レーサムは、富裕層向けに投資用収益不動産を販売したり、不動産管理事業、サービシング事業などを展開している会社です。
レーサムの株主総会に参加するのは初めてです。

2009年11月27日(金)の株価 20,410円(JASDAQ 8890)1株単位 8月決算
PER 5.9倍、PBR 0.50倍、配当利回り 無配、株主資本比率 31.3%
株主優待 なし
レーサム(8890)のホームページ
レーサム(8890)のヤフー株価情報
JASDAQでの株価推移

前期は金融危機の直撃を受け大幅赤字に転落したこともあり、株価は低迷しています。今期以降の業績がどの程度回復してくるのか?が株価にとって最大の関心事なのでしょうね。
スケジュール
10:00〜10:39 事業報告 田中社長と小町常務から説明 スライドも使用
10:39〜10:41 決議事項の説明
10:41〜11:11 質疑応答 質問4 30分
11:11〜11:12 議案の採決 拍手方式 すべて可決
第1号議案 定款一部変更の件 株券電子化と事業目的の追加に伴う変更
11:12〜11:13 田中社長から閉会の挨拶

お土産 クオカード1000円分
飲み物サービス 開会前にコーヒー、紅茶、オレンジジュース、ウーロン茶など
経営戦略説明会 なし
懇親会 なし
株主数は6,252名ですが、株主総会への出席者は50〜60人くらいで、質問者も4人と低調な株主総会でした。もう少し質疑応答が活発だといいと思いましたが、質疑応答の最後には社長が激高する場面があり、とても質問し難い雰囲気になってしまいました。あれがなければもっと質問が出たかもしれませんし、私も追加で質問したかもしれません。
ということで、株主総会格付けはとても迷いましたが、お土産があり飲み物サービスもあったということで、レーサムの株主総会格付けは『D+』としました。

株主総会の会場は、霞が関の真ん中にある霞が関コモンゲート西館の最上階37階の霞山会館です。このビルには金融庁なども入っています。
同じビルの1階下36階にレーサムの本社があります。

最上階からは皇居も一望でき、最高のロケーションです。飲み物のサービスもあり、株主の方々は眼下の景色を眺めながら、リッチな時間をすごしていました。早目に会場に来て景色を眺めながらのティータイムというのも良さそうです。
とはいえ、事務所の賃料もかなり高いんだろうな〜と想像されます。株主総会の中でもこんな賃料の高いビルからは引越した方がいいという意見が出ましたが、私もまったく同感です。リストラで大切な人財を辞めさせる位なら、もっと賃料の安いビルに引越した方がいいと感じますね。
また後ほどこの件については触れてみたいと思います。
会場内は前方3列はテーブル付きで45人分の席が用意され、その後ろに7列分椅子席(105人分)が用意されていました。合わせて150人分ほどの席が用意されていましたが、出席者数は60人弱でした。
新型インフルエンザが流行しているので、最近の株主総会ではマスクを用意している会社も多いですが、レーサムではマスクの用意はありませんでした。
議決権を有する株主数 6,252名、その議決権数 460,814個
議決権返送&出席株主数 760名、その議決権数 388,780個
まずは田中社長から、前期18期の業績が赤字となり無配転落となった背景について17分ほど説明がありました。スライドを用いての説明で、最後には全員起立しお詫びのお辞儀がありました。

前期で一連の損失計上は終了し、6月からは単月黒字化しているそうです。不動産価格が下がったことから、個人富裕層や中小企業などから安定した収益が見込めるということで、収益不動産購入の意欲が高まってきているそうです。
続いて小町常務


続いて田中社長から議案の説明があり、質疑応答となりました。
質問の形式は、議長の指名を受けると会場係がマイクを持ってきてくれるので、その場で出席票番号と名前を述べてから質問する形式です。最近はどこの株主総会でも言われますが、質問は簡潔にお願いしますということでした。
質疑応答で気になったのは、出席番号と名前を言った後ふつうはすぐに質問をするんですが、社長が手元でメモしているのか、あるいは何かを操作しているのか分かりませんが、不自然な間が空いたことです。名前をメモするには時間が掛かりすぎているし、何をしているのか気になります

質疑応答
(1)(女性)定款変更で商業地の開発が追加となるが、商業地の開発は規模が大きく負荷も大きいので、大手デベロッパーが手掛けるもので、レーサムの事業としては適さないのではないか?どんな商業施設を考えているのか?
→少し誤解があるようで、レーサムでは従来から商業地の開発を行っている。ただ定款上は住宅地・工業用地等の開発となっており、商業地の開発は等の部分に含まれているので、今回定款上にも商業地を加えるものです。
(2)先ほどコスト削減に取り組んできたとの説明があったが、招集通知の封筒や招集通知の紙質を見ると、他社よりコストをかけていて経費削減の意識が甘い様に感じる。コスト削減についてはどのように考え実行しているのか?
→(小町常務)事務所の賃料削減と減価償却負担の引下げ、断腸の想いで人員削減を行った。家賃については900坪を借りていたが、人員削減もありGW明けから300坪にスペースを縮小した。10月には賃料の改訂期を迎えていて、相応の引下げ交渉を行い1/3以下にしている。150名いた人員は100名以下になり、役員報酬も12月から削減していて、年間換算すると2.42億円が1.27億円に削減している。販管費についても圧縮している。
コスト削減については、確かに金額の大きい部分から手をつけるのが正しいのかもしれませんが、封筒やお土産のクオカードの台紙・封筒などを見ても、明らかに他社よりコストをかけています。これらは結局は捨てられてしまうものであり、細かい部分に無駄なコストを掛けている様に感じます。社内でも同様な無駄がたくさんあるのではないか?と感じてしまいます。つまり全社的にコスト意識に欠けているのではないか?と心配になります。細かい部分も含めてコスト管理を徹底すれば、社員のリストラ人数を1人でも減らせたのではないかと感じます。後ほどの質問でも出てきますが、ゴージャス感が必要という考えは見直し、無駄な部分を削減することで人財は一人でも多く雇用を維持して、売上・利益を伸ばして欲しいものです。

(3)過去2年間は純利益で見ると厳しい状況が続いているが、田中社長は今後の回復・成長イメージをどのように考えているのか?
→(飯塚常務)昨年の金融危機以降ファンドからのお金の流れが止まってしまい、これは他社も同様です。現状でも同じ様な状況で見通しは立っていない。中小型物件については個人富裕層からの引き合いが増えていて、中小企業からの問合せも多く毎日の様に問合せがある。6月からは厳しい基準を設けているが、仕入れも開始している。仕入れ後3ヵ月で販売を見込んでいるが、半分位のスピードで回せている。
金融機関からは不良資産以外は出てこなくて仕入れは苦戦しているが、年末の資金繰りに合わせてどうしても売らないとという物件も出てきており、来年の3月も同じ様な状況になると思う。
営業利益は上期10億、下期20億を目標にしているが、1Qはほぼ予定通りに推移している。レーサムの物件に興味を持っている富裕層顧客も着実に増えてきており、今後1〜2年が正念場で特にこの1年が大事だと思っている。
(田中社長から)営業の現場の声をまずは聞いてもらった。創業した92年当時は競売物件が安く手に入った。現在の状況は家賃の下落、そして修繕コストの上昇など厳しい面もあるが、一方世界的に低金利で金余りの状況にあり、今後のこの影響が日本の不動産にどのような影響を与えるのか注視している。
今後1〜2年で従前の状況に近いところまで戻せるのではないかと考えている。
(4)超過収益を大型物件に投資せず、株主に配当として還元していれば、このような状況にならなかったのでは?という考え方もできる。これについてはどのように考えるか?
→レーサムには当時資金調達力があったので、配当として利益を吐き出していても、借入でやっていたと思う。他社を見ると、利益を配当として社外流出させていた会社が、金融危機で次々と破綻している。
(5)大型物件を除くと、メインの個人富裕層向けのビジネスは、私の計算では赤字か収支トントンくらいに感じる。今後個人富裕層向けのリテールに力を入れて行くということだが利益を出していけるのかお聞きしたい。足元利益が出ているとの説明だったが、大きな評価減を計上して原価を下げているのだから、足元は利益が出て当然だと思う。今後も利益を出せるのか聞きたい。
→上場前はリテールのみを手掛けていて、総資産30億円で30億円の利益を出していた。原点回帰が必要だと思うし、リテールの需要も出てきており、利益を出せるということを前期の総括の中でも説明させてもらった。現状見渡してみても個人富裕層向けのリテールビジネスで満足行くサービスをしている会社は見当たらない。だからこそ当社が力を入れる必要があると思う。短期的な配当主義、それに報いようとしてレーサムが実力以上に無理に儲けようとした、それによってこうした損を出してしまった、これが私の中での反省であり事実です。数字遊びにならないようしっかりと経営していきたいと思っている。
(4)と(5)は同じ株主からの質問なので、まとめて答えています。このレポートではそれぞれの質問に独断で分けています。
(6)先ほどの説明ではお客様を大事にしているということだが、テナントを追い出すなど事実と異なる。昨年の株主総会でも五十嵐取締役と話をさせてもらったが、社長は五十嵐取締役から経緯を聞いているのか?
(6)と(7)は同一の株主からの質問ですが、質問の途中から田中社長はかなり立腹していた様で、怒りを押し殺したような口調での回答になりました。
→私どもは物件に対して安い賃料で居座るテナントには断固とした姿勢で合理的な対処をしていく

(7)こんな立派なビルから出て、創業の精神に戻りもっと小さな賃料の安いビルに移ったらどうか?
→賃料の安いビルに移ることも考えた。大きなリストラを行い社員も失ってきたのでなおさらです。しかし財産を預けているお客様に不安を感じさせるわけにはいかない。社員1人当りの家賃が一番安くなり、移転コストも少なくなり、顧客の利便も考慮し、現在の本社で面積を1/3にすることにして、その中で社員にがんばってもらっている。十分に納得していただけると思っている。
(株主)それでは株主総会後に時間を取ってもらえるんですね?
(社長)改めて設定させてもらいます
(株主)私の意見が...(と言いかけた株主に対して)
(社長)ご発言をお止めください


(株主)いいんですか、そんな言い方で
(社長)遺憾です


ここまでくるともう絶叫に近い感じで、私もびっくりしてしまいました

質問した株主もさすがに社長の剣幕に押された感じで
(株主)分かりました となりました。
(社長)他に質問はございませんか?
と聞かれても、こんなやり取りの後に手を挙げる勇気はないですよね。手を挙げるだけで怒られそうだし

少し時間をおいて冷静さを取り戻したのか、「たいへん失礼致しました」とお詫びしてから決議に移りました。
それまでの冷静な対応から一転して怒りをぶちまける様な対応となり、多くの株主が驚いたのではないでしょうか?
この株主は株主総会後も会社側の人間にかなりクレームを付けていたようです。
過去からの経緯や周辺相場と比べてどれ位安い賃料だったのか分かりませんので、どちらの主張が正しいのかは分かりませんが、社長には冷静に対応してもらいたいものです。すぐに冷静さを失うような社長では、危機に直面した時冷静に正しい判断ができるのか

株主総会中にこんなに社長が怒ったのは、私の株主総会経験では初めてです。
今年のコロワイドの株主総会でも気色ばんだ発言はありましたが、ここまでは冷静さを失ってはいませんでした。
株主総会ではいろんな質問が出ますし、厳しい断固とした回答が必要な場合もありますが、冷静さを失い大きな声を出すというのはどうかと思います。断固とした態度と冷静さを失うというのは全く違うことです。それまでの回答には好印象を感じていましたし、回答にあたっては取締役間でも協力しながら対応していて、チームワークも良さそうだな〜と感じていただけに残念です。こんなにすぐに沸騰するような社長で、部下の方々は大丈夫なのかなと少し心配になりました。
本社が一等地のビルの36階(37階建てのビルの36階です)で、眺めも賃料も最高だと思います。リストラで人員削減するよりも、もっと安いビルに移転したり、細かいコストダウンを徹底することが大事だと思っていたので、(7)の質問には拍手をしようかと思いましたが、社長の立腹が伝わってきたので、拍手は見合わせました。その後の展開を考えると拍手しなくてよかった(笑)と思いました。

本社のエントランスの様子です

確かに個人富裕層が中心顧客なので、本社がチープな印象では不安を感じてしまうという考え方も一理あると思います。ただ私は、本物の富裕層はそんな見た目については気にしないと思います。会社の安全性は財務内容などを調べれば分かるわけで、一等地に本社を借りているから安心という訳ではありません。
私だと、この豪華な本社の賃料も物件価格に上乗せされているんだな〜こんなお金の掛かってそうな封筒を使っているとは、全社的に高コスト体質なんだろうな〜これらも物件価格に上乗せされているんだよな〜と感じてしまいます。見た目の豪華さの代償として価格が上乗せされているなら割りに合わないと感じてしまいます。
無駄な部分にはコストを掛けず、居心地はいいけど古くて賃料の安いビルに本社を構えています、社員は大事にしていて同じ様にお客様も大事にしています、という会社の方が好感を持てます。
今の富裕層の考え方と私の考え方が合っていないだけなのかもしれませんが、見た目の豪華さを気にするのは一時的に儲かった富裕層なんじゃないかなという気がしてしまいます。
レーサムは長く付き合える富裕層を大事にしていきたいと考えていると思うので、そのような本物の富裕層が何を求めているのか?についてもう一度よく考えた方がいいのではないでしょうか?
お客様と末永い付き合いをする社員をリストラなんかせず大事にして、その代り本社も含めてコスト管理は徹底する!そんな会社を目指して欲しいですね。
初めてレーサムの株主総会に出席し、途中までは好印象を感じましたが、全体を通して見るとまだまだ見直していく部分や問題もあるなと感じました。
招集通知を見ても、ふつう社外役員の出席状況は取締役会24回中23回に参加などと具体的に書いてありますが、レーサムの場合は1回欠席などという書き方で、出席率が分かりません。
さらに中瀬監査役については、可能な限り出席しております という書き方で、出席状況がまったく分かりません。この人だけこんな書き方だと、具体的に書けない位欠席しているんだろうな〜と感じてしまいます。中瀬監査役とは営業取引があるので特別扱いなんでしょうか?
こんな所からも、会社にとって都合の悪い情報は開示しない、誤魔化そうとしているのではないか?と企業体質が心配になります。細かい部分もおろそかにせず、しっかりして欲しいものです。
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追加

総会家金城さんのブログによると、株主総会終了後役員の方々が出口で株主を見送っていたそうですが、その際にも4人目の質問者と社長との間で一悶着があったようです。私は会場を出るまでに時間がかかったので、すでに役員の方々はいませんでした

株主からクレームを付けられていたのは指名されていた五十嵐取締役だったのかもしれませんね。
総会家金城さんのブログはこちら