳障りですね。この大拍手の中、負けじと大声で何か叫んでいる人がいましたが、後にしてくれといなされていました

第2会場で質問を希望する人は、第1会場に来て質問待機席に座って指名を待つ形式でした。質問希望者がいると、事務局を経由して村上社長に伝えられるようですが、社長が指名しようとしても質問者がいないケースが何回かあり、連絡がうまくいっていないようでした。
(10-5)第5号議案で原史郎氏を提案しているが、ニューシティーレジデンス(NCR)はJリート破綻の第一号だ。どんな点で有能だと判断したのか?村上社長にはどういう点で不適切なのかお聞きしたい。
→(スティール)原氏がNCRの経営に関わっていたのは2004年までで、破綻するずっと前です。
(村上社長)株主の言う通りで私も適切でないと思っている。
(11-5)業績に与える為替の影響や想定レートなどを教えて欲しい
→(田中取締役)想定レートは米ドルは90円、カナダドルは82円、ユーロ135円と設定している。為替の影響は輸入(仕入面)では円安がマイナスとなり、1円円安で米ドルで2千万円、ユーロで1,500万円の影響がある。在外子会社の損益に与える影響は円高だとマイナスとなり、1円円高で米ドルで200〜300万円、カナダドルで1,700万円です。
(12-6)(第2会場)恵比寿ガーデンプレイス内のスポーツクラブに入会しているが、年会費を払っているのに1回当たり300円を取られるようになった。高い年会費を払っているのにおかしいのではないか?質問というより怒り不満を申し上げた。それよりもサッポロがひっくり返っては困る。JALのようになっては困るということで質問に立った。今後も健全であって欲しい。
→クラブ@恵比寿?はテナントであり経営は異なる。要望は伝えておく。今後も株主価値の向上に力を入れていくので、ご支援をお願いします。
(13-2)(最初に質問した株主で、本当はスティール側に質問したかったが待たされた)昔のサッポロの株主総会では、各地の販売店の社長が出席して、サッポロを激励していた。横浜の説明会にも参加したが、スティールの提案のいくつかは対処すべき課題にも入っている。今後も筆頭株主であり続けるということだが、親子代々株主の我々のようにスティールさんもサッポロを愛してくれるのか?それをお聞きしたい。
→(スティール)ご質問ありがとうございます。株主様が長期の株主であることはよく分かりました。私どもは今の株主様ほど長い株主ではないが、我々も長期の株主としてサッポロの商品や人、ブランド価値にたいへんな敬意を払っているし、今後も長期の株主としてあり続けたいと願っている。
(14-7)(女性)株主優待をとても楽しみにしているが、できれば年2回にして欲しい。日清食品も年2回にしてから株価が安定している。たくさん欲しいというのではなくて、新商品などを販促代わりに届けてくれると(口コミなども広がり)営業にもプラスになると思う(大きな拍手)
→2回にすると株主への還元が増えることになるが、我々もそれぐらいのことができるよう企業価値を上げていきたい。提案については会社側からのメッセージの出し方なのかなと思ったが、新商品の株主様への告知については、多面的に検討していきたい。
(15-8)スティールの資料はグラフも多く分かりやすいが、サッポロは文字ばかりで、信頼性がないとか間違っているとか反論だけだ。具体的にどこが間違っているのかも示していない。反論する気がないのか、あるいは反論できないことがあるのかと疑ってしまう。本当に反論できるならちゃんとデータを示して、徹底的にスティールを叩きのめすくらいの資料を用意して欲しい。私の結論としては社長としての的確性を疑うという結果になってしまう(拍手)
→我々の説明の仕方が十分じゃなかったというか分かりにくかったと思っている。今回はひじょうに危機感を持って対応してきたつもりだが、説明の仕方などまだ十分ではないということなので、真摯に受け止めて対応していきたい(了解という掛け声と盛大な拍手

とりあえず社長の発言には盛大な拍手で応えておけという感じです

)
この時点で12時3分ですが、『だいぶ審議も進んできたので、あと1人程度にしたい』という議長発言がありました。12時を質疑打ち切りの目安にしていたようです。
(16-9)先ほどの質問にしっかりと答えていないが(レポートその1の質問(5-2)を指していると思います)賛否が拮抗しておりサッポロからも電話をもらった。受付で出した議決権行使書はスティールの提案に否を付けたが、今までの議論を聞いて賛否を判断したいと思っている。初歩的な質問だがそれは可能なのか?
→(加藤取締役)議事の進め方は基本的に議長に任されている。議長の指示に従うことになっている(まったく回答になっていませんね

)
(社長)それではだいぶ総会も進んできておりますので...と打ち切りの様子でしたが、この株主の方はがんばってくれました。
(株主)私が受付で出した賛否は無効になって、会場での採決時の賛否が有効になるのか?先ほどの質問でも賛否が拮抗しているのに、どうやって集計するのか答えていない。集計の仕方が分からないのが問題だ。初歩的な質問かもしれないが、株主総会に出席した人はどのように賛否の意思を示せばいいのか?
→(加藤取締役)株主総会出席者については、基本的に会場内で投票することになる。事前の賛否状況などを見たうえで、この場で採決するかどうかは最終的に議長が決める。採決する場合はその際に意思表示をして頂くことになる。ただ入り口で議決権行使書に賛否を記入して出された場合、現時点ではその賛否がカウントされていることになる。
(株主)聞きたいのは、質疑応答を聞いて受付に出した賛否を修正したいな〜と感じたときにできるのかどうかです。できないのならそれでもいい。
→(加藤取締役)私が間違っていました。採決の時に初めて意思表示ということになります。受付で出した行使書にどんな意思表示をしていても、会場内で意思表明するのでカウントされない。
(株主)受付で出した賛否はカウントされないようなチェック体制はできているんですね?
→(加藤取締役)はい。できています。
非常に興味深いというか、核心をついた質問とやり取りですね。今まで私も多くの株主総会に出席してきましたが、毎回疑問に感じていたのが株主総会の中での採決です。形式的に拍手していますが、誰拍手しているかは集計していません。事前に過半数の議決権を集めているからだとは思っていましたが、どうやって賛否を決めているのか、また質問のように質疑応答を聞いてから意思表明するにはどうすればいいのか、ずっと疑問を感じていました。
株主総会出席者は株主総会内で意思表明を行うので、議決権行使書に丸を付けても付けなくてもカウントされないというのは初めて聞きました。私は白紙で議決権行使書を出すと、白紙委任(すべて会社側に賛成)ということになってしまうと思っていました。なので、加藤氏が回答した議決権行使書の賛否がカウントされているというのはそうなんだろうな〜と思っていました。
株主総会内の決議はまったくの形式的なもので、何の意味もないことがはっきりしました。それなら決議など時間の無駄なので、
「事前の集計で過半数を確保していますので、すべての議案は可決しております。よって形式的な決議は省略させて頂きます」と株主総会の冒頭で宣言して欲しいものです。

(17-10)(女性)私は60年くらいエビスビールの愛飲者です。エビスビールはビールの最高峰だと思っている。それなのにお店でエビスを飲もうと思ってもほとんど置いてない。エビスありますというお店を探して入るくらいだ。どうしてもっとエビスを宣伝してくれないのか、お店に営業してくれないのかと感じている。ニューヨークでもエビスを売っているのに、日本でエビスを飲めないのはどういうことか?スティールは最初は乗っ取り事件かと思ったが、エビスをもっと普及させたいという提案で言っていることはよく分かる。会社の体質が少し古いんじゃないでしょうか(会場内から拍手)先ほど役員が男性ばかりという話もあったが、女性は思いついたことを次々とやってみるが、男性は周りを気にして実行しないこともある。スティールもなかなか変わらないサッポロにやりきれない気持ちになり提案を行ったのではないか?
サッポロは日本の歴史ある会社なので、外国人の考えをすぐには受け入れにくいのかもしれないが、会社もスティールの意見を跳ね除けるのではなくて、十分に頭に入れて古い体質から新しいインターナショナルな会社になることを望みます(
盛大な拍手
)
→我々も新しく変わるべく努力しているので、今後ともご意見などよろしくお願いします。エビスについては広めるべく広告宣伝も行っていて、昨年来力を入れているので、ご意見については営業も含めて対応させて頂きたい。
以上で質疑を打ち切りたいと思いますが、ご賛成頂ける方は...(
一部の方から超盛大な拍手
で聞き取れませんでした)
以上で質疑応答は打ち切りとなりました。最後の意見はまさに真っ当な意見で、多くの株主の支持を集めていました。動員された社員株主の大拍手とは面の広がりが違いますね

社員株主の拍手は前方右側からだけ、支持の拍手は会場全体からという感じでした。
後半の質疑応答はとても聞き応えのある内容でした。
続いて行われた注目の決議の様子や私の感想などは、株主総会レポート〜その3をご覧ください。
サッポロHD(2501)2010年株主総会レポート〜その3
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