CHINTAIは、その社名の通り賃貸住宅の空室情報を雑誌『週刊CHINTAI』やネット、モバイルなどを通じて提供している会社です。
CHINTAIの株主総会に出席するのは初めてです。

2010年1月29日(金)の株価 29,800円(ヘラクレス 2420)1株単位 10月決算
PER 7.8倍、PBR 1.23倍、配当利回り 6.04%、株主資本比率 76.5%
株主優待 なし
CHINTAI(2420)のホームページ
賃貸物件情報を提供しているCHINTAIネットのホームページ
CHINTAI(2420)のヤフー株価情報

上場以来の株価推移

上場当時は高収益・高配当企業ということで人気がありましたが、その後は豊富な資金を使ってM&Aにより業態を広げたものの、赤字が続いて本体の足を引っ張り、利益率が低下していることもあって株価の下落が続いています。2009年3月に底打ちして現在は3万円前後で推移しています。
PERから見ると割安な感じがしますが、今後の成長性はどうか?というとちょっと疑問です。
スケジュール
9時53分頃から新CMのメイキング映像やEXILEのAKIRAさんのインタビュー映像
10:00〜10:22 事業報告 ナレーション+スクリーンに映像
10:22〜10:25 決議事項の説明
10:25〜10:46 質疑応答 質問者4人 計10件 21分
10:46〜10:48 決議事項の採決 拍手方式 すべて可決
第1号議案 剰余金処分の件 配当775円(中間配当と合わせて1,550円)
第2号議案 取締役7名選任の件 全員改選 9名中7名を再任
第3号議案 ストックオプションとして新株予約権を無償で発行する件
10:48〜10:49 新任取締役紹介 一言くらい挨拶があってもいいと思いますね

お土産 CHINTAIのビニールバックとチンタイガーノート 先渡し
昨年のお土産はカレンダーだったようですが今年はノートです。カレンダーよりは使えるのかもしれませんが、微妙なお土産ですね。お菓子などの方がうれしいですね。
ちなみに以前CHINTAIの個人投資家向け会社説明会に参加したことがありますが、その時は500円分のクオカードをお土産にいただきました。こちらの方が嬉しいですね。株主にするまではお土産も奮発しますが、株主にしてしまえばもう



個人投資家向け会社説明会のお土産

飲み物サービス 机の上にエビアン330ml
経営戦略説明会 なし
懇親会 なし
さて注目の株主総会格付けですが、質問数の割に質疑応答もあまり盛り上がらなかったこと、そしてお土産もあまり嬉しいものではないことなどから、CHINTAI(2420)の株主総会格付けは 『D』 としました。
議決権を有する株主数 9,252名、その議決権数 517,148個
議決権返送&出席株主数 1,459名、その議決権数 424,321個
会場のザ・プリンス パークタワー東京は東京タワーのすぐそばです。が、地下2階なので残念ながら東京タワーは見えません。下の写真の古墳のような(笑)建物の地下にボールルームがあります。

受付でお土産をいただき会場に入りましたが、地下とは思えないほど天井が高かったですね。受付には住所・氏名などを書く紙も用意されていて、議決権行使書を忘れても必要事項を書けば入場できるようです。
会場内には8×10の配置で80人分の席が用意されており、出席者は40〜50人くらいでした。机の上には水のペットボトルが置かれていました。株主総会前にスクリーンで新CMのメイキング映像やCMに出演しているEXILEのAKIRAさんのインタビュー映像が流されていました。

10時になり株主総会が開会となり、まずは社長から日頃の支援に対する感謝の言葉から始まりました。続いて子会社のCHINTAIトラベルサービスの不正会計についての説明とお詫びがあり、取締役全員が一礼しました。感謝やお詫びなど取締役の方々も大変です

営業報告はナレーションで行われ、関連する写真やグラフなどがスクリーンに表示されていました。招集通知よりも詳しく業績を説明していて分かりやすかったですね。
昨日のHISの株主総会も同じ様な形式でしたが、スライドが早すぎてよく分からない部分もありましたが、CHINTAIはとても分かりやすかったと思います。
対処すべき課題もナレーションでした。このくらいは社長自ら説明して欲しいとも思いますね。
そして議案の説明後、質疑応答となりました。手を上げ議長から指名を受けると、会場係の人がマイクを持ってきてくれる形式で行われました。
昨年はなかなか質問が出ず1人だけだったようなので、今年はどうなのか気になりましたが、今年はけっこう質問が出ました。質問があまりに少ないとレポートの意味がなくなるので困ります。一方多すぎてもまとめるのが大変で困り物です(笑)CHINTAIの場合、質問数は多かったんですが、回答があっさりしていて聞き応えのある質疑応答という感じではありませんでした。
手塚社長は質問内容を要約し質問者に確認したうえで回答していて、とても丁寧に感じましたが、その間に事務局が想定問答を用意しているのかもしれませんね(笑)
質問にはすべて手塚社長が回答していました。匿名投資組合の内容や短期貸付金の貸付先などについては、事務局としばらく相談?確認などしていました。匿名投資組合の投資先や貸付金の貸付先がすぐに答えられないというのは、よく分からないものに投資しているんじゃないか

また後ほど詳しく書きますが、CHINTAIは昔は今以上に高収益企業で現預金が豊富にあります。それをうまく事業に活用してくれるといいんですが、赤字で足を引っ張る様な会社をM&Aしてみたり、よく分からないものに投資したりして成長にうまく活かせていない様に感じています。なので余計に質疑応答の様子を見ていて心配になった部分もあります。
2008年10月17日に行われた会社説明会の様子もまとめています。併せて読むと参考になると思います。
2008年10月17日 CHINTAIの会社説明会レポート

質疑応答 質問の数字は前が質問番号、後ろが質問者番号を表しています
(1-1)エイブルと事業領域が似ているが、現場でバッティングすることはないのか?どのように棲み分けているのか。
→CHINTAIは賃貸住宅の空室情報の提供を行っているが、エイブルは賃貸住宅への仲介事業を行っており実際に入居契約などを行っている。エイブル様は物件広告を載せてくれるCHINTAIの大切なお客様であり、その他の不動産会社様も含めて、当社は情報提供のみで仲介や契約は行っていないので、この一線で明確に棲み分けができている。
(2-2)将来に課題で『グローバル』と『シニア』がキーワードになっていたが、詳しく説明して欲しい
→今までは日本のみで情報提供事業を展開してきたが、少子・高齢化で将来は人口減が見込まれており、当社が成長していくためのキーワードとして『グローバル』と『シニア』を掲げている。
『グローバル』は海外展開で、昨年6月に中国上海に子会社を設立しテストマーケティングを始めている。今年初めからは具体的に事業展開を始めている。このようにより広い範囲で日本で成功したビジネスモデルを展開していきたい。
『シニア』は、先ほど説明した様に日本は少子・高齢化で、高齢者の割合が高くなっていく。当社は幅広い年齢層向けに情報提供を行っているが、コアマーケットは20代後半から30代であり、人口減に対応してボリュームゾーンを上に持っていく必要がある。ただ、シニアマーケットはまだ需要が顕在化していないので、需要を顕在化させ開拓していくには時間がかかり、中長期的な課題と捉えている。
今後の戦略や計画というのは株主として一番気になる部分ですが、上記の通り抽象的な内容で、特にシニアなど具体的に何を考えているのかまったく伝わってきません。シニアとはどの年代をターゲットにしているのか分かりませんが、今の高齢者は持ち家志向も強いですし賃貸に引越すというニーズがどこにあるのかよく分かりません。賃貸住宅より老人ホームやケア付きマンションなどの情報の方が必要な気がします。自ら探す人もいるでしょうが、子供などとともに探すことも考えられます。
もう少し具体的な話を聞きたかったですね。

まあ一番心配なのは、コアとなる事業が上記のグラフの様に順調に伸びていくのか

(3-3)景気が厳しい中で広告主も出稿先を1社に絞る動きも出てくるのではないか?情報誌という高コスト部門を抱えていると、ネットに特化した会社と競争していけないのではないか?
→CHINTAIは消費者に空室情報を提供して、広告を出して頂いているクライアントに効果をお返しすると言う役割を担っている。その手段として、雑誌・ネット(パソコン)・携帯が存在している。どれを選ぶかは消費者の判断であり、どの手段がクライアントにとって最も効果的なのか?が当社が判断すべきポイントと考えている。どのメディアが効果的かというのは地域によって異なる部分もあり、包括的に検討し最適な手段で今後も情報を提供していく。
確かにそれぞれのメディアの良さというものもあると思いますが、ネットに特化しているネクストの『HOME’S』などは、広告出稿コストも低いですし、物件情報がたくさん集まってきているようです。
ネットの特徴として、情報掲載コストが安い、情報が新鮮、全国の賃貸情報を一覧することができる、など広告主・ユーザーともに多くのメリットがあると思います。同じ地域内の引越しなら雑誌でも探せますが、離れた場所に引越す場合ネットでないと探せません。
またネットの特徴として、ヤフオクのように一番情報が集まるサイトだけが利益を上げられるます。今の様に過去のビジネスモデルに固執し、全方位外交でネット部分で出遅れると、近い将来取り返しの付かない事態にもなりかねません。雑誌を廃刊している地域もありますが、もっとネットに特化して、雑誌発行コストを広告費に回すくらいのことをしていかないと、中期計画の様に本業部分を積上げていけないような気がしてしまいます。私の単なる杞憂に終わればいいんですが

(4-3)先ほど説明もあったが、旅行や興行など赤字が続いている子会社がある。減損などで連結決算への影響も大きく、減損しても赤字が続いている。小規模で事業を続けてもメリットがないので、専業の会社に売却するなど、そろそろ撤退の判断も必要なのではないか?
→ご指摘の様に旅行業は4期連続の赤字、興行業は2期連続の赤字になっている。対策として、旅行は第18期の第4四半期、興行は第18期の第3四半期に経営陣の変更も含めたビジネスプロセスの見直しに取り組んでいる。結果として利益の改善を定量的に確認できているので、今期さらにブラッシュアップすることで、間違いなく黒字化できるという判断の元に、今期も事業を継続している。
(5-3)投資用不動産18.35億円を取得したと書いてあるが、どんな不動産に投資したのか?
→2008年12月に賃貸用マンションを2棟購入した。札幌と名古屋の物件で、安定した家賃収入で投資を上回るリターンを確保できている。今後の状況を見ながらきっちりマネジメントしていきたい。
(6-4)3号議案でストックオプションに関連して、既存の発行分がすべて行使されたらどの程度株数が増えるのか?また配当総額を上回るような多額の自己株取得をしてくれて株主還元として感謝しているが、この自己株をストックオプション(以下SO)に充当する考えなのか?
→今回のSOは取得した自己株を充当するので、発行済み株式数への影響はない。既存のSOについては招集通知に記載している。
(7-4)渡邉監査役の出席率が低い。さらに会社と顧問契約を結んでいて独立性に問題があるのではないか?こういったことが先ほどの不正会計にもつながっているのではないか?
→渡邉監査役は昨年1月の株主総会で選任したので、出席回数はそれ以降の回数となっている。貴重な意見も頂いているので、監査役会は十分機能していると考えている。(顧問契約を結んでいるが)業務にはタッチしていないので独立性も担保されている。
ふつう招集通知の社外役員の出席率は、期中に就任した場合、就任後○回開催中△回出席という形で掲載されています。書き方を見直さないと、質問の様に出席率が低いと思われてしまいます。
(8-4)減損損失10億円の内訳が記載されていない。内容を教えて欲しい。
→興行子会社光藍社ののれんの減損が9.28億円とほとんどを占めている。
(9-4)匿名組合投資損失が65百万円発生しているがその内容は?B/S上いくら残っているのか?
→匿名組合投資はリート(不動産投資信託)への投資です。
この質問には回答にかなり手間取っていました。事務局と調整した結果でてきた回答が上記の通り簡単な内容だけです。残存額の質問に答えていませんし、もう少し詳しくなぜ投資したのか、今後の損失見込みはどうかなど回答してもいいのでは?と感じます。なぜ回答にこんなに手間取ったのか


(10-4)短期貸付金が6.9億円計上されているが、どこに貸していて回収は大丈夫なのか?
→保険事業を行っている子会社エーシーサービスの貸付金で、長期貸付金0.95億円を含めて医療法人社団への貸付を行っている。
なぜ貸付を行っているのか?回収の可能性は大丈夫なのか?などの説明がなく、内容がよく分かりません。特に事務局と相談しながら回答した後半の質疑応答は、簡単な項目だけの回答が目立ち、投資や貸付の必要性などがよく分かりませんでした。株主にもっと理解してもらえるよう詳しく丁寧に回答する必要があるのではないかな〜と感じました。
質問がなくなるまで対応していましたし、形式上はしっかり質疑応答に対応していましたが、質疑応答が噛み合っているか?内容が充実しているか?というと疑問を感じてしまいます。手塚社長は丁寧に回答していましたが、想定問答通りというか淡々と回答している感じで、経営陣の熱意が伝わってくる

社内取締役の平均報酬は約4千万円とかなり高額に感じてしまいます。それだけの報酬をもらっている優秀な役員陣の積極的な発言を期待していたんですが、社長以外は一言も発しませんでした

株主総会の最後に選任された取締役の紹介がありましたが、一礼するだけで「よろしくお願いします」などの挨拶もありませんでした。ふつう一言くらい挨拶するものなんですけどね

全体を通して感じた印象は、高い知名度を活かして過去から蓄積してきたキャッシュが豊富にあり、財務内容もしっかりしていますが、それゆえ投資判断が甘くなり、業績の足を引っ張っているな〜ということです。旅行業や興行業などノウハウのない部分にM&Aで手を広げて、結果として赤字や多額の減損を迫られたり、匿名組合へ投資や賃貸マンションの購入など、そんなものに投資していて大丈夫なの?と感じてしまいます。本体に余裕がある分厳しい決断を先送りしているようにも感じてしまい、赤字子会社も抜本的な対応を取っている様に思えません。航空券の発券などコミッションがどんどん下がっていく・廃止されていく中で大手の会社でも苦労しているのに、たかだか16億円ほどの規模で本当に黒字化できるんでしょうか?たとえ黒字化できたとしても本業のような利益率は望めません。利益率が低い業種に経営資源を投入するより、本業をもっと強化していかないと同業他社との競争に遅れをとることになるんじゃないかな〜と心配になってしまいます。
今期は黒字化できるということですので見守るしかないですが、黒字化しても低利益率しか見込めないなら、もっと経営資源を投入する先はあると思うんですが。あまり書き過ぎると無理してでも黒字化させようとがんばりすぎる恐れもあるので、このくらいにしておきます。
ロシア関連の興行というのもリスクが大きいように思いますね。その分当たればリターンも大きいのかもしれませんが、賃貸情報会社がそこまでリスクを取る必要があるのか

豊富なキャッシュを元に事業領域を広げて、その後始末に追われているうちに、本業の利益率がどんどん低下してきています。今後賃貸情報がさらにネット上に移行していくと、競争で利益率も低下していくと思います。そこで生き残れば圧倒的なシェアと高い利益率を得る事ができますが、競争に負けてしまうと事業基盤を失ってしまう恐れもあります。豊富なキャッシュは本業、それもネットやモバイル部分に集中して投資する必要があるんじゃないか?と思うんですけどね。
競合他社の戦略も含めて、今後の推移を見守りたいと思います。
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子会社の会計不祥事もあり、礼に始まり礼に終わるという感じの株主総会でした
